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【深層心理の謎】投資家は経営者の創造性に関する議論に否定的な反応を示す理由

2022.06.19

 子どもの頃に思い描いていた未来は、遅ればせながらも着実にやって来ているようだ。先日あの店で何とも新鮮で愉快な“接客”を受けたことを思い出す。注文した料理を席まで持って来てくれたのはロボットだったのだ——。

ロボットの“社会進出”について考えながら街を歩く

 今日は雨の心配もなかったので午前中から外出し、ちょっとした理由から中野駅近くの某施設の写真をデジカメに収めた。夕方以降ならばともかく、今の時間は長居は無用だ。帰路はJRではなく東京メトロ東西線に乗って1駅目の落合で降りて少し散策することにした。

 早稲田通りを途中で左に折れて、住宅街の中を歩いているうちに中井まで来てしまっていた。午後1時になろうとしている。この辺で昼食を食べてから家に戻ってもいいのだろう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 駅前の通りにはすでにいくつも飲食があり、今さっき前を通ったのは某中華チェーン店だ。

 そういえば少し前に秋葉原で久しぶりにこの店に入ったことがあったのだが、その時けっこう驚かされたことがあった。いつの間にか注文がタッチパネル方式になっていて、注文した肉野菜炒め定食を運んできたのは配膳ロボットだったのだ。

 まさか中華料理店でこのような“フューチャリスティック ”な体験をすることになるとは思ってもみなかった。子どもの頃に抱いていた21世紀の未来は、ささやかではあるもののこんな場所で実現していたことになる。

 西武新宿線の踏切を渡り、右に延びる路地を進む。この界隈はパチンコ店を挟んで飲食店が立ち並ぶ一帯だ。中華料理屋やラーメン屋、寿司屋などが軒を連ねている。中華料理もいいがもう少し先に進んでみることにしよう。

 少し前からロボットやAI(人工知能)がこれまで以上に我々の生活に進出してくるということが言われてきているが、今まではあまり実感が湧いてこない面もあった。しかしそうした機会に働くロボットを実際に目の当たりにすると、確かにロボットやAIの“社会進出”が着実に進んでいることを見せつけられる感もある。

 ロボットによって人手不足が解消されるとすれば社会にとってプラスになるが、裏を返せばロボットに仕事を奪われるという側面もあるだろう。配膳をはじめとする単純な作業は、これからどんどんロボットが担うようになり、人間は単純な作業から解放されると同時にそれまでしていた仕事を失うことになるのだ。

 これまで人間がやっていた仕事がロボットやAIに肩代わりされるということは当然、これからの人々は人間にしかできない仕事をする必要に迫られることになる。そこで重要になってくるのが創造性ということになるだろう。芸術家やクリエイターでなくとも、これからの時代の仕事は多かれ少なかれ、ロボットでは替えが効かない創造性が求められてくると考えてまず間違いなさそうだ。

クリエイティビティが嫌われるケースとは?

 路地をさらに進む。狭い路地だが相変わらず飲食店が多い。居酒屋やインドカレー屋、焼肉屋、割烹料理の店などよりどりみどりだ。今となっては珍しい個人経営らしきカラオケ店もある。さらに先に進むことにする。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 ともあれこれからの時代にはますます重要になってくるのが創造性ということになるのだが、意外なことに創造性豊かな人物は場合によってそれほど高く評価されないばかりか、避けられることすらあるという研究結果もある。創造性が不確実性と結びつくと、クリエイティビティは否定的に見られがちになるというのである。

 最新の研究では投資家は経営者の創造性に関する議論に否定的な反応を示すことが示されていて興味深い。


 経営幹部が会社の創造性について話し合った結果を検証します。

 収益の呼びかけにおける創造性の議論は、株式のリターンに否定的な予測をします。

 ただし創造性についての議論は、企業の財務実績を前向きに予測します。

 議論の感情的なトーンは、創造的な議論に対する市場の反応を和らげます。

※「ScienceDirect」より引用


 カリフォルニア大学リバーサイド校とジョージワシントン大学の合同研究チームが2022年5月に「Organizational Behavior and Human Decision Processes」で発表した研究では、データ分析を通じて、不確実性のために創造性がネガティブに認識されるという「創造性のバイアス(creativity bias)」が現実世界の文脈で成り立つかどうかを検証している。

 研究チームはある企業が四半期ごとに投資家に対して行われる会議の音声記録を分析し、経営幹部の発言の中に創造性と革新に関連する言葉がどのくらい含まれているのかを割り出した。

 さらに研究チームはそれを株式リターンデータと財務実績データに照らし合わせ、創造性についての発言と、投資家からの信頼、および収益の間の相関関係を検証したのである。

 分析の結果、トップエグゼクティブが創造性とイノベーションについてより多く議論している企業は、株式のリターンが比較的低く、投資家からの信頼が低いことが判明した。つまり投資家の間では経営幹部が多く口にする創造性やイノベーションに関する言葉が不確実性としてネガティブに認識されていて、株式のリターンも少なくなると思われていたのである。

 創造性は否定的に受け止められてしまうのだろうか。しかし同じことは会社の収益には当てはまらず、経営幹部が創造性とイノベーションについて熱く議論する企業の財務実績はより良い傾向が示されたのである。

 ここには話し方の問題もあり、経営幹部が前向きな口調と感情で創造性について話し、自信と楽観主義を表現した時には投資家の信頼に悪影響を与えることはなかったのだが、経営幹部が創造性について現在の会社に欠けているものであると否定的な口調で話した時には投資家の信頼を失うことになっていたのだ。

 創造的でなければならないという“義務感”が前面に出てしまえば、自由な発想にとって本末転倒である。創造性について語る時には、まさにクリエイティブな表現をしなければその真意は伝わらないということになりそうだ。

ランチメニューのにぎり寿司に舌鼓を打つ

 路地の突き当りには老舗の炉ばた焼の店があり、道が左右に延びるT字路になっている。この通りも飲食店が目白押しで、もんじゃ焼きの店やもつ料理の店、老舗の洋食店や居酒屋などが並んでいる。右に行けば西武線の踏切があるが、左折して先を行く。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 いずれの店も地元の人が利用していることは明らかで、この一帯に住む人々は外食が多いということなのだろうか。駅前の通りからこの路地に到るまで、街の規模感からすると飲食店が多いように思える。もう少し歩いた高台のほうに大学の校舎があるが決して学生街ではないし、大きな企業などがあるわけでもない。ちょっとした謎ということになるだろうか。しかしパチンコ店があるので、案外他所から人が来ているのかもしれない。

 路地は再びT字路になっているのだが、右の角にある新しいマンションの1階に寿司屋がある。この店のことは以前から知っていたのだが、このコロナ禍もあったりでなかなか訪れることはできなかった。店は問題なく営業しているようだ。この機会に入ってみるしかない。

 堅牢な扉を開けて中に入ると満席ではないもののけっこうなお客の入りだ。女性の姿が多く、地元の人々のお昼の集いの場所という一面もあるのかもしれない。お店の人に空いているカウンターの一番奥に着くように促される。

 お茶を持って来てくれたお店のひとに「にぎり1.5人前」を注文した。カウンターの中ではお店の大将が孤軍奮闘している。

 そういえば大手回転寿司チェーンなどでは「寿司ロボット」がシャリを握っているという話を聞いたことがあるが、こうした個人店では今のところはあり得ないだろう。しかしそれも“今のところ”であり、将来的にロボットの性能が向上して使い勝手が良くなるようなことがあれば導入されないとも限らない。すでに中華料理店をはじめ、ファミレスや焼肉店でロボットが活躍している時代なのだ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 大将から寿司下駄を差し出された。両手で受け取ってカウンターに置く。にぎりが10カンに鉄火巻きにかっぱ巻きが2個ずつ乗っている。じゅうぶん食べ応えがありそうだ。

 寿司にあわせて提供された味噌汁を少し啜ってからまずはマグロの赤身を頬張る。何もいうことはない。日常の中の至福のひと時だ。

 今日が休みならにぎりを肴に「ちょっと一杯」できたらなかなか素敵なことではあるが、今日はこれからまだやることが山ほどあるので残念ながら今は無理だ。そもそも平日のランチタイムの時間には落ち着いて飲めないだろう。サッと食べて帰るのが正解である。

 ご多聞に漏れず酒好きの身としては、外で飲むお酒が格別であることは身に染みて実感しているが、寿司、特ににぎりもまた出前や買って来たのを食べるよりも店で食べたほうが断然に美味しく思える。

 コロナ禍で外食がままならない時期には、少し高級なメニューを家で食べるという風潮も浸透したのだとは思うが、個人的にはやっぱり外で食べる醍醐味を侮ることはできないと感じる。それがたとえロボットが握り、ロボットが運んできた寿司であったとしても外食をやめることはないだろう。

文/仲田しんじ

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