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マンパワーグループの執行役員・田村紀和さんに聞く「これからのリーダーシップのあり方」

2022.06.13

■連載/あるあるビジネス処方箋

今回から3回にわけて、職場における女性リーダーを紹介したい。75カ国・地域で幅広くネットワークを展開する総合人材会社であるアメリカのマンパワーグループの日本法人・マンパワーグループ株式会社(東京都港区・従業員3770人)の女性執行役員・田村紀和さんに、リーダーとして必要な資質や力、部下育成などチームビルディングについて取材を試みた。

田村さんは広報室室長として2人の部下を、CX推進課課長として2人の部下を率いる立場であり、執行役員としても経営に参加している。

1回:リーダーシップのあり方
2回:部下への接し方 
3回:マネジメント

◆プロフィール

田村紀和(たむら きわ)さん

外資系ホテル勤務を経て、2000年にマンパワーグループ株式会社入社。戦略的顧客に対する企画提案職に従事。2009年に退職し、海外に滞在。2010年に帰国し、人材サービス会社に入社。マネージャーとして事業開発に取り組む。2012年にマンパワーグループ株式会社に復職。2014年、広報室室長兼CX推進課課長。2019年から執行役員。

リーダーとしてどのようにアプローチしていくべきか

田村さんは現在のポジションに就いた時、今後のリーダーシップのあり方について考えたという。特に重視したのが、多くの管理職が直面する決断だ。

「まず、部署やメンバー(部員)がその時点までに積み重ねてきたものをどのように捉え、リーダーとしてアプローチするかを考えました。部署の責任者になると、それまでの部署の歴史を否定し、新たに作り直していくタイプと、過去をおおむね肯定し、引き継いでいくタイプのいずれかの選択を求められる場合があると思います。

その決断は会社の内外や部署、メンバーの状況に応じて変わるのでしょうが、私はあの時点(2014年)においては後者を選びました。“これまでの歴史を否定はしないが、進んでいく方向は転換する”といった路線です。私がCX推進課の責任者に指名をされたのには何らかの理由があるはずです。

当時、長年、当社の特長として掲げてきた顧客満足度の向上に課題が生じていました。通常、顧客満足度はサーベイ(調査)にもとづき、対策を実行するのですが、その調査をより一層に戦略的に使うことを求められていたのです。このあたりのことを踏まえ、メンバーには接するようにしてきたつもりです。まず、「皆が取り組んできたことは間違いではない」と現在までのアクションを認め、その功績を称え、仕事をしていくうえでの動機づけをしました。例えば、こんなことも話しました。

『この部署が存続しているのは、会社や経営層から業務やメンバーの仕事が認められているからです。今後の方向を変えれば、部署はさらに機能するし、皆さんの仕事のパフォーマンスもきっと、よりよくなります』

意識していたのは、部署が進む方向の説明、共有とメンバーの動機づけです。方向を説明し、共有すると、私も含め、メンバーの視野が広がるからです。“木を見て森を見ず”という言葉がありますが、目の前のタスクやミッションだけを注意していると、業務の本質を見失い、新たな発想が生まれない場合があります。

視野が広がり、俯瞰で物事を見るようになると、「退屈」「意味がない」と思っていたタスクでさえも、実は大きなミッションを達成するためのプロセスとわかります。それが仕事をする動機につながるのです。

まずは自分が走っている姿をきちんとイメージすること

リーダーとして部署のこれまでのいきさつや歴史をどのように認識し、どこに問題意識を感じ、どう変えていこうとするのか…。この一連の考えを丁寧に繰り返し説明し、共感を得ないと、組織の構成員のモチベーションは通常上がらない。田村さんはそのことを心得て、部員にアプローチしたのだろう。

私の30年前後の企業取材の経験では、日本人の管理職がMBA的なアプローチをすると、部署の動かし方は確かに合理的にはなる。だが、ある意味で「机上の空論」となり、部下の心を掌握できない場合が一部にあるように思える。そのあたりについて、田村さんはどう考えているのだろうか。

「私も、同じような思いを持っています。ですから、まずはメンバーの上司として、自分が走っている姿をきちんとイメージするようにしているのです。このイメージが鮮明にできるかどうか、が大切だと思います。リーダー自らがあいまいな姿しか描くことができないと、メンバーの心は離れていき、チームビルディングがうまくいかない場合があります。

私も管理職にはじめてなった頃、壁にぶつかった経験がありました。当時の部下たちに、いわゆる正論のみを伝えていたように思います。すんなりと受け入れるメンバーもいましたが、そうではない人もいるようでした。

あの頃は、リーダーとしての経験が十分ではなかったのでしょうね。どのようなリーダーでありたいのか、といったイメージがあいまいでした。プレイヤーに必要な仕事力はある程度は兼ね備えていたのかもしれませんが、管理職として部下を持つ立場になると、正論を述べているだけではメンバーや組織は動かないことがよくわかりました。

相互の信頼関係がないと、正論はなかなか伝わらないものです。私も失敗を積み重ねてきて見えるものがあるのですが、仕事に関するテクニカルな知識やノウハウだけではリーダーは務まらないと実感しています」

ここに、日本企業の管理職のあり方を考えるうえで重要な点がある。一流といわれる大企業やメガベンチャー企業でも、一般職から管理職に昇格する際にプレイヤーとしての実績や力量のみで評価する傾向がある。だが、マネージャーになるためには新たな資質や能力が求められる。

だからこそ、昇格基準には部下を持つことができる潜在的な能力があるのかどうか、といった観点からの評価が必要になる。しかし、この視点は日本企業では依然弱い。

外資系企業での勤務経験が豊富な田村さんは、その影響を強くは受けていないのかもしれない。部下を持つ立場になった頃から、部下育成やチームビルディングなど自らのマネジメントを冷静に振り返り、課題や問題点を見つけ、克服しようとしてきた。管理職として、PDCAサイクル(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))を機能させるために不可欠な資質を持っていたのだろう。それは自分を振り返り、正すことができる柔軟な心だ。

次回は田村さんが部下にどのように接しているか、そしてチームをどう作っているかを取り上げたい。

文/吉田典史

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