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WWDC22で発表されたもの、されなかったものから読み解くAppleの戦略

2022.06.12

この記事が掲載される頃には、WWDC22も終了し、開発者たちは秋の各種OSの正式リリースに向けて、アプリのアップデートの準備や、新技術のアドバンテージを活かすアイデアの醸成に励んでいることだろう。実際にキーノートで発表された内容には、事前の記事で予想されていた通りになったものや、当然出ると思われていたのに出なかったもの、そして、予期せぬサプライズもあった。そこで、前記事のフォローアップとして、それらを簡単にまとめてみることにした。

次世代OS群は予想通りにアップデート

 まず、iOS 16、iPadOS 16、macOS 13(macOS Venturaと呼ばれる)、watchOS 9は、予想通りにアップデートの告知があり、開発者向けリリース、7月のパブリックベータを経て、秋には正式バージョンがダウンロードできる運びとなった。唯一、tvOSのみはキーノートで触れられなかったが、これもtvOS 16へのアップデートが確定しており、新たにスマートホームの機器接続における業界標準規格であるMatterがサポートされて対応機器が増えるほか、Apple Fitness+のワークアウトのモチベーションを高める運動強度が画面に表示されるようになる。細かいところではニンテンドー・スイッチのコントローラーや、映像のダイナミックレンジを拡げるHDR 10+のサポートもあり、Apple TVのリビングルームにおける存在感が増しそうだ。

 iOS 16では、予想通り、ロック画面をウィジェットでカスタマイズしたり、表示する写真の被写体と背景を機械学習によって分離し、その間のレイヤーに時刻が表示されるようなことが可能となる。しかし、こうした情報を、スクリーンのリフレッシュレートを落として常時表示する機能については、ハードウェアとの連携になるためか、秋に実際にiPhone 14シリーズが発表されるまで公表が控えられる模様だ。

 iPadOSのマルチタスクの強化に関しても発表されたが、これは複数のウィンドウで画面表示が煩雑になりがちなマルチタスク自体のユーザビリティを向上させるStage Manager機能として、macOS Venturaでもサポートされることになった。

 この機能は、開かれているウィンドウを画面の左端にサムネイル化して表示し、利用中のアプリのウィンドウのみが画面中央に表示されるというもの。他のウィンドウのサムネイルをクリックすると両者が入れ替わるので、常に作業中のウィンドウに集中できる。そして、画面中央のウィンドウに、別のウィンドウをドラッグ&ドロップするとグループ化でき、そのグループ内のウィンドウに関しては、自由に配置できるマルチウィンドウ状態となる。ただし、こうした処理にはそれなりのCPUパワーが必要なため、Stage Managerが利用できるiPadは、M1チップ搭載のモデルに限られることになる。

Stage Managerは、マルチウィンドウ/マルチタスク環境のユーザービリティを改善し、複数のウィンドウが開かれていても常に作業中のアプリに集中できるようにしてくれる

 macOSでは、これまでも完全なマルチウィンドウ状態でマルチタスクを利用できたわけだが、このStage Managerは、従来からのウィンドウのタブ表示やドックへの一時退避よりも、全体を把握しやすく直感的に利用できるため、UI/UXの大きな進化としてユーザーに歓迎されそうだ。

 watchOS 9は、Lunar、Playtime、Metropolitanなどの文字盤デザインが追加されたが、実質的な機能面でも、ワークアウトアプリが強化されて、より多くの数値情報が表示されるようになったり、複数のスポーツを組みわせて行う場合に自動的に記録するアクティビティも変更されるマルチスポーツのワークアウト記録にも対応した。また、睡眠状態の記録もより詳細なデータの取得と分析が行われるようになり、薬の服用管理や心房細動のヒストリーの記録機能と相まって、さらに適切な健康管理や病気の早期発見が行えるようになった。

 一方で、バッテリー低下時の表示項目の強化に関しては、iOS 16のロック画面の常時表示機能と同じく、新ハードウェアとなるApple Watch series 8の発表を待って情報公開を行うものと思われる。

 OS周りでは、この他にも、メール送信後10秒までは、内容の編集や送信自体の取り消しが行える機能や、純正WebブラウザのSafari利用時に、Touch IDやFace IDによる背板認証をデバイス自体のログインやApple純正のサービス以外にも適用して、フィッシング詐欺によるパスワードの盗難やサードパーティからの認証情報の流出を防ぐパスキー機能など、使い勝手やセキュリティを高める改良が行われている。

 加えて、大きなサプライズは、iPhoneのカメラを、ワイヤレス、かつシームレスにMacのWebカムとして活用できるContinuity Cameraだった。Mac内蔵のFaceTimeカメラよりも優れた画質が得られるだけでなく、常にユーザーを画面中央に自動配置するセンターステージ(日本では、センターフレーム)モードや、ユーザーをスポットライトで照らしたように明るく表示するスタジオライトモード、Macの手前のキーボード面やデスク面を真上から見下ろしたように変形して撮影できるデスクビューモードなどが利用可能となる。これは、リモートミーティングの強い味方となりそうだ。

iPhoneのカメラをMacのWebカムとして利用できるContinuity Cameraは、複雑な手順を踏むことなく、MacにiPhoneを近づけるだけで自動認識されて開始することが可能になる

先送りだが最高のM2チップ搭載が約束されたMac Pro

 意外だったのは、最後のインテルMacたるMacy ProのApple Siliconバージョンの発表が、今回のWWDCでは行われなかった点だ。まさにプロ向けの製品だからこそ、開発者向けのカンファレンスは最適の発表の場と考えられたわけだが、デビューが先送りされたことで、はっきりしたことがある。それは、Apple SiliconのMac ProがM1ベースではなく、来るべきM2の最上位チップベースで登場するということだ。

 WWDC22は、MacのApple SIlicon化計画の発表の場となったWWDC20から2年目に当たるが、実際に最初のM1 Macが発表された2020年の秋を起点にすれば、移行完了まで、まだ半年弱の猶予があることになる。そこで、今回のM2ベースのMacBook Air/MacBook Pro 13インチに続いて、初秋にM2 ProやM2 Ultraの搭載モデルを発表し、中秋〜晩秋に満を辞してM2 Ultraのハイエンドチップや、さらにその上のM2 Extreme(仮称)のようなチップを搭載したMac Proを出すことで、Apple SIlicon化を完結するというシナリオが考えられる。

 その場合にも、まずは大きなデザイン変更は行わずに性能の魅力で販売を促進し、需要が落ち着きかけたあたりで、次世代デザインへと移行することになるだろう。

M1が順当進化したM2チップとベストセラー維持確実のM2 MacBook Air

 MacBook Airは予想通りにM2を搭載し、デザインもMacBook Pro 14/16インチを薄型化したような新筐体で登場した。廉価版として従来のM1 MacBook Airも併売されるのは、M1チップが依然として十分な性能を備えていることから、優れたマーケティング判断といえる。

 インテルCPUからM1に移行した際の性能的なジャンプがあまりにも大きかったため、M2にも同等の性能差を求めたい気持ちが生じるのは、ある意味で致し方ない。しかし、実際のM2は、Mチップの第2世代というよりは、M1のマイナーチェンジ的なチップである。CPU部分は性能重視の4コアと効率重視の4コアのオクタ(8)コア構成で、基本的にM1と変わりはないものの、キャッシュ容量の拡大などでマルチスレッド性能が向上している。一方で、GPUはM1の8コアから最大10コア(8コア版も存在するが)として、よりグラフィック性能を重視した設計であることが見てとれる。その結果、CPUは18%、GPUは35%、AI処理は40%高速化したとされる。

M2チップを搭載してフラットなデザインに生まれ変わったMacBook Airは、ノッチ付きのナローべセルディスプレイやMagSafe電源コネクタなどを備え、新たなベストセラーとなる資格十分だ

 加えて、新たに8K(H.264/HEVC)動画に対応するビデオデコーダーやProResビデオエンジンを搭載しており、動画編集の処理速度や効率がアップ。4Kで最大11ストリーム、8Kでも最大2ストリームの再生が可能となった。ただし、M1のときからAppleが重視しているのは、ワットあたりのパフォーマンス、つまり、高い性能と低消費電力を両立することである。そのため、上記のような性能向上を果たしながらも、M2 MacBook Airの場合で、M1 MacBook Airに等しい最大18時間のバッテリー駆動を実現している。

 M2 MacBook Airのフラットなフォルムは、これまでのMacBook Airのウェッジシェイプを見慣れた目にはかえって新鮮に映る。だが、サイズ的にノートMac中の最薄(1.13cm)、最軽量(1.24kg)であることに変わりなく、しかも、M1 MacBook Air(最厚部1.61cm、重量1.29kg)より軽く、薄く、バッテリー駆動時間では同等の最大18時間を実現していることは驚異的だ。

 また、画面サイズは逆に、13.3インチで2,560 x 1,600ピクセルから、13.6インチで2,560 x 1,664ピクセルへと拡大しており、MacBook Pro 14/16インチと同じく、Phoneに似たノッチ内にFaceTimeカメラを収めることでナローベゼルのディスプレイを実現した。将来的には、Face IDが採用される可能性もありそうだ。

 M2 MacBook Airの前では、同時に発表されたM2 MacBook Pro 13インチは価格差ほどの魅力が感じられず、Airの引き立て役のようにも感じられてしまう。この新型MacBook Airは、これまで以上にベストセラー街道を突き進むものと思われる。

M1と同じ8コア構成のCPUながらマルチスレッド性能を改善し、2コア増えた10コアのGPUと8K動画対応のビデオデコーダーによってグラフィック性能を高めたM2チップ

AR/VR系はM2 Mac一巡後の登場か?

 残念だったのは、期待されたAR/VR関連の発表が一切行われなかったことだが、関連技術を擁する企業の買収やralityOSの商標登録など、状況証拠が揃っている以上、製品開発がかなりの段階まできていることは間違いないだろう。

 もちろん、技術的な問題解決のために計画に遅れが生じている可能性もゼロではないが、好意的に解釈すれば、年内はiPhone 14シリーズやM2 Macのリリースに集中し、それがひと段落した来春のスペシャルイベントで大々的にデビューさせるようなシナリオも考えられる。

 いずれにしても、Appleがこれだけ関心を惹きつけられるのは、話題を提供するに足る技術やハードウェア製品を揃えているからであり、今後とも業界の台風の眼となることは確実といえるだろう。

取材・文/大谷和利

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