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配偶者の借金を返済する法的な義務はあるのか?

2022.06.10

配偶者が借金を負っていて、返済が困難になっている場合、夫婦にとっては危機的状況と言えます。

「夫婦は協力すべき」とはいっても、配偶者の借金まで代わりに返す必要はあるのでしょうか?

今回は、配偶者が借金をしている場合において、よく問題になる法的なポイントをまとめました。

1. 配偶者の借金を返済する義務はない

配偶者が借金をしていても、ご自身がその借金を返済する法的な義務はありません。

民法では、夫婦それぞれが自分の財産を持つ「夫婦別産制」が採用されています(民法762条1項参照)。借金についても、夫の借金は夫だけが返し、妻の借金は妻だけが返すのが、夫婦別産制の大原則です。

配偶者の借金を保証していれば、配偶者が返済できなくなった場合には、代わりに返済する義務を負います。しかしそうでなければ、配偶者の借金を返済する必要はないのです。

2. 配偶者の借金を代わりに返済することは可能

返済義務がないとしても、任意の判断により、配偶者の借金を代わりに返済することはできます。民法では、債務者以外の第三者による弁済が認められているからです(民法474条1項)。

なお、弁済をすることについて正当な利益を有しない者は、原則として債務者および債権者の意思に反する第三者弁済ができません(同条2項、3項)。

しかし、債務者の配偶者ならば、借金を返すことで夫婦生活が安定するなどの利害関係を持ちます。そのため、債務者および債権者の意思に反していても、配偶者の借金を代わりに返済できると考えられます。

3. 配偶者が破産した場合、自分の財産も処分されてしまうのか?

借金の返済が困難になった場合、裁判所に自己破産を申し立てて、債務を免除してもらうことが解決策になり得ます。ただし自己破産をすると、債務者の財産は一部を除いて処分されてしまう点に注意が必要です。

破産手続きによる処分の対象となるのは、債務者の財産に限られます。よって、配偶者が自己破産を申し立てたとしても、ご自身の財産が処分されてしまうことはありません。

ただし、夫婦が共同で生活する中では、特に家財・宝飾品・絵画などにつき、どちらの所有物であるかが明確ではないケースもよくあります。

このような財産は、破産管財人による調査等を経て、最終的に配偶者の所有物として処分されてしまう可能性もあるので気を付けましょう。

4. 配偶者が破産する前に、財産の名義を自分に変更してもよいのか?

破産手続きによる処分を回避するため、配偶者名義の財産を、自己破産の申立て直前に自分へ移そうとする方がいらっしゃいます。

しかし、破産申立て直前の名義変更は、以下の理由からきわめてリスクの高い行為であるため、避けるべきです。

①詐害行為否認の対象となる

破産管財人によって否認権が行使され、名義の如何にかかわらず破産手続きによる処分の対象となる可能性があります(破産法160条、161条)。

②免責不許可事由に当たる可能性がある

財産減少行為として、免責不許可事由に該当する可能性があります(破産法252条1項1号)。

免責不許可事由が存在する場合、原則として破産免責が認められません(例外的に、裁量免責が認められることはあります)。

③詐欺破産罪で処罰される可能性がある

債権者を害する財産の隠匿や不利益処分などに当たり、詐欺破産罪で処罰される可能性があります(破産法265条1項)。破産者である配偶者だけでなく、名義変更を受けたご自身も、詐欺破産罪で処罰されるおそれがあるので要注意です(同条2項)。

詐欺破産罪の法定刑は「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」です。きわめて重い懲役刑・罰金刑が設定されており、両方が併科される場合もあります。

5. 離婚する場合、配偶者の借金はどうなるのか?

借金を負っている配偶者と離婚する場合、借り入れのタイミングによっては、借金が財産分与の対象となるので注意が必要です。

5-1. 借金が婚姻前からある場合|配偶者が全額返済義務を負う

配偶者が婚姻前の段階で借り入れた借金は、離婚後も配偶者が全額返済義務を負います。

夫婦の一方が婚姻前から有する財産は、「特有財産」として財産分与の対象外となるからです(民法762条1項)。

5-2. 婚姻中に借金をした場合|財産分与によって調整すべき場合あり

これに対して、借金が婚姻中に借り入れたものである場合には、原則として名義の如何にかかわらず夫婦の共有財産(債務)と評価され、財産分与の対象となります(民法762条2項)。

ただし、配偶者の借金の返済義務そのものを夫婦で分けるには、債権者の同意が必要です。そのため実務上は、借金の金額を考慮して、財産分与の金額を調整することになります。

具体的には、ご自身が財産分与を受ける場合、借金がない場合よりも受け取れる財産分与の額が少なくなってしまう可能性があります。

また、配偶者の資産が少なければ、ご自身から配偶者に対して行うべき財産分与の額が増えてしまうかもしれません。

このように、婚姻中に作った借金がある状態で離婚をする場合、財産分与に影響が生じる可能性がある点にご注意ください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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