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今夜ブラジルと対決するサッカー日本代表、圧倒的実力差を跳ね返す術はあるのか

2022.06.06

対戦成績は0勝2分10敗の王国・ブラジルとの再戦。「圧倒的実力差」を跳ね返す術は?

21年ぶりのセレソン(ブラジル代表の愛称)凱旋がいよいよ実現する。

日本代表対ブラジル代表の一戦が6日、東京で行われる。目下FIFAランキング1位の相手、新国立競技場初の代表戦ということで、チケットはすでに完売。コロナ禍でサッカー人気停滞が懸念される中、この一戦の注目度は極めて高い。

過去のブラジルとの対戦成績は0勝2分10敗。数字の通り、日本は一度も王国を破ったことがない。96年アトランタ五輪初戦で、伊東輝悦(沼津)の劇的ゴールで1-0の勝利を挙げた「マイアミの奇跡」は広く知られているが、この時の日本はU-23日本代表。相手も94年アメリカW杯優勝メンバーであるベベットとアウダイール、2002年日韓W杯準優勝メンバーとなるリバウド、ロベルト・カルロスらトップ選手が名を連ねたものの、完全なるA代表ではなかった。純粋なA代表同士の試合で、日本は「歯が立たない状態」が続いているのだ。

中田英寿のラストマッチもブラジル戦だった

ピッチに倒れ込む中田(筆者撮影)

最もインパクトの大きかったブラジル戦と言えば、2006年ドイツワールドカップ(W杯)の最終戦(ドルトムント)だろう。

中田英寿の現役ラストマッチとなったこのゲーム。日本は前半34分に玉田圭司(長崎アンバサダー兼アカデミーロールモデルコーチ)が得意の左45度から先制点をゲット。王国を本気にさせたが、そこからの反撃は凄まじかった。

前半終了間際にロナウドに同点弾を奪われると、後半立ち上がりに2失点。最後にはロナウドにこの日2点目となるゴールを決められ、終わってみれば1-4。

「自分のゴールで本気になったんじゃないかな。1年前のコンフェデ(レーションズカップ=ドイツ・2-2のドロー)とは全然違った。舞台が舞台だしね」と唯一の得点者となった玉田も途方に暮れていた。中田が試合後、ピッチに倒れ込んだのも、さまざまな感情が渦巻いたからだろう。

その実力差は15年以上の時が流れても埋められていない。直近10年間を見ても、厳しい現実がよく分かる。

直近10年間で4度の対戦は全て大敗

一番近い対戦は、2017年11月にフランス・リールで行われた親善試合。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(モロッコ監督)が香川真司(シントトロイデン)、本田圭佑、岡崎慎司(カルタヘナ)の「ビッグ3」を外し、井手口陽介(セルティック)をトップ下に抜擢するという大胆采配に打って出た一戦だ。

日本は開始9分に吉田麻也(サンプドリア)がフェルナンジーニョ(マンチェスターC)を振り払おうとしてVAR判定でPKを献上。ネイマール(PSG)に先制点を奪われ、前半だけで3失点してしまった。

「ゲームを台無しにしてしまうようなミス。ホントにアホなことをしてしまった」と現キャプテンは悔やんだが、それも実力の内。1-3の黒星は本当に苦い経験となった。

2017年の対戦時のポスター(筆者撮影)

この前は2014年10月のシンガポールでの対戦。ハビエル・アギーレ監督(マジョルカ)体制発足から間もないゲームで、当時代表実績の少なかった柴崎岳(レガネス)、酒井高徳(神戸)らが先発した。

けれども、18分にネイマールに先制点を奪われると一気に崩れ、終わってみれば0-4。全得点をネイマールに叩き出された。彼と同い年の柴崎が「並大抵の速度では、現役時代の中でこういったチームには対応できないのではないかと思う」ととてつもない差に落胆したほどだ。

2013年コンフェデレーションズカップ(ブラジル)初戦(ブラジリア)でも日本はブラジルと対峙している。当時は本田、香川に長谷部誠(フランクフルト)、内田篤人(JFAロールモデルコーチ)らスターを揃えた日本代表だったが、ここでも開始3分にネイマールに失点。立ち上がりの脆さを露呈する。そのまま圧力を跳ね返せず、さらに2点を失い、0-3で完敗した。

ここから半年遡った2012年10月にも、ポーランド・ブロツワフでカナリア軍団に挑んだが、日本はパウリーニョ(コリンチャンス)に開始12分に失点。ネイマールに2点を奪われ、最後にはカカもゴール。0-4で大敗した。

長友佑都(FC東京)は「レベルが違いました。全てにおいてのレベルが違ったかなと。もう…、悔しい気持ち、う…、それを通り越しているというか…」と言葉が出なかった。その印象は今も変わっていないだろう。

2012年10月のポーランドでの一戦は悪天候。重苦しいムードが漂った(筆者撮影)

下剋上のカギは開始20分以内の失点阻止とネイマール封じ

長友は上記の4試合全てに帯同しているのだから、切実な思いがあるはず。35歳になり、Jリーグに復帰して自己研鑽を続けている彼が意地を見せられるか否か。今回は負傷離脱中の酒井宏樹(浦和)に代わって右サイドバックで出場する可能性が高く、ネイマールとのマッチアップも想定される。まさに大ベテランの真価が問われると言っても過言ではないだろう。

ブラジルに一矢報いるために、日本が果たすべきことはいくつかある。最重要ポイントとなるのが序盤の失点阻止だ。2012~2017年の4試合を見ると、日本は開始20分以内にゴールを失い、リズムを崩され、ズルズルと引き離されている。「マイアミの奇跡」の時のように、ブラジルにゴールを与えず、焦燥感を募らせられれば、まだ勝ち目がありそうだ。

ただ、2006年ドイツW杯の時のように早い時間に日本が先制してしまうと、今度は相手が目の色を変えて向かってくる。それも筋書としてはよろしくない。やはり、後半までスコアレスのまま一進一退の攻防を続け、終盤に日本が1点を奪って逃げきるという展開が理想的だ。

ベンチの戦力や90分間戦い抜く総合力を考えるとその試合運びも非常に難易度が高いと言えるが、それが実行できれば、半年後のカタールW杯本番でのドイツ、スペイン戦の突破口が見えてくる。

もう1つの必須テーマはズバリ、ネイマール封じだ。2日の韓国戦で78分プレーしているだけに、日本戦はスタメン出場する可能性が低いものの、過去4戦で8ゴールと「日本キラー」として凄まじい存在感を示している絶対的アタッカーを止められない限り、初勝利の道は見えてこない。

「彼にボールが回ってくる前に、いかにブラジルにプレッシャーを与えられるかっていうのが大事。すごいリラックスした状態の彼にボールが渡ってきたら止めるのは難しい」とマルセイユ時代にネイマールと対峙した経験のある酒井宏樹がヒントを口にしたことがあった。つまり、エースにボールが渡る前が勝負になってくるのだ。

それはネイマールだけではない。5月28日のUEFAチャンピオンズリーグ決勝でリバプールから決勝点を叩き出したレアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオールにしても、フリーにさせたらやりたいことをやってくる。そうならないように可能な限り、組織でつぶしていくしかない。

ここで惨敗したら、カタールW杯でのベスト8進出のハードルは一気に上がる。逆に好勝負ができれば大きな希望が見えてくる。新国立に6万人の大観衆が押し寄せる注目カードを結果・内容面でも大いに盛り上げてほしいものである。

取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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