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相続トラブルを回避するために「相続放棄」を選択するメリットとデメリット

2022.06.05

いつ発生するかわからない親族間での相続問題。トラブル解決の手段の一つである「相続放棄」についてこのほど、弁護士の解説とともに紹介していく。

課税対象被相続人数は過去最高

令和2年の課税対象被相続人数は、過去最高となった。相続というと揉めるといったネガティブな印象があるが、実際に多くのトラブルが発生しているようだ。

「相続額が少なければトラブルは発生しない」は誤解

「うちは相続財産も少ないし、遺産相続で揉めることはないだろう…」と考えることもあるかもしれない。しかし、相続で揉めるのは相続財産が多いケースに限ったことではない。

裁判所が作成した司法統計によると、家庭裁判所の相続に関する調停の数は、おおよそ1万2,000件~1万3,000件程度で推移しており、決して少ない数字ではないので相続に関して正しい知識を持っておくことが望まれる。

相続権を持つ法定相続人が、被相続人の残した財産の一切の相続を拒否する相続放棄を行う場合、相続放棄には期限があるため、スムーズに手続きを進めなければいけない。

そこで今回、相続放棄の進め方や注意点、手続きを楽に済ませる方法などについて、川崎相続遺言法律事務所の関口弁護士の解説を以下に紹介する。

そもそも、相続放棄とは?

相続放棄とは家庭裁判所に対して「私は被相続人のプラスの財産を一切受け取りません。マイナスの財産(借金等)も一切負担しません」という申し出をすることです。

一般的には、相続財産のなかでプラスの相続財産よりもマイナスの相続財産の方が多いことがはっきりしており、相続人が借金などの不利益を被ることが明らかな場合に相続放棄を検討します。ほかにも「相続争いに関わりたくない」という場合なども相続放棄を検討した方が良いかもしれません。いくつかの必要書類を作成・準備して家庭裁判所に提出します。

【相続放棄の主な理由】

・被相続人の借金を相続したくない時
・その相続にかかわりたくないとき
・特定の相続人に相続を集中させたい場合

【相続で揉める家族の特徴7選】

・相続人同士が疎遠・仲が悪い
・生前に1人の相続人が多額の贈与を受けている
・相続財産に金融資産以外の財産が多く含まれている
・推定相続人が相続をするのにあたり何らかの支障がある
・想定していない相続人が急に現れる
・親の介護の負担が相続人で異なる
・被相続人の財産管理を1人の相続人がしていた

相続放棄ができないケース

以下のケースでは相続放棄はできず、プラス、マイナスそれぞれの財産両方を相続することになります。

・相続人が相続財産の全部、または一部を処分した
・3ヶ月以内に限定承認または相続放棄をしなかった
・相続財産を隠匿した

相続放棄のメリットとデメリットは?

メリット…相続によって相続人が不利益を被ることを防げる
デメリット…財産調査が不十分な段階で相続放棄すると、損をしてしまう可能性がある

メリットは相続による不利益を被らないこと。相続で財産が得られると思っていたのに、被相続人が残した借金を肩代わりすることになってしまっては、その後の人生設計にも悪影響が及びかねません。遺産分割などの相続人同士の争いに巻き込まれることがないというのも大きなメリットのひとつです。

一方、デメリットは、財産調査を十分に行っていない段階で相続放棄すると損をしてしまう可能性がある点です。「相続をしてもデメリットしかない」と考えて相続放棄をした場合、後になってプラスの相続財産が見つかったとしても相続は受けられません。

相続放棄にはメリットとデメリットがあるため、相続放棄するかどうか判断する際は被相続人の財産調査が非常に重要です。

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかはっきりしない場合は、「相続を受けた人がプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ」限定承認制度の利用を検討しても良いでしょう。万が一マイナスの財産がプラスの財産より多い場合でも、引き継ぐマイナスの財産はプラスの財産の範囲内に抑えることができます。

相続放棄の手続きに関する期限は3ヶ月

基本的に、相続放棄の申し立てを行う期限は相続の開始を知って(被相続人が亡くなった日)から3ヶ月以内です。なお、相続財産の調査がスムーズに進まない場合などは、3ヶ月以内に相続放棄するかどうか判断が難しいこともあるでしょう。期限内にスムーズに手続きを済ませるためにも、弁護士などに相談することをおすすめします。

相続放棄の手続きと全体の流れは?(1)

①相続放棄にかかる費用を準備する
相続放棄には、収入印紙代800円と郵便切手代(裁判所によって金額が異なる)の費用がかかります。

②相続放棄に必要な書類を用意する
相続放棄では、「相続放棄申述書(相続放棄の意思表示を記した書類)」「被相続人の住民票除票または戸籍附票」「 申し立てる人の戸籍謄本」の3種類の書類が必要です。

相続放棄の手続きと全体の流れは?(2)

③相続放棄の全体スケジュール
必要書類・費用を準備した後は、家庭裁判所に申述書等を提出して申し立てます。

④財産調査を行う
相続においては、被相続人の相続財産の調査が必要です。相続財産には、大きく分けて預貯金と不動産があります。預貯金は預金通帳や金融機関からの郵送物などで確認し、不動産は固定資産税通知書や名寄帳などで確認できるでしょう。

ほかにも、マイナスの相続財産についても調べなければいけません。この場合も、郵便物や預金通帳などで確認できます。特に、預金通帳に定期的な支払いがないかよく確認しましょう。

⑤家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
財産調査の結果、プラスの相続財産よりもマイナスの相続財産が多ければ、被相続人の住民票の届出のある場所を管轄する家庭裁判所へ相続放棄を申し立てましょう。

⑥相続放棄申立後に照会書が届く
家庭裁判所に相続放棄を申し立てると、約10日後に家庭裁判所から相続放棄に関する照会書が送付されます。送付書には回答を記入する欄があり、必要事項を記入して家庭裁判所へ再送しましょう。

⑦相続放棄が許可されれば相続放棄申述受理通知書が届く
再送してから10日ほどで、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。これにより、相続放棄の申し出が受理されたことになります。

<関口英紀弁護士プロフィール>
経歴 :中央大学法科大学院修了
2007年12月 弁護士業務開始
2008年1月 日本司法支援センター(法テラス)採用後、法テラス熊谷法律事務所所長、法テラス多摩法律事務所での勤務などを経て独立
2014年1月 川崎相続遺言法律事務所開設(神奈川県弁護士会)

出典元:株式会社アシロ

構成/こじへい


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