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【最新ビジネス解説】全国の漁港とバイヤーをつなぐウーオの鮮魚発注プラットフォーム「UUUO」

2022.06.06

スーパーに鮮度の落ちた魚が並ぶのは、古くからの鮮魚流通の仕組みが原因――課題を指摘するのは、独自開発のアプリ「UUUO」を武器に水産業のDXに取り組むウーオ社。職人気質が根強い業界にあって、ITによる改革をどのように進めるか? あなたが社内外を問わず、何かしらの変革に取り組んでいるなら、大いに参考になるビジネスストーリーだ。

全国の港をつなぐ新しい仕組みをITで

UUUOは、全国100以上の港の水揚げ情報を集約する、法人向けの鮮魚発注プラットフォームだ。仲買や小売など消費地のバイヤーは、アプリを通して、全国の生産者から直接魚を買い付けられる。

水揚げ情報は毎日更新され、魚の水揚げ日や漁法、価格など、詳細な情報が分かる。ほしい魚がなければ、バイヤー側から出品をリクエストすることも可能だ。

「いつ、どこで、なにが、どれくらい漁獲されているのか、網羅的に把握できるプラットフォームが日本の水産業にはなかった」と同社。そのため毎朝、産地の生産者と消費地のバイヤーは、電話やLINE で売買を行なっている。

魚は鮮度劣化が早いので、毎朝の売買にかけられる時間は限られる。全国の魚を比較して仕入れることは、現実的に不可能だ。

生産者や小売、流通業者によるネットワークは確かに存在しているが、いわばブラックボックスとなっており、誰も全体像を把握できない。配分が最適化されず、ある漁港では魚が余るが、隣の漁港では同じ魚が不足する、といった事態も起こっていた。

「Amazonのマーケットプレイスができる前のような状態。消費者は家の近くの本屋を回ってほしい本を探すしかなく、本屋は遠くの見込み客にリーチできなかった(同社)」。

UUUOは水産業のバリューチェーンを見える化し、水産物を最適に配分する仕組みだ。

生産者は手間をかけることなく、簡単に新たな販路が開拓でき、バイヤーにとっても仕入拡大が容易になる。

デジタル上の広域なマーケットプレイスでは、需要と供給が最適化され、売れ残りの解消、適正価格での取引、鮮度の向上が実現する。市場には出回らない魚も含め、商品が多様化するという点もAmazonに通じる。

押し付けるだけのDXではなく

こうして水産業のDXを進める同社だが、魚の流通に関連する水産業の課題解決へ、トータルで取り組んでいる点に注目したい。

物流では、市場間流通を担う地場の運送会社と連携。独自の物流網を整備することで、安価で速やかに配送する仕組みを整えた。

また、魚種の詳しい情報や美味しい食べ方がわかるPOPを制作したり、独自の販促キャンペーンを企画するなど、消費者向けの取り組みにも積極的だ。「街の魚屋のように、情報を的確に伝える機能が減少し、消費者の欲しい情報が店頭で得られない状態になっている(同社)」。

自社で水産市場の競りに参加できる買参権を取得し、仕入と卸業務を行っていたことも興味深い。経験を元に、同社メンバーも「UUUO」で仕入れ・販売を行い、迅速にサービスにフィードバック。また、市場関係者との関係を築くことで、プラットフォームである「UUUO」への参加者を増やしてきた。

「『新参者がITで効率化しましょう!』と一方的に呼びかけても、信頼してもらえない」という同社の言葉は、あらゆる業界、仕事に通じるのではないだろうか。今や社会、ビジネスのDXは「待ったなし」だが、上から仕組みを押し付けるだけではコトは進まないのかもしれない。プレイヤーとして業界に飛び込み、ともにビジネスをブラッシュアップしていく姿勢を参考にしたい。

UUUO

取材・文/ソルバ!
人や企業の課題解決ストーリーを図解、インフォグラフィックで、わかりやすく伝えるプロジェクト。ビジネスの大小にかかわらず、仕事脳を刺激するビジネスアイデアをお届けします。 
https://solver-story.com/

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