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「Reproductive Health and Rights」という言葉とともに考える性と生殖に関する現状

2022.06.14

リプロダクティブ・ヘルス&ライツから世界と日本のニュースを考える

使う人間が生きているのと同じように生きているのかもしれない言葉。

イメージで捉えてしまったり、曖昧なまま使っていたりする言葉。

少し立ち止まって、そんな言葉と向き合う時間を提案します。

今回は「Reproductive Health and Rights(リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)」、性と生殖に関する健康と権利を表す言葉について。

「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」とは、1994年のカイロ国際人口開発会議と、1995年の北京世界女性会議において定義され、それ以来繰り返し重要性を議論されてきた概念です。

先に定義に触れると、「人間の生殖システム、その機能と過程のすべての側面において、単に疾病、障害がないというだけではなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあること」、「すべてのカップルと個人が、その子どもの数と、出産の感覚、そして時期を自由にかつ責任をもって決定し、そしてそれを可能にする情報と手段を有することを基本的人権として承認し、最高の水準のセクシュアル・ヘルスとリプロダクティブ・ヘルスを獲得すること(1994年、国連)」とされています。

定義を読んでみても、なかなか意味を捉えることが難しいですが、自分の身体にまつわることを自分自身で決められる人間の根源的な権利と言え、その意義が広く理解されることはとても大切です。

脅かされる妊娠・出産の健康と選択

これまで「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」は、特に「女性の権利」に関わる領域で多く言及されてきました。

妊娠や出産にまつわることがらが、それを行う当人の選択や健康よりも、人口政策や宗教、慣習的道徳の枠で決められてきてしまった歴史が大きな要因です。

しかし、今でもその権利が守られていないことが指摘されている国は多くあり、また逆流するような出来事が起きてもいます。

医療ネットワークが行き届かない国では、病院での定期的な健康診断が受けられずに、自宅分娩を選ばざるを得ず、その衛生状態が思わしくないことから、妊娠、出産が命がけのイベントとなっている現状があります。

環境の劣悪さにかかわらず、避妊を嫌う風潮がある場合も多く、実質的に避妊の役割を中絶によって代替える実情が報告されているケースも。

しかし無資格、無認可の中絶処置を受けなければならない場合の、中絶を受ける人の身体リスクは深刻です。

アメリカで巻き起こる中絶をめぐる論争

 

ワシントン・スクエア・パークで行われた「中絶の正義のための集会」に集まった人々。ニューヨーク州 2021年10月2日

アメリカでは、1973年に「ロー対ウェイド」事件で、最高裁が妊娠する当人に人工中絶の権利を認める判決を下しています。

それにもかかわらず、「中絶の権利」に反対し、人工中絶を規制すべきとする保守勢力と、出産の「選択」を妊娠する当人に委ねるべきとする人々との間には、常に攻防が繰り返されてきた歴史があります。

そんな中、今年の5月始めニュースサイトによって、「ロー対ウェイド」事件の中絶の権利を保障する判決について、現最高裁判事が「甚だしく間違っている」と意見する判決草案がリークされました。

大きな後退と言っていいこの判決草案に、市民はじめ多くの見識者が紛糾しましたが、バックラッシュの波は大きく、アラバマ州のケイ・アイヴィー知事は5月15日に人工妊娠中絶を全面的に禁止する法案に署名し、レイプや近親相姦による妊娠でも中絶を認めないとする全米で最も厳しい中絶禁止法が成立、さらに50州のうち、16州で中絶権を制限する州法案が提出され、複数の州ですでに可決されています。

この流れを食い止め、「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」を守ろうとする多くの人々が、今日も数多くの抗議デモを各地で行い続けているのです。

日本の「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」

日本の課題を見てみても、やはり妊娠、出産、そして中絶にまつわる状況には大きな課題が残されています。

中絶に関しては、先進国ではすでに多く使用されている中絶薬の認可が進まず、現在でも、WHOによって身体に負担を強いる時代遅れな手法とされた「掻爬(そうは)法)」が主流となったままです。

一方でアフターピル(緊急避妊薬)が医師の診療を必要とし、処方箋がないと薬局で入手できない現状にも批判が集まっています。

このように「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」を考ていて行き当たるのは、性と生殖、自身の身体的健康に関する安全な選択肢を絞ることをせず、すべての人がその選択を主体的にできるように、議論を避けないことの大切さ。

正しい知識へのアクセス、性教育の地盤をしっかり整えることと両輪で進めることが必要です。

それによって性や生殖行為にまつわる偏見、性別間の非均衡をなくしていくことが、「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」をすべての人に保障するための最初の第一歩になるのではないでしょうか。

Netflixで観ることができる関連番組

「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」の視点で観るととても考えさせられる番組を2つ紹介します。どちらもNetflixで観ることができるので、ぜひチェックしてみてください。

「彼女の権利、彼らの決断」

米国で人工妊娠中絶を認めたロー対ウェイド判決を覆そうとする過去数十年にわたる政治運動を、中絶の権利を支持する人々と、中絶を禁止しようとする人々へのインタビューとともに振り返るドキュメンタリーです。

「ヒヤマケンタロウの妊娠」

仕事もプライベートも順風満帆な毎日を送っていたエリート広告マンが、まさかの妊娠。

同名のコミックを原作に、男性が妊娠、出産できる世界を描きます。健太郎(斎藤工)に降りかかる妊娠出産にまつわるトラブル、パートナーの妊娠にどう関わるかを問われる亜季(上野樹里)の姿に考えさせられるドラマ。

文/山根那津子

ジャーナリズム誌やカルチャー誌の編集をしていた何者でもないただのフェミニスト。自身のミソジニーに気がついて一時ベルリンに移住。書くこと、描くことが好き。

編集/inox.

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