新たな出張スタイル「ブリージャー」とは
「ブリージャー」という言葉を聞いたことはありますか?
今、世界で注目されている新しい「働き方」の形です。
というわけで今回は、日本でも話題になっているブリージャーについてご紹介。ワーケーションとの違いや導入メリットなどをまとめました。
ブリージャーとは?
ブリージャーは、ビジネス(Business)とレジャー(Leisure)をかけ合わせた造語で、「ブレジャー」といわれることもあります。
日本語にすると「出張休暇」という意味で、出張に合わせて前後数日間の休暇をとり、出張で訪れた先に滞在して観光や旅行を楽しむスタイルのことです。
例えば先方との打ち合わせのために東京から大阪へ出張に行くような場合、通常であれば業務終了後は速やかに帰社、もしくは1泊して翌日帰社などのスケジュールになるかと思います。しかしブリージャーを利用すればそのまま大阪に数日間滞在し、余暇を満喫できるようになります。
この場合、休暇中の大阪での滞在費や観光費はもちろん自己負担です。ただし、東京大阪間の移動は出張費として計上できるのが一般的です。
ワーケーションとの違いは?
ブリージャーと似ている働き方に「ワーケーション」がありますが、この2つは少し性質が異なります。ワーケーションは 仕事(Work)と休暇(Vacation)をかけ合わせた造語で、職場や自宅以外の場所で休暇を楽しみつつ仕事にも取り組むといったスタイルのことです。
ブリージャーのように休暇をとって出張先でそのままプライベートを過ごすというものではなく、どちらかというと休暇として訪れた先で一定時間仕事もこなすといったイメージですね。フリーランスにとっては比較的馴染みのある働き方でしたが、テレワーク制度の導入促進やオンラインツールの普及によって企業にも少しづつ浸透しつつあります。
ブリージャー導入のメリット
「新たな旅のスタイル」として、観光庁もプッシュしているブリージャー。コロナ禍でダメージを受けた観光業界や地方自治体にとって、土日やレジャーシーズン以外にも観光客が流れてくるブリージャーのような取り組みは大きなチャンスです。
また、企業や従業員にとってもいくつか期待できるメリットがあります。
【企業が期待できるメリット】
- 従業員満足度やモチベーションの向上
- 働き方改革の推進
- 有給休暇の取得促進
- 地域との関係性の構築
- 地方創生への貢献
【従業員が期待できるメリット】
- 業務パフォーマンスやモチベーションの向上
- ストレスの軽減や心身のリフレッシュ
- 取引先や関連会社が属する地域の理解促進
- 休暇に関する移動費負担の軽減
- 混雑シーズンを避けた連休取得が可能
企業としては、ブリージャーを取り入れることで従業員のパフォーマンスにポジティブな影響を与えることが期待されます。また、通常出張は平日に行われるため、従業員は大型連休などの混雑を避けて余暇を楽しむことができ、移動費用などを節約できるのもメリットです。
ブリージャー導入の注意点
一方で、ブリージャーの導入には後々トラブルにならないように気をつけるべき注意点もあります。
- 出張費(旅費交通費)規定を確認する
- 労災の適用範囲を明確にする
- 個人情報や社外秘情報の管理対策をする
ブリージャーを適用する場合、業務中と休暇中の扱いを明確にし、出張で使った機密書類の管理などを徹底することが重要になります。
ブリージャーに対する世界と日本の取り組み
日本ではまだあまり聞き馴染みのないブリージャーですが、海外ではすでに数年前から注目されはじめています。世界44,000社で利用されている出張・経費管理クラウド「SAP Concur」のシステムデータによると、2017年には全世界で220万件以上のブリージャーが行われたということ(※)。
そんな海外の盛り上がりを受け、日本でも2021年3月に国土交通省観光庁による『 「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー』ウェブサイトが開設されました。多くの企業でテレワークが採用されるようになった今、働き方の多様化に合わせたブリージャー・ワーケーションなどの「新たな旅のスタイル」の導入促進に向け、働きかけを行っています。
参照:https://www.concur.co.jp/newsroom/article/pr_bleisure-gaining-popularity
ブリージャーはこれからの仕事と旅のスタイル!
出張とレジャーをかけ合わせ、余暇を満喫することができるブリージャー。
ビジネスの機会を有効活用して、コロナ禍で低迷してしまった観光地の活性化にも一役買うことができる点も良いですよね。型にはまった働き方が見直されつつある今、ブリージャーの注目度は今後ますます上がっていきそうです。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.