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離婚したら飼っていたペットを引き取れるのはどっち?

2022.06.06

ペットを飼っている夫婦が離婚する場合、どちらが引き取るかで揉めてしまうケースがあります。夫婦間での話し合いがまとまらない場合、ペットを引き取る人はどのように決めればよいのでしょうか?

今回は、離婚時のペットの取扱いについて、法的な観点からまとめました。

1. 法律上、ペットは「物」

ペットを飼っている方の中には、ペットを「家族」と捉えている方が多いのではないでしょうか。しかし法律上は、ペットは「物(動産)」として取り扱われます。

「物」である以上、ペットは所有権の対象です。したがって、人間に飼われているペットは、その人間の所有物ということになります。

2. ペットに関する財産分与の基本ルール|特有財産と共有財産

夫婦が離婚をする場合、共有財産を公平に分ける「財産分与」を行います(民法768条、771条)。

法律上は「物」であるペットについても、離婚の際には財産分与のルールに従って、離婚後の飼い主(=所有者)を決めることになります。

具体的には、以下の考え方に従って、離婚後の飼い主が決まります。

2-1. 婚姻前にペットを飼い始めた場合

夫婦のいずれかが婚姻前から所有している財産は「特有財産」と呼ばれ、財産分与の対象外です(民法762条1項)。

したがって、婚姻前から飼っているペットは財産分与の対象にならず、元々飼っていた側が離婚後の飼い主となります。

2-2. 婚姻中にペットを飼い始めた場合

夫婦のいずれかが婚姻中に取得した財産は、特段の事情がない限り夫婦の「共有財産」とみなされ、財産分与の対象となります(民法762条2項)。

したがって、夫婦が婚姻中に飼い始めたペットについては、財産分与の手続きを通じて離婚後の飼い主を決定します。

3. 財産分与でペットを引き取る人を決める手続き

ペットが財産分与の対象となる場合、離婚後の飼い主は、以下のいずれかの手続きを通じて決めることになります。

①協議

夫婦が話し合って、離婚後のペットの飼い主を決定します。他の共有財産の分け方についても、併せて話し合います。

財産分与の方法について合意が成立したら、その内容を書面にまとめ、公正証書の形で締結するのが一般的です。

②調停

家庭裁判所の調停を通じて、調停委員の仲介の下で夫婦が話し合い、離婚後のペットの飼い主を決定します。

財産分与のみを話し合う「財産分与請求調停」と、他の離婚条件を含めて話し合う「離婚調停」の2種類があります。

参考:財産分与請求調停|裁判所
参考:夫婦関係調整調停(離婚)|裁判所

③審判・訴訟

財産分与請求調停が不成立となった場合、家庭裁判所が審判によって、ペットの飼い主を含む財産分与の方法を決定します。

これに対して、離婚調停が不成立となった場合には、財産分与に限定した審判は行われません。

ただし、後に夫婦のいずれかが離婚訴訟を提起して、裁判所が離婚を認める判決を言い渡す場合には、併せて財産分与の方法についても判断を示します。

4. 審判・訴訟でペットを引き取る人を決める場合に、考慮される主な要素

審判や訴訟の判決で離婚後のペットの飼い主を決める場合、裁判所は主に以下の要素を考慮して結論を出すものと考えられます。

離婚後もペットを飼い続けたい場合には、自分にとって有利な事情を、裁判所へ説得的に主張することが大切です。

①婚姻中のペットとの関わり方

婚姻中にペットと過ごす時間が長かった側、ペットの世話を積極的に行った側が、離婚後の飼い主と認められやすい傾向にあります。

②ペットを飼育する環境

住環境が良い、時間に余裕がある、飼育に協力してくれる人(親族など)がいるなど、ペットを飼育する環境が整っていると有利になります。

③ペットの飼育に耐え得る経済力

経済力が不十分であり、ペットの飼育費を負担できるかどうか疑わしいと判断されると、離婚後の飼い主として認められにくくなってしまいます。

5. 離婚後のペットとの関わり方についてのQ&A

ペットを飼っている夫婦が離婚する場合、離婚後の飼い主を決めたら終わりではなく、その後も継続的にペットと関わっていかなければなりません。より良い形でペットと関わり続けるため、離婚時に夫婦間で適切な取り決めを行うことをお勧めいたします。

離婚後のペットとの関わり方について、よくある疑問点に対する回答をまとめました。

5-1. 離婚後もペットと会わせてもらうには?

元夫婦のうち、離婚後の飼い主にならなかった側がペットに会うためには、飼い主である元配偶者の許可を得なければなりません。

法律上、ペットは飼い主の所有物であり、飼い主が自由にペットに会わせるかどうかを決められるからです。子どもについては認められる面会交流権も、ペットについては認められていません。

離婚後もペットに会いたい場合には、離婚条件を取り決める際に、ペットとの面会交流の方法を盛り込んでおくのがよいでしょう。もし元配偶者(飼い主)が約束を破った場合には、精神的な損害について慰謝料を請求できる可能性があります。

5-2. ペットの飼育費はどちらが負担するのか?

ペットの飼育費は、原則として飼い主が全額を負担します。反対に、離婚して飼い主でなくなった側は、飼育費を負担する義務もなくなります。

人間はペットに対する扶養義務を負わないため、子どもについて発生する養育費の支払い義務も、ペットについては発生しません。

離婚後の飼い主となる側が、元配偶者に対して飼育費の負担を求めたい場合には、その旨を離婚条件に盛り込んでおきましょう。飼育費の負担を合意しておけば、法的に飼育費の支払いを請求できます。

5-3. ペットを手放すことを禁止できるか?

離婚後の飼い主にならない側は、元配偶者が勝手にペットを手放してしまうのではないかと不安になるかもしれません。

ペットの飼い主は、法律上の所有物であるペットを、自分自身の判断で他人に譲渡することができるのが原則です。

ただし、離婚時にペットの譲渡について何らかの合意をしておけば、元夫婦の間では合意内容が優先されます。たとえば、元配偶者がペットを手放す際には、まず自分に引き取りを提案することを義務付けることなどを合意しておくことが考えられるでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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