根管治療後の歯の寿命は?
根管治療を受けた後の歯の寿命はおよそ11年であることが、新たな研究により報告された。研究論文の筆頭著者である米レーゲンストリーフ研究所のThankam Thyvalikakath氏は、「この研究結果は、大きな病院で治療を受ける人や保険加入者だけでなく、幅広い患者に関するリアルワールドデータでもある。
この情報は、歯科診療にとって有益であり、また、患者や歯科医がより良い治療方針を決める際にも役立つだろう」と話している。研究結果は、「Journal of Dental Research」に2022年5月12日掲載された。
虫歯などで問題が生じた歯は、根管治療を施すことでしばらくの間は維持可能だ。しかし、最終的にその歯はもろくなり、抜歯せざるを得なくなる。
研究グループは、根管治療後の歯の劣化がどのくらいの期間で進むのかを明らかにするため、米国内99カ所の歯科医院で根管治療を受けた患者4万6,702人(根管治療を受けた歯の本数7万1,283本)のデータを分析した。
その結果、根管治療後の歯の寿命の中央値は11.1年であり、根管治療を受けた歯の26%は20年以上残存していることが明らかになった。また、下記に挙げるように、いくつかの因子が治療後の歯の寿命の延長や短縮に影響することも分かった。
・根管治療後に詰め物および被せ物で処置した歯の寿命は中央値で20.1年だった。
・根管治療後に詰め物だけで処置した歯の寿命の中央値は11.2年、被せ物だけで処置した歯の寿命の中央値は11.4年だった。
・根管治療後に詰め物も被せ物もしなかった歯の寿命の中央値は6.5年だった。
今回の研究ではさらに、根管治療後の歯の寿命に大幅な地域差のあることが明らかにされた。
具体的には、根管治療後の歯の寿命は、米国北東部で20.5年、中西部と南西部でともに11.2年、南部大西洋岸で9.1年、中南部で9年、西部で8.7年であった。このほか、保険加入状況も、歯の寿命に有意な影響を及ぼしていることも判明した。
Thyvalikakath氏は、「この結果は、被せ物や永続的な修復治療の価値を示すものであり、保険適用範囲を決める上でも重要な情報となる可能性がある」と指摘。
そして、「口腔の健康は、健康全般に大きな影響を及ぼす公衆衛生問題の1つである。歯科診療記録を利用することで、治療を改善し、因果関係を明らかにし、歯と歯茎の健康を維持するための方法について、理解を深められる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2022年5月20日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00220345221093936
Press Release
https://www.regenstrief.org/article/study-analyzing-tooth-survival-after-root-canal/
構成/DIME編集部
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