小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

勤務時間や給与はどう変わる?知っておきたい「週休3日制」10の疑問

2022.06.27

週休3日制

「週休3日制が導入されるなら取得したい」。そう思っている人は注意が必要だ。1日休みが増えるという単純な話ではないからだ。専門家に様々な疑問を聞いてみた。

●教えてくれた人

新田 龍さんブラック企業アナリスト
働き方改革総合研究所代表取締役
新田 龍さん
労働環境改善と、労務トラブル解決によるレピュテーション改善が専門。近著に『クラウゼヴィッツの『戦争論』に学ぶビジネスの戦略』。

沢渡あまねさん作家/ワークスタイル&組織開発専門家
『組織変革Lab』主宰
沢渡あまねさん
あまねキャリアCEO。専門は働き方と組織開発。近著に『なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか』『新時代を生き抜く越境思考』。

週休3日制導入で成功する企業、会社員は?

 現在、大手企業を中心に導入が進む週休3日制。この新たなトレンドをどう受け止めるべきなのか。「休日が増えるからといって、安易に制度の導入を喜ぶのは危険」と語るのは、ブラック企業アナリストの新田龍氏だ。

「同制度を導入する際に必須なのが、DX化などで業務の効率化が進んでいること。効率化が進んでないのに労働時間だけが短くなれば、当然、時間内に終わらない仕事も出る。それを休日で穴埋めするのは本末転倒です。週休3日制は、あくまで効率化が進んだ企業でこそ実現できるもの。改革が行なわれていないのに、人件費削減や求人PR目的で導入した場合は、ただの名ばかり制度になって、社員が疲弊する可能性が高いです」

 一方で、週休3日制が成功すると、どんな効果が生まれるのか。ワークスタイル&組織開発専門家の沢渡あまね氏に聞いた。

「無駄な仕事や慣習を減らして新たに生まれた時間を、付加価値の高い業務に集中させることで、働く時間は減っても、新たなビジネスモデルを構築できます。現にそれで売り上げを伸ばす企業もあります。また、社員側も、週休3日で増えた休日を専門スキルの向上や複業に充てるなど、プロフェッショナルな人材として自己変革できる可能性も。会社と社員が一体となって、そんなWinWinの関係を生み出すのが理想的です」

 企業と社員の意識変革次第で、週休3日制は天国にも地獄にもなりえる。結果がどちらに転ぶかは、各々の努力がカギになりそうだ。

Q1|なぜ導入する企業が増えている?

A|背景に働き方改革の推進、人材コストの削減などがあります!

多くの企業が週休3日制を取り入れる大きな要因は、働き方改革の推進とコスト削減だ。「働き方が多様化する中、より柔軟な働き方を実現する週休3日制を採用するのは、働き方改革の視点でも理にかなっています。一方で、企業の業績悪化の中、労働時間を減らすことで、給与コストの削減を狙う企業も少なくありません」(沢渡氏)

Q2|勤務時間は減る?給料はどうなる?

A|次の3パターンが考えられます。

(1)【労働時間も給与も維持】
(2)【労働時間も給与も減る】
(3)【労働時間は減るが給与は維持】

週休3日で勤務時間や給与はどう変わるのか。「大別すると、1日の労働時間を増やして総労働時間と給与は維持する『総労働時間維持型』、労働時間も給与も減る『給与減額型』、労働時間のみ減って給与は変えない『給与維持型』があります。時間当たりの給与が増える『給与維持型』が理想ですが、現状は『総労働時間維持型』と『給与減額型』を導入する企業が多いです」(新田氏)

Q3|社員にとってのメリット、デメリットは?

A|[メリット]●ワークライフバランスの向上 ●スキルアップの確保
    [デメリット]●給与の減少や1日の労働時間が増える可能性も。●週休2日と週休3日の人で、大きな待遇格差が生じる危険も。

週休3日制で得られるメリットは、「育児や介護と仕事を両立するなど多様な働き方を実践したり、学び直しや複業、スキルアップなどに時間が使えること」(沢渡氏)。デメリットは、企業によっては給与などの減少や、週休2日の人より出世が遅れる可能性がある点だ。「労働条件や査定については、必ず企業側に事前確認を」(新田氏)

Q4|社会保険料、年金にも影響が?

A|給与減額なら受給額も減少します。

週休3日制で給与が減額になる場合は、社会保険料や年金にも影響が。「給与が減れば、定年後の厚生年金の受給額や、出産手当、育児休業給付金、傷病手当金、失業給付金なども減るので、対象者は注意を」(新田氏)

Q5|週休2日組、3日組の査定は?昇進に差は出ないか?

A|平等な査定には、新たな勤怠管理の仕組み、評価制度の構築が必要です。

「『2日制の社員だけが出世する』などの不平等を生まないように、週休3日に対応する新たな勤怠管理の仕組みと業務配分、評価制度の構築が必要です」(新田氏)

Q6|週休2日組からのやっかみはどうする?

A|批判が出ないよう、導入前に制度の一長一短を会社が説明すべきです。

「企業側が事前に長所と短所の説明をし、納得したうえで選択させるべき。週休2日から3日へ、週休3日から2日への変更も、柔軟に対応してもらえるのがベスト」(新田氏)

Q7|休みの日に得意先に呼ばれたら?

A|ひとつのクライアントを複数人で担当するなど、属人化を防ぎましょう。

この場合の対策は、仕事の属人化を防ぐこと。「各顧客を複数の社員で担当し、誰かが休んでも仕事が回る体制を整えて」(新田氏)

Q8|上司が休みで部下が出社。その時、部下の管理は?

A|上司不在でも仕事が回る仕組みや管理体制を、日頃から作っておくべきです。

「上司の仕事は部下の管理ではなく、あくまでマネジメントなので、上司が一時的に不在でも仕事は回ります。その環境がないならば、新たな仕組みや管理体制を構築しましょう」(新田氏)

Q9|週休3日制を取得するなら磨いておくべきスキルは?

A|専門性、どの組織でも通用するスキル、自己説明能力のアップデートが必要です。

生まれた余暇で何をするかで、会社員の明暗は大きく分かれる。「磨くべきは、プロ人材になるための専門性。あとは、組織をまたいで活躍するための汎用性のあるスキルと『自分はどんな人間か』を伝える自己説明能力のアップデートを心がけましょう」(沢渡氏)

Q10|週休3日の導入で、会社員の天国と地獄を分けるものは?

A|「仕事のやり方を変え、プロになる覚悟」が、会社と社員にあるかどうかです。

週休3日で効率化が進む〝天国〟もあれば、負担だけが増す〝地獄〟もある。両者の分水嶺とは? 「会社と社員がともに仕事のやり方を変える覚悟を持つことです。意識改革できれば、企業はビジネスモデルの変革が、個人は専門スキル向上による所得増などが見込める。反対に、この覚悟や変革意識がない企業や個人は、売り上げや収入の減少を生み、淘汰されていくでしょう」(沢渡氏)

週休3日出典:『新時代を生き抜く越境思考 ~組織、肩書、場所、時間から自由になって成長する』(著:沢渡あまね/技術評論社)

【結論】週休3日制を天国にするには……?3つの決別!

1 事務間接業務との決別
2 終身雇用に最適化された社会構造からの決別
3 流動性のない組織からの決別

「ハンコ業務など無駄な事務作業や、終身雇用に依存した流動性のない組織での働き方を捨てることで、企業や社員に〝覚悟〟が生まれ、意識改革が進む。そこで初めて、週休3日制の成果が生まれるはずです」(沢渡氏)

取材・文/藤村はるな

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。