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【ヒット商品開発秘話】シリーズ累計10万個以上売れているベイシア「お魚屋さんの鯖缶」シリーズ

2022.06.01

■連載/ヒット商品開発秘話

 群馬県を中心にチェーンストアを展開するベイシアのプライベートブランド(PB)、『お魚屋さんの鯖缶』シリーズが売れている。全国116店舗(ベイシアマートを除く)でシリーズ累計10万個以上を売り上げている。

『お魚屋さんの鯖缶』シリーズは、まず2021年9月に〈お魚屋さんの鯖味噌糀煮〉を発売。その後11月に〈お魚屋さんの鯖水煮(塩糀入り)〉、2022年3月に〈お魚屋さんの鯖醤油煮(塩糀入り)〉を追加した。いずれも、水産加工品の製造・販売の老舗、信田缶詰(千葉県銚子市)が製造しており、全3種にマルコメの『プラス糀 生塩糀』が使われているのが特徴となっている。

お魚屋さんの鯖味噌糀煮

生ではなく冷凍の鯖を使う理由

『お魚屋さんの鯖缶』シリーズは鮮魚部門が企画した。なぜ鮮魚部門が鯖缶を企画したのであろうか? 商品マーチャンダイズ事業部商品企画開発部 鮮魚マーチャンダイザーの越塚篤氏はこう話す。

「競合する小売店では、いろんな特徴を持った鯖缶が売られていますが、魚屋が開発に関わったものはほとんど見当たりません。グロッサリー(常温食品)部門の扱いで、加工食品の売場に置かれているのが普通ですが、魚屋が鯖缶をつくったら美味しいものがつくれると考えました」

 鮮魚部門による缶詰の開発は初の試みとなったが、グロッサリー部門が扱う鯖缶と比べて大きく変えることにしたのが価格帯。グロッサリー部門が扱う鯖缶は比較的安価なのに対し、高価格にしつつもより美味しいものをつくることにした。

 第1弾でつくることにしたのは味噌煮。開発は信田缶詰が担ってくれることになった。

 信田缶詰のある千葉県銚子市は、日本有数の漁港。鯖に関しては日本一の水揚げ量を誇る。前浜(目の前の海)で水揚げされた鮮度のよい良質の鯖を調達することが可能なことから、『お魚屋さんの鯖缶』シリーズは、最も旬とされる11月から2月にかけて銚子漁港に水揚げされたもののみを使用している。

「信田缶詰と組むことには迷いはありませんでした」と言う越塚氏。ただ、開発にはある懸念があった。越塚氏は続ける。

「差別化から、当初は生の鯖を使ってつくれればと思っていました。しかし、鯖の水揚げ量は減少してきています。水揚げ量が安定しないと安定供給ができないですし、工場の稼働も不安定になります。漁期が限られているのでその期間中に年間製造計画を立てて1年分つくったとしても、もし計画より売れたら補充ができません。工場の安定稼働とお客様への安定供給の面から考えると、生の鯖を使うことにはリスクがありました」

 このような懸念から、旬の時期に水揚げされ冷凍保存したものを使うことにした。

ベイシア
商品マーチャンダイズ事業部商品企画開発部
鮮魚マーチャンダイザー
越塚篤氏

塩糀の活用でまろやかな味わいに

 安定供給の見通しは立った。しかし、冷凍保存された鯖を使うので、生の鯖を使ったものと同等レベルの美味しさを持ったものをつくるには、ひと工夫が必要だった。

 ひと工夫で用いたのが『プラス糀 生塩糀』であった。ベイシアから信田缶詰に活用を提案したものだが、臭みが生に近くなりまろやかな味付けにすることができたという。

 ベイシアが信田缶詰に『プラス糀 生塩糀』を提案したのには、鮮魚部門でマルコメの西京焼き味噌や塩糀を使った商品を売場で展開したところ、来店客から好評だったことがある。この経験から、塩糀を使えば冷凍した鯖を美味しく仕上げることができるのでは、と考えた。

 とはいえ、信田缶詰からしたら糀の扱いに戸惑いがなかったわけではない。鯖の美味しさをうまく引き出すために、マルコメが持つ豊富なノウハウを活用して開発・製造することにした。また、麹菌を用いている糀を工場で扱うことについては、普段から一般生菌、カビ、酵母菌のような菌のコントロールをしているので、設備のメンテナンスや清掃などの面で面倒や不都合が生じることはなかったという。

 マルコメが持っているノウハウを活用するとはいえ、塩糀をどの程度使っていいのか見当がつかない。味噌とのバランスを取ることが課題だった。越塚氏が評価した試作は4つほどだったが、信田缶詰が実際につくった試作は10個を超えており、試行錯誤を繰り返した。

売れ行き好調により水煮、醤油煮も開発

 年間8万個を目標に販売を開始した『お魚屋さん鯖缶』シリーズは、発売から半年で目標を達成した。当初は味噌煮のみの計画だったが、売れ行きが良かったことから〈お魚屋さんの鯖水煮(塩糀入り)〉と〈お魚屋さんの鯖醤油煮(塩糀入り)〉が企画された。

〈お魚屋さんの鯖水煮(塩糀入り)〉は、〈お魚屋さんの鯖味噌糀煮〉の発売直後に開発が企画された。鯖以外に使うのが水ぐらいであることから、開発は水と『プラス糀 生塩糀』のバランスに気をつければよく、信田缶詰からしたら特別大変なものではなかった。

お魚屋さんの鯖水煮(塩糀入り)

〈お魚屋さんの鯖醤油煮(塩糀入り)〉は2021年11月に企画された。開発では味噌煮と同様、味のバランスを取ることが課題になった。醤油と糀のほか砂糖も使用。砂糖の使い方がポイントとなり、三温糖、上白糖、グラニュー糖など種類を変えながら試作を重ねた。

お魚屋さんの鯖醤油煮(塩糀入り)

利用客が親近感を覚えるレシピの提案

 商品の認知拡大には新聞の折り込みチラシやスマートフォンアプリ『ベイシアアプリ』を活用した。アプリは、開くとホーム画面に商品のバナーが表示される。バナーをタッチすると商品に関する記事に飛び、発売に関するプレスリリースやレシピ情報を参照できるようにした。

 レシピは発売に関するプレスリリースに掲載されている。すべて、料理研究家・フードコーディネーターのあまこようこさんが考案した。あまこさんに依頼したのはマルコメからの紹介がきっかけで、本生産に入る前につくるサンプルを渡し検討してもらった。

「こうやって食べてほしい、といった想いなどを伝えるため、以前から自分たちが扱う商品を使ったメニュー提案をしなければ、という話はありました。とくに魚は、どう使えば美味しく食べることができるのかがわかりにくい面があるので、その必要性をずっと言われ続けてきました」と越塚氏。味付けされた缶詰であってもより美味しくなる食べ方の提案は大切だという理由から、レシピを提案することした。

 レシピは発売時期の季節やイベントからテーマを設定。美味しいだけではなく家庭に普段からある材料を使って手軽につくれるものを提案してもらっている。ベイシアの利用客から見ても親近感を覚えてくれるものを提案してもらった。

〈お魚屋さんの鯖味噌糀煮〉を使った「寒さばの卵サンド」

〈お魚屋さんの鯖水煮(塩糀入り)〉を使った「鯖塩糀とキャベツのレンジ蒸し」

〈お魚屋さんの鯖醤油煮(塩糀入り)〉を使った「よだれ鯖」

取材からわかった『お魚屋さんの鯖缶』シリーズのヒット要因3

1.素材が持つ美味しさを引き出した

 原料の鯖は冷凍保存していたものを使用。臭みを消すことなど配慮しなければならないポイントがあったが、マルコメの『プラス糀 生塩糀』の活用で臭みを抑えることができ、まろやかな味わいにすることができた。

2.グロッサリーとの差別化

 鮮魚部門がつくるので、グロッサリー部門で扱う鯖缶との明確な差別化が不可欠。ベイシアがハブになり信田缶詰とマルコメのコラボレーションが実現したことで、良質な鯖に塩糀という今までにない組み合わせが実現した。

3.商品の理解を促進

 商品の認知拡大にスマホアプリを活用したが、告知だけにとどまらず商品の特徴やレシピも紹介。商品特性や美味しく食べるための活用法などがわかるようにしたことで、商品が深く理解できるようになっている。

 現在販売中の3種で基本的な味付けを網羅できたこともあり、シリーズとしては完成した。今後も、こだわり抜いて選んだ良い原料を使って美味しさを追求した、鮮魚部門ならではのPB商品を提案していきたいという。

ベイシア公式HP

文/大沢裕司

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