コロナ禍において米国株は手堅い投資対象だった。しかし、2022年に入ってからインフレ、利上げ、ウクライナ情勢など米国株に影響を与える出来事が続々と起こっている。米国株を専門とするYouTuber・ロジャーパパさんに米国株の今後について気になる疑問をぶつけた。
YouTuber ロジャーパパさん
チャンネル登録者数10万人。投資歴14年(日本株10年、米国株4年)。昨年11月、GAFA勤続10年目にしてFIREを達成。
〝利上げ〟は米国株にとって大事なターニングポイント
2020年3月以降、米国では異次元の金融緩和政策と呼ばれるゼロ金利政策が行なわれていました。そのため米国株はS&P500のような指数に連動した銘柄を買い続けるインデックス投資をしておけば利益の出せるやさしい相場でした。
しかし、昨年末より米国では消費者物価指数(CPI)が適正なインフレ率を遥かに上回る水準で伸びてきており、今年3月、FRBはついに2年間続けたゼロ金利政策をやめ、利上げすることを決めました。
これにより米国株は金融相場から業績相場に移行するので、これまで以上に個別銘柄もしくは特定セクターに注目する必要があるでしょう。
【投資スタンス3か条】
(1)投資対象は米国株のみ
(2)高配当銘柄に長期・分散投資
(3)コア・サテライトで守りながら攻める
Q1 利上げで米国株は値下がりしてしまう?
A1 「利上げ」=米国株の下落とは限りません!
利上げ前後、金融相場から業績相場に移行する時には、金融相場の含み益の売り逃げによる株価の下落などによって相場が調整される「中間反落」が起こり、市場全体で株価は低迷してしまいます。S&P500のような指数を見ても下落していますし、グロース株にとっても逆風です。しかし、決してネガティブな状況ではなく、企業決算が市場予想よりいいものであれば、業績相場にうまく移行し株価は上がっていくものです。長期投資ではこういったタイミングで投資をやめるのではなく、バリュー株を見つけ投資することが大事です。すでにSPYD、HDVといった高配当ETFが見直され、年初以来株価は上がり調子です。
利上げとは?
連邦準備理事会(FRB)による金融政策。インフレを抑制し市場を安定化するために、お金の動きを引き締めることが目的で行なわれる。
Q2 インフレに強いのはどんな株?
A2 コモディティーセクターに注目しています
コモディティー関連はインフレに強いと感じます。特にエネルギー関連企業は、インフレによって原油価格が上昇してもそのまま小売価格であるガソリン価格に転嫁しやすいため、株価の上昇が期待できる。しかし、例えばエクソンモービルとシェブロンのどちらがいいのかといった判断は難しいので、「エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド(XLE)」のようなエネルギーセクターを中心とした分散型のコモディティーETFに投資するのがいいでしょう。
Q3 ウクライナ危機は株価にどんな影響を及ぼす?
A3 過度に心配する必要はないでしょう
過去、米国株は今回以上の下げ幅もすぐに回復しているので、私は問題ないと見ています。ウクライナ情勢で懸念されるエネルギー問題にしてもアメリカは資源大国ですし、米国企業のロシアからの撤退の影響も数%マイナスの微々たるものです。コア戦略として、S&P500や全米株式のインデックス投資をしているならば、今は買いの好機と捉えるべきでしょう。
リーマンショックや世界大戦など、S&P500は過去100年間において、30%以上の暴落を8回経験している。しかしすべての暴落から必ず回復し、最高値を更新している。
Q4 2022年後半にかけて米国株は上がる? 下がる?
A4 正直なところ、わかりません
企業決算が良く業績相場にうまく移行できれば株価も上昇していくとは思いますが、一方でインフレだけが進み消費マインドが冷え込むと企業の業績も伸びずにスタグフレーションが起こってしまう。どちらになるかは現段階で判断できるものではありません。しかしどちらの場合でも、コア・サテライト戦略のコア部分は株価の上下に左右されずに投資を続けること。そのうえでサテライト部分はその時々の状況の中で上昇しそうな銘柄を見極めること。これができれば、米国株全体が上がるか、下がるかを判断する必要はありません。
Q5 初心者は米国株で何を買えばいい?
A5 コアもサテライトもETFがおすすめ!
コアの部分はやはりS&P500に連動したETFがおすすめです。そこで基盤をつくりつつ、サテライトで市場平均以上の銘柄を探していきたいのですが、初心者の方はまずコモディティーやエネルギーといったセクターや興味のある指数に連動したETFに投資をするのがいいと思います。そうすることで市場と値動きの関係を学べるので、投資を続けるうえで必要な感性を磨くことができます。
ETFとは?
上場投資信託のこと。株式だけでなくコモディティーや不動産、債券などの指数に連動した投資信託でありながら株式市場に上場されている銘柄のこと。1銘柄で分散投資が可能。
ロジャーパパさんのYouTubeチャンネルでは「米国株」以外に「FIRE」についても解説!
2021年11月にFIREを達成したロジャーパパさん。完全FIREではなく、YouTubeの広告収入やセミナーなどの「好きなことによる収入」(サイド収入)を確保したサイドFIREである。そこに至るまでの経緯や理論、そしてFIRE後の悩みにも触れており、これからFIREを目指している人には必見の動画になっている。
テンバガー米国株を掴んでGAFA正社員を卒業!FIRE始めました【米国株投資】
取材・文/峯 亮佑
※掲載している情報は2022年4月28日時点のものとなります。
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2022年上半期はオミクロン株の大流行やウクライナ情勢など波乱の幕開けとなった。年初から下落基調だった日経平均株価は依然として不安定な値動きが続いている。下半期に向けても円安や原油高など、先行き不透明な状況の中、今後の投資方針を決めかねている個人投資家も多いだろう。この先の資産運用はどうすればいいのか?
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文/DIME編集部
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