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デジタルネイティブといわれるZ世代社員の能力を引き出すヒント

2022.05.26

一般に、1990年代後半から2000年生まれの世代を指す「Z世代」。これからの時代を担う重要な世代といわれる。そんなZ世代と普段、一緒に仕事をする際には、ぜひうまくコミュニケーションを取っていきたいものだ。そこで20代前半の若手社員の部下の価値観の傾向を少しでも把握し、彼らからビジネスに役立つヒントを有意義に引き出す方法を、若者世代に詳しい専門家に聞いた。

若者たちは今、変化に対応し前向きに生きている

まずは、コロナ禍を経た若者たちの意識を押さえておこう。

クラシエフーズ株式会社が展開する「フリスク」ブランドが2022年4月に18歳~69歳の男女10,000人に対して実施した調査で、18-24歳の若者世代たちに対し、アフターコロナに突入した現在の価値観や考え方について質問したところ、「かわいそうと言われるけど、それなりに日々を楽しんでいる」と回答した割合が41.6%に上った。

コロナ前とは一変した生活を送る中で、入学式や卒業式、成人式、各種イベントなど、様々な行事が中止になるなど、特に影響が大きかった若者世代に対して、大人たちから「かわいそう」という感情が向けられることも多くある。しかし彼らはそれなりに楽しんでおり、逆にそんな大人たちの「かわいそう」といった言葉に対してモヤモヤしていることがわかった。

また、18-24歳の若者世代と25-69歳の大人世代のそれぞれに対し、“アフターコロナにおける新たな価値観への切り替え”について質問したところ、「変化することに慣れてきた」と回答した割合は若者が43.6%、大人が33.6%と10ポイントの差がついた。

その他、「移動時間という無駄が省かれて効率的」「オンライン配信など従来より活動の選択肢が広がった」「会いたくない人に会わなくて済む」への共感度について、いずれも若者のほうが大人より高い結果となった。

この調査を踏まえると、若者世代は大人が思っている以上に、ここ数年のコロナ禍をはじめとした変化を柔軟に受け止め、前向きに生活していることがわかる。大人たちの同情は、的外れなところもあるくらいだ。

専門家が教える、若手社員からビジネスのヒントを引き出すヒント

そんな若者世代と日々、付き合い、そして部下として一緒に仕事をする機会もあるだろう。そこで専門家2人に彼らからビジネスのヒントを引き出す方法を尋ねた。

●世代・トレンド評論家 牛窪恵氏

まずは若者世代をよく知る、世代・トレンド評論家の牛窪恵氏にインタビューを行った。

【取材協力】

牛窪 恵氏
世代・トレンド評論家/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授
東京生まれ。日大芸術学部 映画学科(脚本)卒業後、大手出版社に入社。フリーライターを経て、2001年4月、マーケティングを中心に行う有限会社インフィニティを設立、同代表取締役。2019年3月、立教大学大学院(MBA)・博士課程前期修了、修士(経営管理学)。トレンド、マーケティング関連の著書多数。「おひとりさま(マーケット)」(05年)、「草食系(男子)」(09年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネート。フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」、NHK総合「サタデーウオッチ9」、毎日放送「よんチャンTV」ほかでコメンテーター等を務める。
インフィニティ・牛窪恵オフィスHP http://www.hachinoji.com/

――Z世代の若手社員のどのような特性に着目するといいでしょうか?

「まず、Z世代はスマホネイティブ、かつSNSネイティブと言われる世代です。幼少期~小中学生の頃、スマホやSNSがすでに社会に浸透し、それらを手足のように使いこなして来ました。ゆえに、コロナ禍のように突如、行動制限をかけられた状況でも、早くからチャットツールやオンライン会議システムなどを要所要所でうまく取り入れながら、ニューノーマルな働き方に順応できたのでしょう。

彼らの特性は、デジタルとリアル(対面)の『いいとこどり』ができる点です。例えば、会うのが面倒な先輩やSNS上の知人とは、短時間にてデジタルで、一方で本当に会いたい親友や『推し友(推しが同じ友人)』などとは、時間を調整してでも対面でゆっくり会うなど。こうしたハイブリッドな人づきあいは、上世代も参考にすべき点だと思います。

また、彼らはアプリ等を使ったスケジュール管理や、『すき間時間』の活用にも慣れています。コロナ禍ではテレワークが浸透し、自宅やカフェなど会社以外の場所で仕事をするケースも増えました。それまで出社を前提とした働き方に慣れていた上世代は、『自分で考えてスケジューリングせよ』と言われても戸惑いがちですが、Z世代は移動中などのすき間時間をうまく活かして、新たにリリースされたアプリをどんどん試します。そしてスケジュール管理等に、積極的に活かしていくのです。この側面も、上世代が参考にすべき点だと思います」(牛窪氏)

――特に、コロナ禍などでの「変化への順応が速い」「ポジティブにとらえる」などの特性から引き出せることは何ですか?

「Z世代は幼少期から、リーマンショックや東日本大震災、多くの自然災害に見舞われてきました。それだけに今回、新型コロナという未知のウイルスが突然襲った際にも、上の世代ほどうろたえていなかった感があります。もともと『いつ何が起こるか分からない』との危機意識が高かったがために、テレワークやオンライン会議など新たなワークスタイルへの変化を強いられても、素早くポジティブに順応できたのでしょう。もちろん、元来デジタル世代だというのもありますが。

また、彼らは危機意識が高いがゆえに、仕事などで行動を起こす際も『プランA』だけでなく『プランB』『プランC』を頭のどこかに置いています。逆に言えば、やたらと時間をかけて完璧なプランを考えるより、まず『β版』とも言える叩き台のようなもので走り出してみて、状況に応じてそれを臨機応変に変えていく『アジャイル』のような考え方も得意です。デジタル化がますます進む今後は、Z世代のアジャイルな仕事の進め方も、大いに参考にすべきでしょう」(牛窪氏)

――Z世代の若手社員のSNSを利用して情報収集している特性から引き出せる内容をお教えください。

「『ググるよりタグる』の言葉がある通り、Z世代は普段からSNS上のコミュニティや『#(ハッシュタグ)』の機能を活かし、自分と似た価値観や働き方の仲間たちと、ゆるくつながっています。そのため、先のような最新のアプリやビジネスツールの使い方、あるいはテレワークに適した場所やスケジューリングの方法などを調べる際も、ゼロからGoogleやYahoo!などの検索エンジンでググって探すより、初めからSNS上の仲間の情報を参考にしたり、『こんなとき、どうしてますか?』など問いかけて随時、情報をアップデートしたりしていくことができます。そのほうがはるかに、情報探索にかける手間や時間を節約できるからです」(牛窪氏)

――Z世代の若手社員からヒントを引き出す際の注意点を教えてください。

「彼らは自分に近い価値観を有する『コミュニティ』経由で情報を得ることが多いうえ、時代もAIによって、例えばニュースサイトなどでユーザー一人ひとりの興味関心に合ったパーソナライズ情報を表示する方向に向かっています。こうなると、自分と働き方や生き方が180度違う人たちの情報は入って来にくくなり、いわゆる『フィルターバブル』が起こります。自身の身の回りだけが全世界であるかのような錯覚に陥るのです。

だからこそ上世代は、Z世代が得意とするSNS経由の情報コミュニケーションと並行して、普段から意識的に、自分とは別のコミュニティや社会全般の情報を収集・提示するように心がける必要があるでしょう。

同時に、若きZ世代に対して『なるほど、君が言う考え方はよく分かるよ』と一旦受容・共感した上で、『でも例えば、こういう情報もあるみたいだよ』と、あえて別の角度を提示してあげるなど、彼らの世界を拡げてあげる工夫も必要なのではないでしょうか」(牛窪氏)

●Z世代のアナリスト 道満綾香氏

続いては、Z世代の研究メディア「Z総研」でアナリストとして活動する道満綾香氏だ。データに基づくZ世代の傾向から回答してもらった。

【取材協力】
道満綾香(どうまん・あやか)氏
兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。
Z世代総合研究所(ゼット・ソウケン):https://www.zet.tokyo

――Z世代の若手社員のどのような特性に着目するといいでしょうか?

「コロナ禍でリモートやオンラインが中心となり、リアルでのコミュニケーションの機会は減っているかもしれませんが、会社内では社員同士のLINEの交換やFacebook、Instagramのフォローなど、オンライン上で交流することも多いかと思います。ソーシャルネイティブなZ世代だからこそ、普段からInstagramを中心とするSNSの使い方を自然と意識しており、他者に常に見られているという自覚を持っています。そのため、彼らのSNSの使い方の特徴をそれぞれのSNSごとに理解することが一つの鍵となります。

また、Z世代の特徴として、『好きという気持ちをないがしろにせず、その気持ちに従うことで新たな道を見つけることが上手』という点も挙げられます。例えば、最近注目されているSDGsについても、特別意識してSDGsに関する行いをしているつもりはなく、当たり前なことや自分の好きなことなど、自分ごと化できる事象には積極的に行動に移し、取り組む傾向があります」(道満氏)

――特に、コロナ禍などでの「変化への順応が速い」「ポジティブにとらえる」などの特性から引き出せることは何ですか?

「Z世代は、オンラインでの就活や、入社してすぐリモートワークを経験しています。最初からオンラインで就活をすることが当たり前だったからこそ、リモートワークに特に不自由を感じることもなく柔軟に対応しており、むしろオンラインだからこそ時間の有効活用ができたとの意見もありました。モノ・コトにこだわらず臨機応変に楽しみ方を見出すことができるため、ビジネスにおいても何かアイデアに息詰まったとき、考え方や意見のブレストを一緒にすることでまったく新しいアイデアが生まれるかもしれません」(道満氏)

――Z世代の若手社員のSNSを利用して情報収集している特性から引き出せる内容をお教えください。

「彼らが生まれた頃はすでにネットが普及しており、物心ついた頃にはSNSも当たり前にあったソーシャルネイティブです。SNSはZ世代と切っても切り離せないもの。彼らは常にSNSとともに生活しており、彼らの流行はSNSから生まれることがほとんどで、Instagram、TikTok、YouTube、Twitterとさまざまな種類のSNSを使い分けて、情報収集をしています。そんなSNSから登場したインフルエンサー、YouTuberやInstagramer、TikTokerなどもZ世代に大きな影響を与えており、非常に身近な存在です。Z世代の流行というのは、今までの世代と比べ物にならないほど素早いスピードでやってきては過ぎ去っていくため、『今、どのSNSでどんなインフルエンサーが流行っているか』リアルな情報を得ることができるのはZ世代ならではといえると思います」(道満氏)

――Z世代の若手社員からヒントを引き出す際の注意点を教えてください。

「Z世代は広告に敏感でアプローチがむずかしい世代です。PR投稿が多く見られるようになった今、SNSを中心としたツールを通じてそれを見分け、本当に参考になるものを自ら見極めて取捨選択しています。そのため、『伝えたいことをいかに彼らにとって自分ごと化させられるか』が重要となります。特に『最近の若者はこうだろう』『若者はこれが好きだろう』などの決めつけは大きな誤解を生み、Z世代から嫌煙されてしまう原因となります。ポイントは、Z世代に寄り添うこと。そして『Z世代はこうだ!』といった固定観念を捨てることです」(道満氏)

Z世代の若手社員を部下に持つビジネスパーソンは、「デジタルネイティブ」「変化への順応性・対応力」「SNSを中心とした流行に敏感」など、彼らの特性をよく理解し、受容したうえで、彼らからビジネスのヒントを引き出すことが重要といえそうだ。

時には彼らが手薄になりがちな部分を理解しつつ、うまく助言することも必要かもしれない。

【調査出典】
フリスク「新生活モヤモヤと思いきや?白書」

取材・文/石原亜香利

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