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酸っぱいビール、スモークビール、梅酒のようなビール、奥深き個性派ビールの世界

2022.05.28

【極上ビールを求めて】ビールの表現の幅広さを感じさせる「個性派ビール」

全世界で、約150種類以上もあるというビール。その中から、自分の好みにマッチした最高の1杯を選ぶ目安としてビアジャーナリストのくっくショーヘイさんが作成したのが、「ビールチャート」(下)だ。

好みのビールのキャラクターがわかる「ビールチャート」※くっくショーヘイさん作成

このビールチャートでは、150種類以上もあるビールを大きく8種類のキャラクターに分類している。
これまで、そのキャラクターの①~⑦までお話をうかがってきた。

日本の大手ビールメーカーの代表銘柄のほとんどをしめる「淡色ラガー」
香りが芳醇な「淡色エール」
苦み控えめでまろやかな「白ビール」
麦の香ばしい甘みを感じる「琥珀色ビール」
香ばしさと苦み、深いコクが堪能できる「黒ビール」
フルーツと麦酒のかけあわせが楽しい「フルーツビール」
ビールとワインのいいとこ取り!「長熟・濃厚系ビール」

今回はいよいよ大トリ、最後の「個性派ビール」についてお聞きする。

お話を聞いた方:くっくショーヘイ(佐藤 翔平)さん
フードペアリングインストラクター/ビアソムリエ/ビアジャーナリスト
著書に2022年3月22日に発売、即Amazonビール本部門1位を獲得した「うまいビールが飲みたい!最高の一杯を見つけるためのメソッド」(くっくショーヘイ著/リトルモア)がある

ビールマニア憧れの店「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)」で取材

――前回の「長熟・濃厚系ビール」に続いて、ショーヘイさんおすすめのクラフトビールの名店「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)」さんで、実際にビールを味わいながら、お話をうかがっていきます。

ショーヘイさんも太鼓判、名店の誉れ高い「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)」(東京都墨田区両国2-18-7)は、「両国」駅から徒歩3分 

70種類ものタップとさまざまなビールグラスが並ぶ奥のカウンターは、ビールマニア憧れの特等

――いよいよ8つのキャラクター最後の「個性派ビール」です。これは、他のどのキャラクターにもあてはまらないビール、ということですよね?

ショーヘイさん はい、良い意味での「その他系」ビールを「個性派ビール」と名づけました。 「普通のビールじゃもうつまらない!」という人は、この個性派ビールのところから探してもらうと、ワクワクするような出会いがあると思いますよ。実は私がビアジャーナリストを志すきっかけとなったのも、個性派ビールに分類される「酸っぱいビール」だったんです。

――え、酸っぱいビールですか…?(あまり美味しくなさそう…)

ショーヘイさん 酸っぱいといっても、バルサミコ酢やベリーのような、複雑で妖美な、今まで飲んできたビールと一線を画す味わいだったんです。それを飲んだ時はワクワクして嬉しくなって、当時住んでいたアパートまで走って帰ったことを今でもおぼえています。

――飲んでみたい…。こちらのお店にありますかね?

ショーヘイさん 「フランダース・レッドエール」という種類のビールなので、ぜひ味わってみてください!

ショーヘイさんの人生を変えた運命のビール「フランダース・レッドエール」

ショーヘイさんがビールにハマったきっかけとなったフランダース・レッドエールのひとつ「ストゥルブ醸造所 イヒテヘムズ グランクリュ」(1023円/180ml)※税込み、以下同

ショーヘイさん どうですか?

――(ひとくち飲んでみて)なんですかこれは!旨みのかたまりというか、一般的なビールだと苦みの奥にふわっと感じる旨みを、ぎゅっと凝縮して目の前に突き付けられた感じ…。確かに酸味もありますが、それも旨みの一部というか…。でも喉ごしは間違いなくビール。

ショーヘイさん 旨みや酸味はバルサミコ酢のようで、バニラのような甘みと香り、スパイスのような刺激的な香りも感じませんか?

――確かに…!喉を通り過ぎた後も、旨みの余韻が口の中に残っています。確かにこれは衝撃的な味…!どうしてこういう味になるんですか?

ショーヘイさん 一般的なビールは、酵母を加えた麦汁をステンレス製の貯蔵タンクに入れて熟成させますよね。

――はいはい、醸造所併設のパブなどで、小さなタンクがいっぱい並んでいるのをよく見ます。

ショーヘイさん ところがフランダース・レッドエールは、ワインのように木の樽に寝かせて熟成させます。しばしば若い熟成のものとそれより長く熟成させたものをブレンドすることも。木樽で熟成させることでバニラやスパイスのような風味やタンニン、乳酸菌による酸味などが付与されて、一般的なビールの苦さとまったく違う、赤ワインやバルサミコ酢に近い味わいになるんですよ。

フランダース・レッドエールとペアリングしたいのはこのメニュー

ショーヘイさん このビールと「牛肉のビール煮」のペアリングもちょっと試してみてください。このビールは赤ワインに近いような味わいですよね。赤ワインのような深みや酸味、旨みは、煮込み料理とすごく相性がいい。またこのビールは木の樽で造っているので、樽由来の渋み、香りもワインと共通するので、煮込み料理と相性がいいんです。

「牛肉のビール煮」(1738円)はワインのような酸味があるので、酸味のあるフランダース・レッドエールにも合うし、こっくり煮込んだソースの風味は、次に紹介するラオホともいいペアリング

――「一緒の法則」ですね。煮込み料理のこっくりした口に残る味わいを、このビールの酸味がさっぱりとさせてくれますね。ビール単体で飲むより、この「牛肉のビール煮」と交互に味わったほうが、いろいろな味がどんどん湧いて出てくる感じ…。

ショーヘイさん そうなんです。ビールに含まれるバニラとかスパイスとかのいろんな香りが、煮込みも引き立てるし、煮込みの味がビールも引き立てるんですね。

お通しに出てくるレモンを絞ったスモークサーモンも、酸味があるフランダース・レッドエールといいペアリング

まるで、ビールとおつまみが合体したようなスモークビール「ラオホ」

ショーヘイさん 次も面白いビールですよ。「ラオホ」というスモークビールです。麦芽を燻製して、スモークしたような風味を付けているんです。ちょっと飲んでみてください。

「富士桜高原麦酒 ラオホ」(902円/300ml)

――確かに、ビールなのに燻製の香りがします!なんだか、燻製のきいた旨みのあるおつまみとビールが一体化しているみたいな味。おつまみ無しでこれだけで完結しそうな感じ。

ショーヘイさん ラオホは本来は、ドイツ・バンベルグ地方の特産品ですが、これは山梨県の「富士高原麦酒」というブランドのラオホです。国内でラオホと言ったらすぐ名前があがるほど有名。ラオホは癖があるビールなので、通年でずっと作ってるところは少ないんですが、ここはずっと通年で作り続けている数少ないブルワリーなんです。ベースは麦の香ばしさや甘味を感じる琥珀色ビールで、そこに燻製の香りがする麦芽を混ぜると、こういう味になるんです。

――スモークビールと聞いて、「どうやって液体のビールを燻製にするんだろう?」と不思議だったんですが、原料の麦芽の段階で燻製しているんですね。

ショーヘイさん 今はいろいろな作り方があって、例えば燻製の香りがついてるチップをビールを熟成させているタンクに入れることでも、薫香が付きます。、ラオホが気に入ったら、スモークビールをいろいろ試してみると楽しいですよ。

極上の梅酒のようなビール「ファロ」

ショーヘイさん では最後は、「ファロ」で締めましょうか。ベースは「ランビック」といって、野生の酵母を使って酸味やいろんな複雑な香りをつけるスタイルのビール。非常に個性的なビールなのですが、個性が強烈なので、しばしばフルーツの甘みとミックスすることでバランスをとっているんです。

――そういえば、6番目のフルーツビールのところで出て来た「リンデマンスビール<ピーチ>」は、ランビックがベースでしたね!

ショーヘイさん そうですそうです。これはランビックを飲みやすくするために、果物ではなくキャンディーシュガーを入れたものです。味わいを私は梅酒に例えることが多いのですが、いかがですか?

「リンデマンス ファロ」(990円/200ml)

――キャンディーシュガーが入っているというから、相当甘い味をイメージしてたんですが、それほど甘くない。ちょうど飲みやすい甘さです。甘酸っぱくて、おいしい!ずっと飲み続けたくなる甘さといいますか…。

ショーヘイさん あくまでも、ランビックの強い酸味とバランスを取るぐらいの甘さなんですよね。このキャンディーシュガー入りのランビックが「ファロ」という種類になるんですが、これは造っているところが少なくて、日本でもほとんど流通していません。でもこちらの「リンデマンス」のファロはボトル入りもあるので、ビール専門店では見つけられることもあると思います。

――極上の梅酒のようでもあり、でも確かにビール。今日飲んだ3品はどれも、「ビールでこういう味の表現ができるんだ!」という驚きと感動がありました。どこかで見つけたら、ぜひ味わってみてもらいたいですね。

ショーヘイさん 「ラガー」と「エール」のところで酵母の話をしましたが、清酒の酵母を使って吟醸香を付けた「酒イーストビール」や、「フレッシュホップビール」といって、採れたてのホップを使ったフレッシュな青々しさを感じるビールとか、皆さんが抱いているビールの概念をがらりと覆すような、びっくりするようなクラフトビールが、実はまだまだたくさんあるんです。

――8回にわたってビールのキャラクター解説をありがとうございました。最終回は、特別企画を予定しています。お楽しみに!

取材・文/桑原恵美子
取材協力/くっくショーヘイさん
https://www.jbja.jp/archives/author/sato
https://www.instagram.com/shoheisatoh/?hl=ja

撮影協力/「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)

編集/inox.


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