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市場規模は70兆円!レオナルド・ディカプリオも出資する「培養肉」の可能性

2022.05.22

時代は「代替肉」から「培養肉」へ

近年の環境意識の高まりで、肉中心の食生活が環境を破壊し、世界的飢餓を増長させることが問題視されている。ある試算によると、アメリカで消費されるすべての原料と化石燃料の3分の1が、食用となる動物の生産に使われているとも…。また飼育に広い土地を必要とする上、メタンをはじめとする温室効果ガスを多く排出するなどの環境負荷の大きさも問題視されている。

「肉食を控えて環境破壊を食い止めたい」というニーズを反映した植物性の代替肉製品も、ここ数年で急増。だが今さらに注目されているのは「培養肉」だ。培養肉とは、家畜の細胞を増殖することで食肉を製造する技術。世界的に開発が進められており、食肉の新たな選択肢として定着することが期待されている。2040年には世界で約70兆円の市場規模となるという予想も…。

2013年には、培養肉の研究開発を行うオランダのスタートアップ企業「モサ・ミート」が初めて培養肉ハンバーガーを発表し、話題を呼んだ。2018年には、イスラエルの「アレフ・ファームズ」が世界で初めて培養によって作られたステーキ肉を開発し、2021年に発表。2021年9月には、俳優のレオナルド・ディカプリオが培養牛肉の開発を推進させるため、モサ・ミート社とアレフ・ファームズ社に出資を決定したというニュースも流れてきた。以下は、ディカプリオのメッセージだ。

「気候変動の危機と戦うため、実効性のある改善方法の1つとして、食料システムの変革が挙げられます。 モサ・ミートとアレフ・ファームズは、工業的な畜産手法によって発生する問題を解決しながら、世界中の牛肉需要を満たす新しい方法を提供していきます。現在、より多くの消費者の方々に培養肉について理解を深めてもらう準備をしているので、顧問および投資家として参画できることを非常に嬉しく思います」

3Dプリンターで、肉を培養!?

国内でも、培養肉研究は急ピッチで進化中。2021年10月には順天堂大学が、「培養肉の肉芽作成に成功」と発表。同大学大学院医学研究科 難病の診断と治療研究センターの奈良岡 佑南 研究員、赤澤 智宏 教授らの研究グループが、家畜(牛)から分離した細胞を筋および脂肪に分化誘導させることで、食肉のもととなる3Dの構造物(Meat Bud)を作成することに成功したという。

2022年3月28日には、大阪大学大学院工学研究科と、分析計測機器メーカーの「島津製作所」が、「3Dバイオプリントを応用したテーラーメイド培養肉の自動生産装置の開発」に関する共同研究契約を締結したと発表

リリースによると同技術は大阪大学 大学院工学研究科 教授 松崎典弥氏が開発した、「筋肉組織構造を自由自在に作製する」というもの。これまで報告されている培養肉のほとんどは、筋線維のみで構成されるミンチ構造であり、複雑な構造の再現は困難とされていた。

だが松崎教授らの研究グループは、筋・脂肪・血管という異なる線維組織を3Dプリントで作製し、それらを束ねて統合する、3Dバイオプリント技術を開発。これにより和牛の美しい“サシ”などの再現だけでなく、脂肪や筋成分の微妙な調節も可能になった。今後は、大阪大学大学院工学研究科と島津製作所が、培養肉の生産を自動化する装置を共同で開発していく予定。

3Dプリント技術を基盤とする培養肉の科学技術開発イメージ

「筋・脂肪・血管の配置が制御された培養肉」「ヒトの細胞による運動器や内臓モデル」など、食糧だけでなく再生医療、創薬分野での利活用が期待されている。

食糧だけでなく再生医療、創薬分野での利活用が期待されている

最近ではなんと、ミシュランシェフと協業で”ブランド培養肉”の開発に着手する再生医療ベンチャー企業も登場している(「再生医療研究者と8年連続ミシュラン店料理長がブランド培養肉に挑戦する「ダイバースファーム」、イークラウドを通じた資金調達を4月22日に開始」)。

あの日清食品HDが、「食べられる培養肉」の作製に成功

2017年度に「培養ステーキ肉」の共同研究を東京大学とスタートさせていた「日清食品ホールディングス(以下 日清食品HD) 」は、2022年3月31日、「食べられる培養肉」の作製に(産学連携の「培養肉」研究において)日本で初めて成功したと発表。「これにより、肉本来の味や食感を持つ『培養ステーキ肉』の実用化に向けて大きく前進した」(日清食品HD)。

この研究は、日清食品HDと、東京大学大学院情報理工学系研究科 竹内 昌治教授の研究グループが共同で進めたもの。同研究グループは、2019年に世界で初めて、牛肉由来の筋細胞を用いたサイコロステーキ状 (1㎝×0.8㎝×0.7㎝) の大型立体筋組織の作製に成功。今回新たに「食用血清」と「食用血漿ゲル」を開発し、研究過程で「培養肉」を食べるまでのプロセスについても東京大学の倫理審査専門委員会から承認されたことで、「素材」と「制度」という2つの課題をクリア。2022年3月29日には、研究関係者による試食を行った。現在は、肉本来の味や食感を持つ「培養ステーキ肉」の実現に向け、研究を進めているという。

「培養肉」を作製するためには、一般的に「細胞」「栄養成分」「足場材料」が必要。既存の食用素材だけでは十分な栄養成分の供給や立体筋組織の構築が困難だったが、新開発の「食用血清」と「食用血漿ゲル」を使用することで、細胞の生育に適した条件で培養することが可能になった

実際に、私たちが口にできるのはいつ頃?

日清食品HDは、厚さ2㎝×幅7㎝×奥行7㎝の大型の「培養ステーキ肉」の基礎技術を2024年度中に確立することを目指しているとのこと。現在は肉自体をより大きくすること、さらに肉本来の味や食感の忠実に再現することに目指して研究を進めている。「培養肉」の技術は、牛肉に限らず、マグロやウナギなど、枯渇する資源へ適用範囲を広げていくことも可能。「サイズやコストなど、まだまだクリアすべき課題は多い」とのことだが、近い将来、培養肉が私たちの食生活を大きく変える可能性は高い。

取材・文/桑原恵美子
取材協力/日清食品ホールディングス
関連サイト/「研究室からステーキ肉をつくる。

編集/inox.

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