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老朽化、バリアフリー対策、周辺施設の整備、住宅団地の課題解決に大学生が参画する注目のプロジェクト

2022.05.23

日本国内の住宅団地には、老朽化や周辺施設の不足など、多様な課題がある。その課題解決のための取り組みが、各所で行われている。その一つが、UR賃貸住宅を管理する日本総合住生活が日本女子大学の学生と共に、東京都清瀬市のUR賃貸住宅内の施設にコミュニティスペースを作るプロジェクトである。現在、進行中で、2022年夏頃に施設が完成する予定だ。

現在、団地問題には具体的にどのような問題があるのか。そして解決策と共に取り組み事例を紹介する。

現在の「団地問題」に関する主な課題

現在、日本の団地にはどのような課題があるのか。日本総合住生活株式会社 設計計画部担当者は、次のものを挙げる。

・団地にお住まいの方の高齢化、および子育て世代の減少
・建物自体の老朽化やバリアフリー化などの整備
・空き店舗の増加による、医療・介護、物、交流など生活に必要な施設の不足

「これらの課題に対しては、行政、各団体、企業等が様々な施策により取り組んでいますが、内容によっては一過性で終わり、その後の継続的な活動や運営の醸成がないため、単発で終わり、周辺地域や他団地、コミュニティに展開していかないという更なる課題も生んでいます」(同社 担当者)

課題解決策としてのアクション

日本総合住生活は、これらの課題に対して、どのようなアクションを取っているのだろうか。

「弊社は団地を含む地域一体で、“多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい・まち”『ミクストコミュニティ』の実現に向け、その一端を担っています。UR賃貸住宅や分譲マンションにお住まいの方々、地域のお客様に、常に豊かな暮らしを提案し、提供し続ける存在となるため、生活支援やコミュニティの拠点づくり、各種商業施設の運営等を通じて、価値ある住環境およびサービスの提供に力を注いでいます」(同社 担当者)

主に「生活支援施設」「地域コミュニティ拠点」「リノベーション」の3つの軸で事業展開を行っているという。

●生活支援施設の展開

子育て支援施設、コインランドリー、スーパーマーケット、カフェを生活支援施設として展開している。UR賃貸住宅や地域に住む人の更なる利便性向上とコミュニティ活性化、団地価値の向上を目指し、幅広い世代のニーズに応えた多様な生活支援サービスの展開を推し進めている。

●地域コミュニティ拠点「J Smile多摩八角堂」の展開

地域コミュニティ拠点として、多摩ニュータウン豊ヶ丘地区にある、かつてはJSのショールームだった八角形の建物を、地域コミュニティ活性化のために活用している。

●リノベーションプロジェクトの実施

団地のリノベーションプロジェクトを実施している。

1.稲毛海岸三丁目団地リノベーションプロジェクト

例えば、稲毛海岸三丁目団地リノベーションプロジェクトでは、マンション管理業務で培った信頼のもとで管理組合と連携し、分譲団地の空き家活用によって団地再生に取り組んでいる。

日本総合住生活、営業部担当者は次のように解説する。

「2017年4月より、千葉市美浜区の千葉海浜ニュータウンに立地する『稲毛海岸三丁目団地』において、当社が購入した空き家をリノベーションし、入居者自身での内装変更に対応したDIY賃貸住宅等をすでに5戸ほど供給しています。いずれも20~30代の若年層の方が入居、団地の自治活動に積極的に参加するなど、ミクストコミュニティの形成が進んでいます。

さらに、当該団地のように中層5階建てであり、エレベーター設置の合意が得られにくい団地においても、ご高齢の居住者が住み慣れた環境で長く住み続けられるような仕組みづくりについて検討を行い、高齢者世帯の低層階への住み替え支援も試行的に実施しました」(同社 担当者)

2.“読む団地”「ジェイヴェルデ大谷田」

“読む団地”と称される「ジェイヴェルデ大谷田」では、足立区所有床の利活用事業として、若者向けシェアハウスにコンバージョンし、本から始まる「ご近所づきあい」をテーマに地域の世代間交流を育む場づくりを提供している。

「清瀬旭が丘団地」の商店街に女子大生がコミュニティスペースをリノベーション

直近では、東京・清瀬市でプロジェクトが進行している。

それは、日本女子大学学生によるプレゼンテーションをきっかけとした、「清瀬旭が丘団地」の施設の一区画を、コミュニティスペース「ぷらっとあさひ(仮名)」にリノベーションするプロジェクトだ。

この企画は、どのような課題を解決するためのものなのだろうか? 担当者に解説してもらった。

●清瀬旭が丘団地の課題解決のために大学連携リノベーションコンペ実施

「清瀬旭が丘団地は、多様な世代の方々にとって利便性が高く、豊かな自然にも恵まれた住環境にありながら、『若年層(単身、ファミリーともに)から選ばれにくい』という課題を抱えています。これらの課題に対して、2019年に『多様な世代が生き生きと暮らし続ける団地』をテーマとした大学連携リノベーションコンペを開催したところ、日本女子大学が最優秀作品に選ばれました。

『団地に浮遊するエレメント』と題し、『知と物の集積』『パッチワーク』をコンセプトとし、多様な世代が集まって知識と物をシェアしながらつながる、一つの団地のコミュニティを提案したものです」(同社 担当者)

コンペで最優秀作品に選ばれたのは、日本女子大学大学院 家政学研究科 住居学専攻 篠原研究室の学生らによるものだった。

着工前学生主催の住民との交流イベントの様子

日本女子大学と大学院のプロジェクトメンバー

●課題解決のための取り組み

「当初は、団地内の住戸における提案でしたが、作品コンセプトを活かすには、住戸でなく空施設を活用した長期取組が適切であったため、当社が団地活性化を目的とした取り組みとして位置付け、URにおけるウェルフェアの取り組み(※1)と連動しながらミクストコミュニティの実現に資する空間提供を行うこととなりました」(同社 担当者)

※1 URにおけるウェルフェアの取り組み:医療・福祉施設等の誘致や、多世代のニーズに合った住宅の整備、多世代交流の機会の創出などにより、ミクストコミュニティの形成を推進する取り組み。

課題解決のため、どのような取り組みが行われたのだろうか?

「まず、大学研究室が団地にお住まいのお客様とUR、当社の間に入り、団地にお住まいのお客様や利用者へのヒアリングやアンケートを約一年の時間をかけて段階的に行い、関係各者の意見や想いが反映された空間デザインを目指しました。

アンケート等から導いた空間のテーマは、(1)利用しやすさ、(2)一つの機能に固定しないこと、(3)場所に人を結び付けることであったため、当初の住戸提案の要素を踏襲しつつ、空き店舗での空間デザインの再構築を図りました」(同社 担当者)

●コミュニティスペースで住民が得られる体験とは

コミュニティスペースでは具体的に住民はどのような体験ができ、従来の生活からどのような変化が起こるのだろうか。日本女子大学プロジェクトメンバーは次のように述べる。

「コミュニティスペース『ぷらっとあさひ(仮)』は、モノや空間を通してさまざまな人がつながる『プラットホーム』であり、誰もがいつでも気軽に『“ぷらっと”立ち寄れる空間』であってほしいというコンセプトから名付けました。

商店街通りに面した『ぷらっとエリア』は、いつでも利用でき、掲示板や棚を使って、みんなの活動をお知らせできます。棚では展示なども行えます。買い物帰りの休憩や、ご友人との待ち合わせなど、施設に来ることが目的であっても、そうではなくても、ぷらっと立ち寄って、新しい情報に出会える場所です」(日本女子大学プロジェクトメンバー)

「ぷらっとあさひ(仮)」模型

「ぷらっとあさひ(仮)」模型

「また『ぷらっとエリア』の奥の『きっかけヒロバ』は、イベント時に開放され、多目的に利用できるように、壁や天井、家具の設えを考えました。イベントなどで体験を共有したり、ここで小さなチャレンジをしてみたりと、やりたいことがある人の背中をちょっと押したり、人とのつながりや活動が広がる場所です。使いたい人やグループを募りながら、たくさんのきっかけが生まれ、さまざまな人とつながることのできる場所です」(日本女子大学プロジェクトメンバー)

●今後の展望

コミュニティスペースは、今年夏頃に完成する予定だ。オープン後は、どのような展開を考えているのだろうか。日本総合住生活の担当者は次のように話す。

「このコミュニティスペースが、具体的にご紹介したような利用を通じてミクストコミュニティ形成の一端となり、情報発信によって団地への若年層の呼び水になれればと考えています。また、同じような空き店舗、シャッター商店街を抱えている団地へのプロトタイプやモデルケースとして展開できればと思います。

当面の間は当社と日本女子大学とで共同で運営し、当該空間を活用したイベントやワークショップ等によりコミュニティを形成醸成させていくとともに、継続して施設を運営できる担い手を探し、事業移管を目指しています」(同社 担当者)

団地は今、さまざまな課題に直面している。鍵となるのは、若年層を呼び込むことだ。そのために、若年層と協力して実施するこの試みは、課題解決の大きなヒントとなりそうだ。

取材・文/石原亜香利


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