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【深層心理の謎】暗い通りに停めたほうが車やバイクの盗難や車上荒らしは減る!?

2022.05.18

 かつてこのあたりに住んでいた時期に原付バイクを盗まれたのだった。束の間の愛車だったモンキーは今もどこかで元気に走っているのだろうか――。

東長崎を歩きながら盗まれた原付バイクを思い出す

 夏至に向かってどんどん日が長くなっている。コロナによる店舗の“時短営業”もだいぶなくなったことから、街の明かりも夜遅くまで続くようになった。日が長くなったが、面白いことに夜も長くなったといえる。

 それでも午後8時を過ぎれば辺りは真っ暗だ。西武池袋線・東長崎駅の北口を出ると真っ先にドラッグストアと中華チェーン店の明かりが目に入るが、駅前のちょっとした広場を左に眺めればコンビニが目につくくらいで辺りは案外暗い。それもそのはずで、この界隈は駅から少し歩けばすぐに住宅街が広がっている。そして自分もかつてこの辺りに住んでいたことがあるのだ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 ドラッグストアと中華チェーン店を過ぎ、最初の十字路を右に曲がる。一応はまだ商店街ではあるが、すでに通りは住宅街の色彩を帯びてくる。

 この界隈に住んでいた時期のことを思い出してみるが、とにかく仕事に忙殺されていた日々で、平日は当時初台にあった勤務先から夜遅くに帰ってきて眠るだけといった感じだったので、実のところあまり記憶には残っていない。それでも駅から部屋に戻る途中で夕食にすることも多く、よく訪れていたいくつかの飲食店はそれなりに印象に残っている。しかしその当時の店の大半は残念ながら今はもうないようだ。

 かといって決して仕事だけに終始していたわけではなく、今はもうないが近くにあったバイクショップで原付バイクを初めてローンで購入して休日に乗っていたりもしていた。その頃のバイクはかろうじてまだ2ストロークエンジンが現役で、買った原付バイクも250㏄と見紛うほどの大きさの車体でそれなりに速く、ちょっとした遠出を楽しむこともできた。しかし当然だが原付の法定速度は時速30キロであり、ご多聞に漏れずスピード違反でキップを貰うことも度々あった。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 通りを進む。店の明かりが少なくなり辺りはいっそう暗くなる。コロナ禍がきっかけで閉店時間を早めたままの店舗も少なくなさそうだ。

 そうしたスピード違反のことや仕事がさらに忙しくなってきたこともあり、その原付バイクに2年ほど乗った頃に買い替えることにした。近所の移動にしか使わない前提で、ホンダの「モンキー」にしたのだった。

 買い替えた後はバイクに乗ることも少なくなったのだが、それでも定期点検などは欠かさずに乗り続けていた。が2年目のある日、自宅のアパートの駐輪場から忽然と姿を消してしまった。盗まれたのである。どこかで乗り捨てられていたのを発見、というようなことは一切なく、戻ってくることはなかった。

 最後にモンキーを離れた際にはもちろんキーをロックしていたのだが、車体重量は60キロほどしかないため、力の強い男性なら一人で抱え上げて、例えば軽トラの荷台に積むというようなことも難しくはない。犯人(あるいは犯行グループ)はいつからかこのバイクに目星をつけていて、計画的に犯行に及んだことが考えられてくる。

 進むうちにあたりはますます暗くなってくる。青いタイルの外壁の不動産会社の角を左折する。もはや住宅街なのだが、意外にも明かりを灯した飲食店がポツポツと見えてくる。若かりし頃に戻って、この界隈で夕食にしてみてもよい。

暗い通りのほうが車の盗難や車上荒らしが減る?

 バイクの窃盗はどう考えても深夜に行われたのだが、それはやはり住宅街ならではの暗さが影響しているのだろうか。その時住んでいたアパートの周辺は確かに夜はかなり暗くなるのだが、駐輪場のすぐ近くには街灯が立っていたので局所的には明るい場所であった。

 ということはバイクや車の盗難には夜間の明るさは関係ないのだろうか。最近の研究では深夜帯に街灯を消した通りで車上荒らしや盗難車が減ったという調査結果が報告されていて、これまでの通説が覆されている。


 PNL(part-night lighting、深夜帯に街灯を消すこと)が導入される前の同じ道路と比較して、PNLのある道路では夜間の車からの盗難の割合が半分になりました。車上荒らしは1ヵ月あたり1つの通りあたり平均12件から6件に減少しました。

 これは、照明が一晩中残っている近くの道路での車両犯罪の1.5倍の増加と一致し、一部の犯罪者が近くのより明るい通りに移動したことを示唆しています。

「このような調査研究は、犯罪とセキュリティの問題をよりよく理解するのに役立ちます。調査結果は、省エネ街路照明の適応が調査対象の街路での犯罪を増加させていないことを示唆しています」

※「University College London」より引用


 ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)とユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の合同研究チームが2022年3月に「Journal of Quantitative Criminology」で発表した研究では、道路の「夜間照明」と「犯罪率」の関係を調べている。

 イギリスのある地域の通りでは交通量が激減する深夜帯にPNL「(part-night lighting)」という街灯を消す政策が採られているのだが、付近住民の一部からは車上荒らしや車の盗難などの犯罪が増えるのを懸念する声が上がっていた。

 そこで研究チームは2004年4月から2013年9月までのオックスフォードシャーと西バークシャーの街灯のPNLに関するデータと、同地域所轄の事故と犯罪のデータを検分したところ、付近住民の懸念に反してPNLを実施している通りのほうが夜間常時点灯している通りよりも、車上荒らしと車の盗難が減っていることが明らかになったのだ。PNL導入前よりも導入後は車上荒らしと盗難車が半分にまで減少したのである。

「私たちの以前の調査では、夜間に街灯を消しても犯罪は増加しないことが示されていましたが、(一歩進んで)この新しい研究では真夜中から午前6時の間に街灯を消すと、実際にある種の犯罪を減らすことができることを示唆しています」と研究チームのフィル・エドワーズ博士は説明する。

 なぜ街灯が消されて暗くなった通りで犯罪が減るのか?エドワーズ博士によれば、暗がりの中での犯行では懐中電灯などを使わなければならないケースが増えて、暗闇の中で灯せば逆に周囲から目立ってしまうのを嫌ってのことであるという。

 夜間に暗いからといって車の盗難が増えるわけではないどころか、むしろ盗難や車上荒らしが減ることが示唆されているのだが、自分のバイクがもし完全な暗がりにあったとすれば盗まれなかったかもしれない。街灯の明りに照らされた場所に停めて、盗まれやすい状態にあったということにもなりそうだ。

“昭和感”溢れる洋食店で「とろとろオムライス」を堪能する

 辺りはなおのこと住宅街然としてきた。しかしそば屋や居酒屋の店構えも点在していて、ここが商店街であることを教えてくれる。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 界隈には小面積のコインパーキングもいくつかある。こうしたパーキングにはどこかに監視カメラも備え付けられているので、盗難や車上荒らしの心配はないが、昔からの住民が少なくないこうした街でコインパーキングが増えるのはなんだか寂しい感もある。

 十字路を左右どちらに向かってもいくつか店がありそうだが、まっすぐ進んでみることにした。そば屋とスナックの先に、煌々と輝く黄色い看板にオレンジ色の庇の店が見えた。看板に記された店名の上には「洋食」の文字がある。そばも悪くないのだが、今は洋食のほうに魅かれる。入ってみよう。

 店内はまさに街の洋食店である。調理場の前にはカウンターが延びていて、その後ろに3卓ほどの広いテーブルがある。混んでいればテーブルで相席になることは前提なのだろう。お店の人に好きなところに座るようにと言われ、空いていたこともあり入口に近いテーブル席に着かせていただいた。

 店に入る前に店先のショーケースの食品サンプルを一瞥して注文するものは決めていた。コップに入った水を持ってきてくれたお店の人にオムライスを注文すると、普通のオムライスか「とろとろオムライス」のどちらにするかを聞かれた。そう聞かれれば断然“とろとろ”がよく思える。即決でとろとろオムライスをお願いした。

 一目瞭然の老舗のお店で、界隈に住んでいた頃に何度かは入ったような記憶もあるのだが、帰り道とは正反対の方角だったこともあり残念ながら印象には残っていない。月日を経てこうして改めてお店に入ったことは単純に感慨深い。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 とろとろオムライスがやってきた。まさに見た目からして“とろとろ”である。さっそくいただこう。

 その名の通り、とろとろでふわふわの触感である。細切れにされたハムと玉ねぎが混ざったケチャップライスも食べ応えがあって美味しい。普段はオムライスを意識的に食べることはないのだが、こうしたレトロな洋食店に入ればなんとなく食べてみたくもなる。

 夜になれば相応に暗くなる街並みにある“昭和感”溢れる洋食店でいただくオムライスには心を動かされるというものだ。今の若者の言葉で言えば「エモい」ということになるだろうか。コロナ禍で失われ気味であった日没後の「エモい」体験を、今後はゆっくりと取り戻していきたい。

文/仲田しんじ

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