今や創作活動に欠かすことができなくなったAdobe製品。Adobeは、画像編集アプリAdobe Photoshop iPad版と、描画アプリAdobe Frescoをアップデートしたので、その概要をお伝えしていこう。
Adobe Photoshop iPad版、「ワンタップ」マジックを豊富に搭載
2019年のAdobe Photoshop iPad版のローンチ以来アプリは大幅な進化を遂げきた。今回の最新アップデートでは、レタッチ、画像の調整、複数写真のミックスといった分野でさらなる機能強化を図っている。
コンテンツに応じた塗りつぶし
Adobe Photoshopチームは、30年以上にわたり、画像処理に新しく革新的な技術を追加してきた。「コンテンツに応じた塗りつぶし」は、Adobe Photoshopデスクトップ版の画期的な機能の1つであったが、今回Adobe Photoshop iPad版にもこの機能が搭載された。
任意の選択範囲を指定した後、周囲のコンテンツに基づいたAI処理で選択範囲を塗りつぶすことが簡単なワンタップの操作だけで可能に。
例えば、背景の不要なオブジェクトを消したり、ノイズやゴミをなめらかにブレンドしたりすることが可能だ。写り込んでしまった人物を消したり、不自然なオブジェクトやホコリを除去したり、さまざまなシーンでこのAI技術の数々をぜひ活用してほしい。
なげなわツール、またはオブジェクト選択ツールなどのAdobe PhotoshopのスマートなAI搭載の選択ツールで領域を選択し、「コンテンツによる塗り」をタップすると、選択範囲のコンテンツが周囲の画像に溶け込むように塗りつぶされる。
背景を削除
ここ最近で最も大きな変革をもたらしたツールのひとつが、どんな写真でもスマートに背景を削除できるこの機能だろう。これにより、被写体だけを切り出して他の画像の中に配置したり、逆に背景を他のものに置き換えたりと、さまざまなことが可能になった。
特許取得済みの「被写体を選択」の機能とレイヤーマスクの組み合わせにより、非破壊で画像の背景を除去することができ、画像のオリジナルピクセルを実際に変更することなく、最高品質のクリエイティブをもたらす。
Adobe Photoshopデスクトップ版でのみ提供されていたこのワンタップ操作が今回iPad版にも搭載され、画像編集がより早く、正確におこなえるようになった。どんな背景でも入れ替えが自在で、被写体を別の画像内にシームレスに配置することも簡単。
使い方は画像を開き、なげなわツールの下にある「背景を削除」ツールを選ぶか、画面右側のプロパティパネルにあるクイックアクションから「背景を削除」を選択するだけ。
髪と人物への対応を強化した「被写体を選択」
「背景の削除」と同じく、「被写体を選択」機能は、写真の最も重要な部分(多くの場合は人物)だけを選択するための重要な要素だ。
今回実施した「被写体を選択」のアップデートでは、AIモデルを使って人物の写真を識別し、髪の毛の束や衣服のエッジなどの細かいディテールを完璧に選択・修正できるようになった。
AIなしでこのような細かいディテールを完璧に再現するためには、手作業で何時間もかけて精密に選択範囲を作成しなければならない。
さらに素晴らしいことに、この機能はワンタップで実行される。人物写真に「被写体を選択」を適用すると、髪や服のエッジの微調整が自動的におこなわれる。
複雑な選択範囲の作成が自動的に完了した後は、マスクや調整レイヤーを使った簡単な作業だけで、シンプルなポートレートをより魅力的な画像にすばやく仕上げることができる。
「自動トーン補正」、「自動カラー補正」、「自動コントラスト」
Adobe Photoshopデスクトップ版で写真を開いたときによくおこなう操作として、「自動トーン補正」、「自動カラー補正」、「自動コントラスト」という3つのコマンドを組み合わせて実行することがある。
これらのコマンドは、ワンタップで色調の問題や色のアンバランスを修正できるため、写真の調整に余分な手間をかけずに作業を進めることができる便利な操作だ。
画面右側の「フィルターと補正」アイコンから展開する自動コマンドをタップして使用する。その後「コンテンツに応じた塗りつぶし」を使って写真に写り込んだオブジェクトを瞬時に修正・除去するのも簡単。
文字ツールの進化ならびに、その他のアップデートについて
上記のワンタップアクションの数々に加え、以下の新機能も追加している。
・文字ツールから20,000以上のAdobe Fontsに直接アクセス
・独自のカスタムフォントのロード
・編集中にクラウドドキュメントの名前を変更
・クラウドドキュメントを任意のタイミングで同期
・共有したドキュメントに他のユーザーが残したピンや注釈をコメントパネル上で確認
Adobe Frescoゆがみツールと自動選択ツールの追加、プレミアム版の新価格
2019年のリリース以来、Adobe Fresco は新しい機能と体験をユーザーに提供し、ドローイング、ペインティング、アート制作を簡単かつ身近なものにしてきた。
その間、Adobe Frescoコミュニティは180億のブラシストロークを描き、2億以上のさまざまなプロジェクトを作成し、開発チームは100以上の新機能を製品に導入。
現在では、何百ものブラシ、無制限に重ねられるレイヤー、そしてパワフルなツール群が、iPhone、iPad、Windowsの各環境で、誰でもアクセスできるようになっている。
昨年のAdobe MAX以来、私たちは多くの素晴らしい新機能を発表してきたが、その中でも特にお勧めの機能をいくつか紹介しよう。
参照レイヤー
これを使えば、線画レイヤーと塗りつぶしレイヤーを分離して作業することが可能に。線画のレイヤーを「参照として設定」し、別のレイヤーを選択して塗りつぶしツールを使うだけで、ツールは参照レイヤーのコンテンツに基づいて線画をはみ出さずに動作する。
最近使用したブラシ
数か月前に中断した描画作業を再開するとき、どんなブラシを使っていたのかを正確に思い出すのは至難の業だ。この機能は、ドキュメントで使用したすべてのブラシを記録し、簡単に再アクセスできるようにする。
遠近グリッドのキャプチャ
このAdobe Sensei搭載機能は、読み込んだ画像、レイヤー、またはドキュメント全体を解析して遠近グリッドを自動的に作成する。
マンガ向けベクターブラシ
Adobe Frescoで独自のマンガ作品をこれまで以上に簡単に作成できる新機能。Gペンの多彩な描写力で主人公に命を吹き込むことができる。
マッピングペンを使えば、毛髪や顔のパーツの線など、キャラクターの細部にまでこだわった作品を作ることができ、ドローイングペンを使えば太さが一定したコマ枠や背景の作成も可能。
今月リリースされたAdobe Fresco 3.6では、体験をより豊かなものにする2つの強力な新機能が追加された。
自動選択ツール
アートワークのエリアを素早く選択し、選択した部分のみを微調整できるようになった。
ゆがみツール
アートワークを微妙に、あるいは大幅に調整することができます。特定の領域を一方向に押したり引いたり、渦巻かせたり、膨らませたりといった操作を、Adobe Photoshopでおなじみのツール操作でおこなえる。
新しいステイホームの趣味として、ストレス解消法として、あるいは家で子供と一緒に絵を描くことが習慣になったりと、ここ数年、多くの新しいユーザーにとって絵を描くという行為が大切なものになっている。
Adobe Frescoは最初から無料で提供してきたが、より多くの人々が新しい創作の手段を求めるようになったことから、高度な機能をより気軽に使えるようにしたいと考えた。
そこで、プレミアムシェイプやブラシなどのFrescoプレミアム機能を、月額1,078円の請求ではなく、年額1,150円(税込)(App Store価格:このプランはAdobe Fresco単体プランiPad版のみ)で提供していく。
関連情報:https://blog.adobe.com/jp/
構成/Ara
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