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複雑なフレーバーをじっくり味わいたい!ビールとワインのいいとこ取り「長熟・濃厚系ビール」の楽しみ方

2022.05.21

【極上ビールを求めて】ワイン感覚で楽しめる「長熟・濃厚系ビール」

全世界で、約150種類以上もあるというビール。その中から、自分の好みにマッチした最高の1杯を選ぶ目安としてビアジャーナリストのくっくショーヘイさんが作成したのが、「ビールチャート」(下)だ。

好みのビールのキャラクターがわかる「ビールチャート」※くっくショーヘイさん作成

このビールチャートでは、150種類以上もあるビールを大きく8種類のキャラクターに分類している。
これまで、そのキャラクターの①~⑥までお話をうかがってきた。

日本の大手ビールメーカーの代表銘柄のほとんどをしめる「淡色ラガー」
香りが芳醇な「淡色エール」
苦み控えめでまろやかな「白ビール」
麦の香ばしい甘みを感じる「琥珀色ビール」
香ばしさと苦み、深いコクが堪能できる「黒ビール」
フルーツと麦酒のかけあわせが楽しい「フルーツビール」

今回は7番目の「長熟・濃厚系ビール」についてお聞きする。

お話を聞いた方:くっくショーヘイ(佐藤 翔平)さん
フードペアリングインストラクター/ビアソムリエ/ビアジャーナリスト
著書に2022年3月22日に発売、即Amazonビール本部門1位を獲得した「うまいビールが飲みたい!最高の一杯を見つけるためのメソッド」(くっくショーヘイ著/リトルモア)がある

残り2回は、ビールマニア憧れの店「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)」で!

――今回紹介するのは、8キャラクターの中でも、専門店によく置いている「長熟・濃厚系ビール」。8番目の「個性派ビール」と並んで、スーパーや一般的な酒屋さんで入手しにくいジャンルですので、稀少なビールを数多く取り揃えていることで有名なお店にお邪魔し、実際にビールを味わいながら解説をお聞きしたいと思います。こちらの「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)」さんは、ビール好きの間では超有名ですよね。私も昔、男性誌のビール担当の編集さんに連れてきてもらったことがあります。

ショーヘイさん はい、日本で地ビールが解禁された時からクラフトビールシーンとともに歩んできた名店中の名店で、“クラフトビールパブの聖地”とも称されているお店です。

「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)」(東京都墨田区両国2-18-7)は、「両国」駅から徒歩3分 

70種類ものタップとさまざまなビールグラスが並ぶ奥のカウンターは、ビールマニア憧れの特等席

「長熟・濃厚系ビール」は、好きな人はとことんハマるタイプのビール

――これまでのお話で、「淡色ラガー」と「淡色エール」は発酵に使う酵母が違っていて、「白ビール」「フルーツビール」は原料が違っていて、「琥珀色ビール」と「黒ビール」は麦芽の焙煎の度合いが違っている、ことが味わいの特徴に関係しているということがわかりました。今回の「長熟・濃厚系」というのは、他のビールと何が違うんでしょう?

ショーヘイさん 私が「長熟・濃厚系ビール」と分類しているのは、長期熟成ができるほどにアルコール度数が高く、味わいも複雑で濃厚なビールです。一般的なビールはざっくり10日間ほどの発酵を経て、風味を整えるために1か月ほどの熟成期間を取ります。「長熟・濃厚系ビール」はそもそもその期間が半年以上必要だったり、出荷後もさらに熟成を重ねることで香味の変化を楽しむことができます。

――寝かせている間に、いろんな風味が生まれるわけですね。ワインみたいに。

ショーヘイさん そのとおり。旨みや甘味をより感じるようになったり、様々な香気成分も生成されてフレーバーもより複雑になります。一般的なビールのアルコール度数は5%前後ですが、10%とか12%くらいまで上がってくると、味わいがより濃厚になり口当たりもとろっとしてきます。

――でもそれって、日本人が好きな、喉ごしがよくて爽快感のあるラガータイプと真逆じゃないですか?

ショーヘイさん 真逆です(笑)。でも、だからこそ、好きな人はもう本当にハマってしまう味わいなんです。いつも飲んでいるビールに物足りなさを感じている人は、ぜひ一度、トライしてみて欲しいですね。ではさっそく味わってみましょう。

「麦(バーレー)」で造った「ワイン」のようなビール「バーレーワイン」

――このお店では「Strong Ale」というカテゴリーに4種類のビールがありますね。「長熟・濃厚系」に相当するのは、これでしょうか?

ショーヘイさん 正解です!4種類のうち2種類は前々回お話した黒ビール「インペリアルスタウト」でもあるので、混乱を防ぐために今回はそれ以外の2種類、「那須高原麦酒ナインテイルドフォックス’21」と「ベアードビール がんこおやじのバーレーワイン」にしましょうか。

(左)「那須高原麦酒ナインテイルドフォックス’21」(50ml/814円)(右)「ベアードビール がんこおやじのバーレーワイン」(180ml/924円)どちらも税込み、以下同

――(両方を半分ほど飲んで)濃厚系というから覚悟していたのですが、どちらもすごく飲みやすい!そして一口飲んだ時のコクが深くて余韻が長くて、ワインみたいな感じもありますね。でもワインよりずっと飲みやすいというか…。右は「ワイン」という名前ですが、これもビールなんですね?

ショーヘイさん はい、「バーレーワイン」はイギリス発祥の高アルコールビールで、モルトの甘やかさや重厚感を楽しめるビールです。「バーレー」は「麦」という意味。ぶどうじゃなく、麦から作った、ワインのように高いアルコール度数と飲みごたえあるビールなので、「バーレーワイン」なんです。ちなみに、左の「ナインテイルドフォックス」も同じような味わいですよ。公式では賞味期限25年に設定されています。僕も実際に25年ものは飲んだことがないから、どういう味わいになるのか気になるところです。

――両方とも、非常に似ているのですが、微妙に味わいが違います。苦みの差と言うか…。

ショーヘイさん それは、元々の起源であるブリティッシュスタイルか、そこから派生して生まれたアメリカンスタイルをベースとしているかの違いなんです。すごくざっくり言うと、ブリティッシュスタイルは、麦芽や熟成由来のカラメルやレーズンといった深みのある甘味をより楽しめるスタイル。

それに対して、アメリカンスタイルのバーレーワインも甘く濃厚なんですけど、それと同じくらいホップの苦味や香りが効いている感じ。IPAぐらいの強い苦味を感じることが通例です。

――本当に、ワインみたいに飲みこんだ後に、いろんな余韻が広がります。時間がたって温まってくると、また味わいが違ってくるし。最初の1/3くらい、いつもの感じで一気に喉に流し込んでしまって、その時は深い味とかがわからなかったんです。ああ、もったいないことをした…。

ショーヘイさん バーレーワインって、熟成による香り以外にも、いろいろと複雑な香りがあって楽しいですよね。こういう濃厚系のビールは、少し口全体に広げるような感じで飲み込んでもらうと、甘味以外のいろんな味わいを感じ取れます。飲み込んだ後は、口から少し空気を吸って、ふーんって優しく鼻から息を吐く感じで味わうと、いろんな香りもキャッチできて、もっともっと深く味わうことができます。そしてワインみたいにグラスを回してもらうと、さらに香りも開いてまた違った顔を見ることもできますよ。

「災難」と名づけられるほどの濃厚さ!「マルール」

ショーヘイさん もうひとつ、代表的な長熟系として、「ベルジャンストロングエール」の「マルール」を頼んでみましょう。フランス語で「災難・不幸なタイミング」という意味ですね。なかでも「マルール12」はアルコール度数がさらに高くて、12%ぐらい。ちなみに「ストロングエール」って結構そういうエッジをきかせた名前のものが多くて、ほかにも「ギロチン」という名前や、オランダ語でアルコール中毒による震えという意味の「デリリウム トレメンス」というビールもあります。ラベルにはかわいいピンクの象などが書かれているのですが、幻覚の中に現れるらしいです,,,。

「ベルジャンストロングエール」の最高峰といわれる「ランツヘール醸造所 マルール12」(180ml/1023円)

――マルールが来ました。…これは! 確かにすごく濃厚ですけど、意外にも飲みやすい。甘みもうまみも強くて、香りはレーズンや焦がしカラメルみたい。一言で言うと、めっちゃ美味しいです!

ショーヘイさん 良かった(笑)「ベルジャンストロングエール」は、香味も強く複雑ですが、アルコールを感じさせないほどすっと体になじむ銘柄も多いので、知らない間に酔ってしまうのでご注意を。ちびちび飲みながら、ナッツやドライフルーツをつまみながら飲むのに最高な感じのビールですよね。

ショーヘイさん ベルギービールっていろんな要素の香りを感じるものが多くて、味わいにすごい重層感があるんですよ。フルーツやスパイス、時にはフレッシュハーブや土、木々のようなニュアンスがあったりして、私にとっては飲み飽きない種類の一つです。

――私がさっき飲んだみたいに、一気に飲んでしまうと、そういう味の情報がキャッチできないまま通り過ぎてしまうんですね。本当に少しずつ飲まないともったいない。

「長熟・濃厚ビール」ができたのは、ワインへの憧れ?

――でもよく考えたら、ビールは本来、喉を潤すために造られた飲み物ですよね。なのに、なんでガブガブ飲むのに向いていない長熟・濃厚系のビールができたんでしょう。保存のため…?

ショーヘイさん その通りです。主に長期保存の観点から濃厚でアルコール度数が高いビールが造られるようになり、その後1900年代に「バーレーワイン」という言葉が初めて使われました。

他にもこんなロマンある一説もあります。歴史的に言うと、元々ワインは貴族の飲み物で、それに対してビールは庶民の飲み物でしたが、ビールだってワインに負けないような飲みごたえや味わいがあるものを造れるぞ!ということを示すため生まれた、というものです。また、元々ワインを造るためのブドウを収穫できない地域では、大麦を収穫してビールを造るしかなかったという側面もあります。

――そうか、ブドウはより暖かいところじゃないと育たないから。

ショーヘイさん そうです。ブドウが育たない北の地域の人たちは、ワインを飲みたいと思ってもなかなか飲むことができなかった。外部から調達するにしても当時はより輸送が大変でしたでしょうし。じゃあそれを、麦で造れないかということでバーレー(麦)ワインが生まれたという説もあります。

――どちらも、ワインへの憧れなんですね。

ショーヘイさん そうですね。ですが「バーレーワイン」だって負けていません!前述のとおり、ワインのように熟成によって味わいの変化を楽しめますし、中には5年、10年と長期間熟成できる銘柄も存在します。高級ワインのように数十万かけないと買えない、飲めないといったビールもほとんどないので、気軽に楽しめることも魅力の一つですね。

――本当に、ワインみたいですね。飲み疲れないワイン。

ショーヘイさん それが、長熟・濃厚系ビールの魅力なんです。ビールのカジュアルさとワインのような複雑な味わい、両方を併せ持っている。さらにはめちゃめちゃ濃いタイプ、例えば本当にアルコール度数がもう16とか17%ぐらいまで上がってくると、濃厚なデザートを液体で飲んでいるような感覚を楽しめますし、ウィスキーなどの樽で熟成させて風味付けしたり、スパイスを入れてみたりと味わいのバリエーションも実に多彩です。

――「ベルギーでは、ぬるいビールをちびちび飲む人が多い」って、これまで意味が全くわからなかったんですが、今日、完全に理解できました!ではカテゴリー最後の「個性派ビール」に行きましょう。

2022年3月22日に発売、即Amazonビール本部門1位を獲得した「うまいビールが飲みたい!最高の一杯を見つけるためのメソッド」(くっくショーヘイ著/リトルモア)

取材・文/桑原恵美子
取材協力/くっくショーヘイさん
https://www.jbja.jp/archives/author/sato
https://www.instagram.com/shoheisatoh/?hl=ja

撮影協力/「麦酒倶楽部POPEYE(ポパイ)

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