小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

これが最強の経営戦略!1000年以上持続する「何があっても潰れない会社」の共通点

2022.05.13

何があっても潰れない会社から学ぶべきポイント

世界恐慌、リーマン・ショックを乗り越えた後にやってきたコロナ禍。さらにロシアのウクライナ侵攻も出口が見えず、暗い影を落としている。こうした深刻な経済危機に見舞われてもびくともしなかった「強い老舗企業18社」が、日本には存在していた。

世界一古い金剛組は創業578年、1400年以上も続いている。他にも705年に創業した旅館・西山温泉慶雲館など1000年超えの企業が現在でも活躍している。日本企業の平均年齢は37.5歳なので、1000年超えという歴史がいかに貴重なものか、数字からも明らかである。

長年、謎に包まれていた超老舗企業の存続の秘訣について切り込んだのが、田宮寛之先生の著書「何があっても潰れない会社」(SBクリエイティブ発刊、定価990円+税)である。今回は田宮先生に、企業の生存戦略について多方面からインタビューをお願いした。田宮先生、よろしくお願いします。

倒産による社会の損失は大きい

――田宮先生は経済ジャーナリストとして活躍されていますが、最初に今の企業が置かれている状況をどのように見ていますか?

田宮先生 国際競争が厳しいにもかかわらず、企業は短期的に業績を伸ばすことが求められています。

一昔前は業績さえ良ければ他のことはあまり問われませんでしたが、最近はSDGsやCSRに象徴されるように、社会的責任を果たすことも求められています。

企業はあらゆる要求に応えねばならない苦しい状況にあります。学校で言えば、品行方正であり、なおかつ成績優秀を義務づけられているようなものです。

――他人事ではありませんが、大変なのですね!そんな状況の中で「会社が潰れる」のは悲しい事態です。

田宮先生 会社が倒産すれば多くの人が失業するのですから、たいへんな事態であることは間違いありません。1社潰れれば、その影響で取引先も潰れることがあります。

ただ、従業員はいったん失業しても次の仕事が見つかればそれで問題解決です。

最も苦しむのは経営者でしょう。日本企業では経営者が債務を個人保証していることが多いので、企業倒産で経営者個人が莫大な借金を抱え込みます。倒産によって経営者が破産し、一家離散へ繋がることは珍しくありません。

また、企業は大企業であれ、中小企業であれ、さまざまな技術やスキルを保持していますが、倒産によってこうした技術やスキルが散失してしまうこともあります。これは社会全体にとって損失です。

老舗企業は実力主義だった

――新刊「何があっても潰れない会社」では老舗企業の経営について、経営者、社員への濃密な取材をもとに紐解いています。取材の中で最も印象的だった点を教えてください。

田宮先生 一番印象に残ったのは「老舗企業は実力主義だ」ということです。

老舗企業と言えば、創業家の長男が代々後を継ぎ、当主が優秀でなくても番頭が経営を支える、といったイメージがあるのではないでしょうか。

例えば、世界最古企業の(株)金剛組(578年創業)では、分家が継承したり、外部から婿を取ったりしているケースが多いのです。静岡文化芸術大学の曽根秀一准教授の調査によると江戸時代初期の第25代から第40代までの当主のうち、10人の当主が長男以外、もしくは他家から登用された人物です。

金剛家では直系長男であっても、当主に適任でないと判断されれば当主になれませんでした。また、いったん当主になったものの、能力不足と見なされて、家から追放されたケースもあります。

中庄(株)は1783年(天明3年)に創業した紙の専門商社です。初代・庄八が定めた家憲の中には「当主の実の長男には後を継がせず、他家から優秀な養子を取って後継ぎにする」と書いてあります。2代から6代までは養子継承が続きました。養子として中庄に入った人たちが中庄の基盤を築いたのです。

老舗企業は実力主義であり、当主の長男に生まれたからといってのんびりしていられるような甘い体質ではありません。

――驚きました!では、最も印象に残った経営者は誰ですか?

田宮先生 小野(株)の小野兼資社長です。同社は大型手芸専門店を全国に約100店展開しています。質素倹約を社是とする会社は少なくありませんが、それを徹底している会社は少ないと思います。同社は小野兼資社長がその質素倹約を徹底しています。社長の自動車は2002年式のハイエース。走行距離は32万㎞を超えています。

営業車はハイエースでも、プライベートではベンツを所有しているのかと思っていたら、「そんな車は持っていない」とのこと。プライベートでもこのハイエースを使っているそうです。休日に家族で外出するときもこのハイエースなのです。

しかし、同社はお金を使うべきところには使います。ケチなのではありません。1年に新店を10店程度出店することもありますし、業容拡大のため従業員も増やしています。

経営理念なき決断は失敗する

――先生は老舗企業の生き残り策について、1)時代の変化に応じて業態を転換させている、2)目先の利益よりも社会貢献を重んじている、3)愚直に本業を貫き、深化させている、と分析されています。この3つの中で、現在のビジネスパーソンにとって、どれが最も見習うべき重要なポイントでしょうか?

田宮先生 どれも重要です。ただ、1)と3)が矛盾しているように思われるかもしれませんね。

業態を転換するのか、しないのか、どちらでも良いと思います。状況に合わせてケースバイケースで決断すればいい。重要なのは決断するときにしっかりとした「経営理念」があるかどうかです。

最悪なのは世の中の風潮に流されて方針を決めることです。1980年代後半から90年代前半のバブル経済の頃に、他社のマネをしてゴルフ場経営や不動産経営に乗り出して失敗、倒産した会社が多数ありました。業態転換するにしても、しないにしても、「経営理念」なき決断は失敗します。

経営者ではなく企業に属するビジネスパーソンであっても、常に「経営理念」を意識しておくべきだと思います。

老舗企業は女性の力も上手に活用

――女性の参画についてはいかがでしょうか?

田宮先生 老舗というと昔ながらの「男社会」というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。取材の窓口となって対応してくださった社員には女性が多かったです。記事は企業イメージに大きな影響を与えますから、取材対応の仕事はとても重要です。その重要な仕事を女性社員に任せている老舗企業が少なくないのです。

老舗というと硬直的な経営をしているイメージがありますが、実は社会の変化を柔軟に受け入れていると思います。

また、小野(株)の場合、約100店のうち女性店長が75人もいます。女性の活躍は数字が証明しています。

――素晴らしいですね!最後に、自分の会社を継続させたいと思っているビジネスパーソンに、アドバイスやコメントを頂けたら幸いです。

田宮先生 どの部下を抜擢するか、どの部下にどの仕事を任せるのか、どの部下の査定を高くするのか、頭を悩ませているビジネスパーソンは多いでしょう。こうしたときは実力主義で判断して下さい。

社内の雰囲気や他者への忖度をもとに決断するケースが多いと思いますが、会社のためになりません。老舗企業の歴史が実力主義の重要さを証明しています。

――ありがとうございました。

金剛組は有名だが、新刊書で紹介された1000年超えの企業の中には筆者が初めて知った会社もたくさんあった。実際に取材したからこそ知りえた情報を武器に、これからの1000年を切り開いていく勇気がでるような読後感の一冊。

つい後ろ向きになってしまう今だからこそ、先達の知恵を借りて明るく切り開いていきたい。

著者紹介

田宮寛之(たみや・ひろゆき)

経済ジャーナリスト、東洋経済新報社編集局編集委員、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)、明治大学講師(学部間共通総合講座)。

東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日本経済新聞グループのラジオたんぱ(現・ラジオ日経)、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクとなる。

2007年、株式雑誌の『オール投資』編集長に就任。2009年、就職・採用・人事などの情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げて編集長となる。これまで取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。『週刊東洋経済』デスク時代は特集面を担当し、マクロ経済からミクロ経済まで様々な題材を取り上げた。2014年に「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職。

文/柿川鮎子

編集/inox.

興味のあるジャンルを登録して@DIMEをもっと便利に!話題のコーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」やAmazonギフト券が当たるキャンペーン実施中

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2022年6月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「LEDテープライト250」! 特集は「超快適ウエアラブル」「最新EV図鑑」!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。