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【深層心理の謎】近い将来「本当」になりそうな「嘘」は許容されるようになる!?

2022.05.12

 現時点ではあきらかに間違ったことを言っているが、近いうちにそうなると信じられることだった場合、それは“嘘”にはならないのだろうか——。

東中野を歩きながら“嘘”が本当になった出来事を考える

 本当に何が起こるかわからない時代を迎えてしまった——。コロナ禍で暮らしが一変している中、戦争も勃発している。

 ある意味で何が起こっても不思議ではないような気もしてくるのだが、このような時こそ何が事実で何が誤認なのかを見極めなければならない。しかしそうはいっても常に情報の洪水に押し流される今の世の中、物事の“真贋”を見定めるのはますます難しくなっている。目的を持って意図的に発信される誤った情報である“ディスインフォメーション”も多い。

 三鷹市某所からの帰路、JR中央総武線を東中野駅で降りた。夜8時を過ぎ辺りは真っ暗だ。駅の東口は住宅街側にあるのでなおのこと宵闇が深い。駅の階段を降りると交番があり、その前の道を右折する。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 駅前とはいってもほぼ住宅街だが、右手にある大衆食堂には5、6人の入店待ちの列ができていた。並んでみたくもなったが、その店名からして出される料理の量が多いことは明らかだ。食べられないことはないとは思うが、もう少し歩いてほかの店も見てみよう。

 もはや何が起こるかわからない激動の時代を迎えているわけだが、最近画期的な出来事だと思ったのは某大手ショッピングサイトのビデオ・オン・デマンド・サービスで、ボクシングのミドル級タイトルマッチをライブ配信されたことである。考えてみたこともない出来事だったので、かなり意外で新鮮に感じられた出来事だった。残念ながらライブでは視聴できなかったのだが、夜に部屋で軽く晩酌しながらサイトにアクセスしてじっくりと観戦した次第だ。

 この一戦は当初、昨年の12月29日に行われる予定で、その発表の時点ですでに試合がライブ配信されることがアナウンスされていたのだが、コロナ禍の影響でいったん延期となっていた。

 その後何度か交渉を重ねて3月3日の時点で4月9日の開催が決定されたことが発表され、試合中継がライブ配信されることも再び報じられたのだ。

 そしてこの時点で一部のボクシングファンの間である種の噂や憶測が流れることになった。それというのも、すでにバンタム級のタイトルマッチが6月7日に行われることが決まっていたからだ。はたしてこの試合も同社のビデオサービスでライブ配信されるのか?

 決して少なくないボクシングファンが6月の試合も同社で配信されるはずであるという憶測を口にし、中には配信されることがもう決まっているのだという“誤情報”も一部で流れた。

 この時点で同社での配信が決まっていると主張するのは“誤情報”であり“嘘”なのだが、その嘘が咎められることはあまりなかったような印象がある。その時点では“嘘”だとしても、いかにもあり得そうなことで、その多くはそれを耳目にしたとしても、あまり指摘はせずに大目に見ていたように思えた。そして実際、3月29日に同社からバンタム級の試合についてもライブ配信をすることが正式にアナウンスされたのだ。まさに“嘘”が本当になったのである。

 通りを進む。住宅街然としてはいるが街灯には「東中野名店会」というプレートが架かっていて、れっきとした商店街であることがわかる。さっきの店を含め確かに飲食店なども点在している。直進せずにT字路の交差点を右に曲がった。

※画像はイメージです(筆者撮影)

“嘘”が本当になったわけだが、発信の時点での“誤情報”を流布させることについての倫理的な問題は免れないだろう。予想や予測として言及するならともかく、どれほど本当になりそうな“嘘”であったとしても、その時点では事実が確かめられていない“誤情報”であることに違いはないのだ。

近い将来本当になりそうな“嘘”は許容される?

 SNS全盛の時代を迎えて、情報の絶対量が果てしなく増えていることに加え、“フェイクニュース”や“ディスインフォメーション”などの“誤情報”の流通も増えている。そこには今あげたケースのように“嘘”を大目にみているという受け手側の問題もあるようだ。

 最新の研究では、他者の発する“嘘”の発言が将来真実になる可能性があると信じられる場合は、“嘘”の発言を虚偽であるとわかっていながら容認し、この“嘘”をソーシャルメディアに広めることさえ許容している可能性があることが報告されている。本当になりそうな“嘘”を我々は許容し、広めたとしても罪に問わないというのである。


 アメリカ心理学会が発表した調査によると、人々は虚偽であることがわかっている発言を容認し、それらの発言が将来真実になる可能性があると信じる場合、ソーシャルメディアでこの誤った情報を広めることさえ許容している可能性があります。

 政治家が物議を醸す発言をする場合でも、広告で目標を真実だと謳うビジネスでも、履歴書で専門的なスキルについて嘘をついている求職者でも、嘘がどのように真実になるかを考える人々は、その後、(その嘘を)言うのは非倫理的ではないと考えます。彼らは嘘をより拡大解釈したメッセージ(または「要点」)として、より真実に近いと判断します。

「誤った情報の増加は差し迫った社会問題であり、政治的二極化を引き起こし、ビジネスと政治への信頼を失墜させています。一部の人々はそれを信じているため、誤った情報は部分的には存続しています」

「時々人々はそれが間違っていることを知っていますが、それでもそれを許すことをいとわないので、誤った情報も流通し続けます」

※「American Psychological Association」より引用


 アメリカ心理学会(American Psychological Association)の研究チームが2022年4月に「Journal of Personality and Social Psychology」で発表した研究では、調査を通じて「最終的に実現するかもしれないと思える嘘」は非倫理的ではないように感じられるという人々の認知の傾向が確かめられている。

 研究チームは合計3600人以上の参加者による6つの実験を実施した。ある実験では447人のMBA学生に、たとえば財務会計を習得していないにもかかわらず、履歴書のスキル欄に財務会計を記入した友人を想像してみることが求められた。

 次に研究チームは一部の参加者に、嘘が真実になる可能性を検討することを求めた。この場合はたとえば履歴書に“嘘”を記入した友人が次の夏期講習で財務会計コースに登録するケースなどである。こうして友人が近い将来このスキルを身につけることを想像した時、友人の履歴書の“嘘”はあまり罪に問われるものではないと感じていることが突き止められたのである。

 つまり参加者はこの友人の“嘘”は当然間違った行為であると認めていたが、その“嘘”がその後どのように真実になるかを想像することで、その“嘘”をより許容できるようになったのである。

 研究チームはこの認知の傾向はビジネスと政治のリーダーが、現在のところ確かに間違っている発言を正当化するために「将来的には真実になるかもしれない」という主張をすることでも引き起こされる可能性があることにも触れている。

 そしてその支持者はその声明が現時点では真実ではないにしても、本質的に真実であると信じているため、人々はそれをSNSなどで共有することをいとわないかもしれないということだ。いずれ真実になると信じることで、“嘘”を広める罪悪感を打ち消しているというのである。

 バンタム級タイトルマッチが同社でライブ配信されるという“嘘”が放置され気味であったのも、多くはそれは本当になると感じていたからであったことになる。しかしその“嘘”が本当に嘘になる可能性もゼロではない。その時には倫理上は“嘘”を知っていて、見て見ぬふりをしていた者も“同罪”ということになるだろう。

レトロな洋食店で“大正解”のステーキを堪能する

 夜道を進む。オフィスビルやマンションばかりのエリアに来てしまったが、見渡す先には店舗らしき明かりもいくつか見える。もう少し歩いてみよう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 いずれにしても6月のタイトルマッチは楽しみである。なるべくライブ配信で観戦したいものだ。

 道端に飲食店の看板があった。牛のシルエットを模した木製の看板で店名の前に「味のグリル」とある。洋食レストランのようだ。看板に記された矢印の先には赤い庇のお店がある。一目見て老舗店であることがわかる。ここでよさそうだ。入ってみよう。

 店内はまさに“昭和レトロ”だ。ウッディーなインテリアで、壁には額に入った絵画や、水牛の角のような壁掛けもある。飲食店内というよりも、お金持ちの古い屋敷の一室という感じもしなくはない。

 外の看板の下にあったメニューを見て頼むものは決めていたのだが、もう一度店内のメニューで確認して「ステーキ定食」の半ポンドを注文した。注文している最中に若い男女のカップルが入店してくる。

 スープ、サラダ、ライスに続いてステーキがやってきた。ステーキソースも別の容器で提供される。見た目からして美味しそうで、輪切りのレモン片の上に乗ったバターや、コーンやニンジンなどの添え物も丁寧も盛り付けられていて見ていて嬉しくなる。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 ステーキソースを少しかけてさっそくいただく。思っていた以上に肉が柔らかくて美味しい。ソースのコクと風味も格別だ。このソースは初めて味わうテイストである。

 すでにワインもかなり進んでいるであろう、若い男性の2人組みの1人が追加でハンバーグを注文した。その彼によればこのハンバーグも絶品なのだという。次に来る機会があればぜひハンバーグも食べてみたいものだ。

 街の洋食店は一通りの料理をそろえてはいても、メニューやほかのお客の注文をよく見るとたいていはその店の傾向があったりする。このお店は確かにハンバーグも美味しいのだろうが、メニューを見るとステーキを強く推していることが伝わってきた。となれば初見ではステーキの一択で、実際にこうして食べてみれば美味しい。

 もちろんハンバーグが一押しという店もあれば、カレーや揚げ物系を主軸にした店もある。ほかにもオムライスやシチューに力を入れている店など、その店の特徴を把握して注文を間違えないようにしたいものだが、まぁ間違えたら間違えたでそれもまた一興かもしれない。

 食べ物に関しても今の我々は溢れんばかりの情報の洪水に襲われているわけだが、それが“正解”であれ“間違い”であれ、実際に自分の舌で味わってみることに尽きる。情報の洪水の中での“サバイバル”について考えを深めていかねばならないのだが、ひとまず目の前にあるこの“大正解”のステーキを食べ終えることにしよう。

文/仲田しんじ

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