もっと英語を勉強しておけば…と思ったことがある人は多いだろう。あるいは「今年こそ」と勉強を始めたものの、いつの間にかおざなりになってしまったり、勉強は続けていても「TOEIC Listening and Reading Test」(以下、TOEIC)などの点数に頭打ち感があったり。
日々忙しく働いていると、会社で義務付けられているなどの明確な目標がない限り、コツコツ勉強を継続するのは難しいもの。
そこで、英会話イーオン法人担当トレーナーの菅井幸子先生に、忙しいビジネスパーソンが英語を学ぶためのコツを教えてもらった。
デバイスを利用してコマ切れに英語に接するのがおすすめ
インターネットが普及している今、英語を学ぶ手段も理論も選択肢は多岐にわたっている。今回、お話を伺った菅井先生は、ご自身も留学の経験がなく英語をマスターした方だ。さらに英会話学校で個人向けに教えているのではなく、法人向けの教師のため、忙しいビジネスパーソンの、英語を学びたくても学べなかったり、挫折しがちな状況をよくご存じなのも頼もしい限りだ。
――中堅以上のビジネスパーソンになると「今さら英語を学んでも、ビジネス英語が堪能になるわけじゃないし…」と諦める言葉もよく聞かれますが、改めて菅井先生は働く人が英語を学ぶメリットについて、どうお考えでしょうか。
菅井幸子先生(以下、敬称略):ビジネス英語が堪能とまで至らなくても、メールのやりとりをしたり、オンラインのカンファレンスなんかで少しでも理解できる部分があるだけでも、メリットしかありません。
話すのはハードルが高くても、例えば海外からの情報を得るのに、英語のWEBサイトが読めたら、日本語で情報を得るより早めに知ることができますよね。
あるいは海外のスポーツ実況を見ていて、海外のメディアの人が話す言葉が少しわかるだけでも、ライブ感がプラスになるはずです。
――忙しく働きながらも、英語を学ぶコツをズバリ教えてください。
菅井:好きなものと絡めて英語に近づくことですね。新聞をがっちり読むのは難しくても、SNSで入ってくるリンクを飛んで、興味のある話題の情報を読んでみたり、Podcastを聞いたり。勉強する時間を十分に取れなくても、満員電車ならイヤホンで聞けるものにしたり、デバイスやツールを工夫して、コマ切れにでも英語に接することが大切です。
――スキマ時間で英語を学ぶには、他にどんな工夫がありますか?
菅井:例えばNetflixで海外ドラマを見るときには、音声は日本語、字幕だけ英語にするとか。逆に日本のドラマを見るときには、字幕を英語にしてみるとか。そういう風に、昔のビデオとは違い、ツールの設定が細かく変えられるものを利用するのもひとつの手です。
TOEICで頭打ちになっている人は「脱・テキスト学習」を目指して
――英語の勉強に挫折してしまう場合のアドバイスはありますか?
菅井:TOEICは生活英語が多くて、型通りの勉強だけをしていると点が取れなくなるんですね。問題集などでひたすらTOEICなどの勉強をしている方が、ある程度の点数で伸び悩んで頭打ちになるケースが多いのです。これは英単語をたくさん知っていても、使い方を理解していないからなんですね。
解決するには、物理的に生活英語にたくさん触れる必要があり、できれば無理なく自然な形が好ましいです。
先ほどのドラマの言語設定もそうですし、スマートフォンの言語セッティングを英語にすると「あ、こういう時はこういう表現をするんだな」と、普段使用する中で気づくことがあったりすると思います。
海外のニュースを英語で理解するのは背景知識がないとハードルが高いので、日本のニュースを英語で入れることから始めてみましょう。そういう風に、楽しんで多聴多読を続けていたら、わかることが増えて、結果スコアアップにつながります。
――TOEICはリスニングが苦手という人も多い印象です。
菅井:リスニングが頭打ちになっている人は、まとまった英文を聴くと内容がほとんど理解できないのに、スクリプトを読むと単語も構文もほとんどわかっているということが多いです。
これは、音声を英語学習に活用していない人にある傾向です。読んでも聞いても、学習している単語や表現が理解できるように、英文を聴いて声に出す学習が大切です。声を出せない場合も、頭の中で音声を意識して再生するようにしましょう。格言ではないですが「英語は音声ありき」と覚えておいてください。
リスニング力向上のためには、英語音声の知識を増やすトレーニングの継続が大切です。海外ドラマなどを活用して一人でもできますが、コツコツ一人で続けるのが苦手な人は、英会話スクールを利用するのも1つの手です。英会話スクールをトレーニングの方法を確認する場として、またはトレーニングの成果をチェックする場として役立ててみましょう。
英語学習の最終目標をTOEICのスコアにするのではなく、「英語でできたら楽しいこと」で設定するとよいかもしれません。日本語以外の言葉が理解できることは、人生が豊かになることだと思っていますので、英語「を」学習するのではなく英語「で」知識を得ることを楽しみながら、まずは多聴多読やトレーニングを3日間トライすることから始めてみてください。
人によって自分にあった方法があるので、まずは3日続けば御の字くらいのリラックスした気持ちで、1週間だけでも続けてみるといいと思います。
最終目標が「TOEIC〇点」よりは、英語でこんなことができたら楽しいな、というのをイメージできると良いですね。言葉をわかることは人生が豊かになることだと思っていますので、英語で情報を入れることを楽しみながら、まずは3日、トライしてみてください。
〇〇〇
筆者も例にもれず、何度も英語の学習に挫折してきたひとり。つい忘れてしまった英単語を取り戻すべく、文字の学習に走りがちだが、今回は「音」を意識した学習に切り替えてみようを決意。まずはお気に入りのアニメを英語で見てみようか。
■お話を伺った人
株式会社イーオン イーオン事業本部 教務部 教務グループ 法人担当トレーナー 菅井幸子先生
プロフィール/英会話イーオンに入社後、スクールでの教師経験を経た後、外国人教師のリクルーターとしてロサンゼルスにて採用オフィスに赴任。外国人の採用のみならず広告・経理・人事・ビザ関係書類のやり取りなど多岐にわたる業務を担当。帰国後、東京本社教務課にトレーナーとして異動。現在は法人担当として企業・大学や高校・自治体などへの教務カリキュラムの立案を行う。
・英会話イーオン
https://www.aeonet.co.jp/
取材・文/安念美和子
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