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梅雨時の食中毒対策でAIができること

2022.05.12

【連載】もしもAIがいてくれたら

【バックナンバーのリンクはこちら】 
第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第50回:AIであれば知床半島観光船事故の出航判断を誤ることはなかったかもしれない

飲食店での「手洗い」をAIで管理

今年は梅雨入りが早まると言われていますが、梅雨に気になることとして食中毒があります。

昔出張中に食中毒になり、1週間入院して大変な思いをしたので、怖さを実感しています。家庭での食中毒も怖いですが、自分で調理する場合、自分が口にするものには注意を払えますが、外食は怖いと感じます。

実際、食中毒の半数から60%近く飲食店で発生しているとされています。厚生労働省が食中毒について2018年に行った調査によると、食中毒が起こった場所の1位が「飲食店」(54.3%)で、次に続く「家庭」(12.3%)と比べても非常に高い数値です。

令和3年の厚生労働省HP政府広報によれば、食中毒を防ぐためには、細菌の場合は、細菌を食べ物に「付けない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つのことが原則となるとのことです。

予防の要である「適切な手洗い」については、手洗いの方法の図解や動画が掲載されています。新型コロナウィルスに対する社会の危機感が強かったときは、手洗いや消毒への意識が高まっていたと思いますが、最近は飲食店などの入店時に消毒をしている人は少なくなっているように見えます。

飲食店で調理する人の様子を客は見ることができないので気になっていましたが、2022年3月のインパクトホールディングスのプレスリリースによると、「AI手洗いサイネージ」 の販売が開始されたとのことです。飲食店や食品工場、医療・文教施設の手洗い場に設置し、手洗い場に立った人の顔を内蔵のカメラで検知すると、正しい手洗いの見本動画の再生が開始されるサイネージとのことです。

顔認証エンジンが実装されているため、出勤時は長めの丁寧な手洗いビデオの再生、その後は短めの動画に自動的に切り替えることのできる機能が搭載されているとのことです。動画が流れても、いい加減な人は見ないのではないかと懸念されますが、同一手洗い者の手洗い実施状況の記録と集計も可能となっているという点、衛生キャップやマスク着用下でも顔を識別して機能するという点は、AI搭載ならではの利点であり、非常によいと思います。

食材の温度管理もテクノロジーの出番

手洗い管理とともに、「食品の温度管理」も重要とされます。厚生労働省によると、令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に沿った衛生管理を義務付けています。HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き(飲食店編)には、提供する食品のメニューを、食中毒の元となる微生物が増殖しやすい危険温度帯(10~60度)に長時間置かないように提言しています。

ドコモのビジネスコラムでは、食品の適切な温度湿度管理に、IoTの技術を用いて、自動で温度を計るシステムを導入することで、温度のチェック作業が自動化できるとしています。店舗を離れている時でも、リアルタイムで温度の監視・管理が可能になり、数値データを「見える化」し、継続的に記録に残すことで、食中毒のリスク軽減ができる、ということです。

今あるAIやIoTの技術を工夫して活用することで、いろいろな対策ができそうです。高性能になっていくスマホのカメラで、菌を写し出して食中毒の危険を教えてくれたりするようになるとよいかもしれませんが、そこまでのカメラはさすがに難しいでしょうし、菌をゼロにすることはできないと思うので、菌がいることを知りながら食べるのも嬉しくないですね。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。


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