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子どもの出生をきっかけに見守りロボットや育児記録アプリを開発したベンチャー社長が考える日本の子育て問題

2022.05.11

2022年の4月から改正育児・介護休業法が段階的に施行され、同年10月からは、パパ向けの出生時育児休業、「産後パパ育休」が始まるなど、パパが子育てしやすい環境が着々と整えられている。一方で、ママはもちろんのこと、パパにとってもまだまだ働きながら育児しやすい理想的な環境があるとはいえない。

現状、どのような課題があるのだろうか。自らがパパになったことで、子育てサービスを開発した二人のベンチャー社長に商品開発の秘話と共に、現状課題と解決策を聞いた。

AI×GPS子ども見守りサービス「BOTトーク」~ビーサイズ代表・八木氏

今年3月16日、AI見守りロボット「BoTトーク(ボットトーク)」がリリースされた。これはビーサイズ株式会社が開発する、AIを活用したGPS子ども見守りサービス「GPS BoT」の進化版だ。

「Botトーク」

GPS BoTは、子どもが手のひらサイズのデバイスを持ち歩くだけで、AIが位置情報から子どもの生活パターンを学習し見守ることで、保護者のスマートフォンへ通知をするものだったが、その機能にプラスして、Botトークでは新たに独自の音声システムを付与した。BoTトーク端末と保護者のスマートフォン間で音声メッセージの送受信をすることができる。料金は、月額748円(税込)で無制限に利用できる。

「Botトーク」イメージ

同社の代表で、デザインエンジニアであり、同製品を開発した八木啓太氏は、2015年に自身が第一子を授かったことをきっかけにBotシリーズの研究開発をスタートしたという。

【取材協力】

八木 啓太氏
ビーサイズ株式会社代表取締役・デザインエンジニア
2011年、Bsizeを創業。世界で最も自然光に近いLEDデスクライトSTROKEをひとりで開発・上市し「ひとりメーカー」として話題に。NHK朝ドラ「半分、青い。」にて「ひとりメーカー」考証。2017年にGPS BoTをリリース。子ども見守りGPSで国内シェアNo.1を獲得。
「Botトーク」
https://www.bsize.com/bot/talk

●開発のきっかけ

「子どもを主語にして世の中をとらえると、その成長過程でさまざまな課題に直面しそうだと気付かされました。自分が子どもだった頃のように、自由に野原を駆け回ったり、地域で声をかけ合って見守ってもらったりすることもむずかしく感じる時代です。ひと昔前は、ご近所さん同士で『お宅の子、隣町で見たけど大丈夫?』などと知らせてくれたものでしたが、昨今は共働き世帯の増加や、地域コミュニティの希薄化・高齢化によって、それも移り変わりつつあり、安心して子どもを送り出すのもむずかしく感じるようになってきました。

子どもにはたくさん冒険、チャレンジして、自分の世界を広げてほしいけれど、手放しに送り出せる時代でもなくなってきました。そこで、親やご近所さんに代わって子どもを見守ってくれるようなテクノロジーが必要だなと痛感したんです。そこで、『子どものことをよく知った人が見守ってくれる、ぬくもりのある見守りをテクノロジーで実現できないか』と考えたのがきっかけです」(八木氏)

●自身で開発しようと思った理由は?

当時も、すでに市販の見守りアイテムはあったと思われる中、なぜ自分で開発しようと思ったのだろうか?

「『これなら我が子を託せる』と安心でき、信頼できるものがなかったためです。GPSサービスはありましたが、どれも親が能動的にアクションしないと見守れないものでした。『あれ、もう18時なのに子どもが帰って来ていない、おかしいな』と自分で居場所をサーチしたら初めて『今、(子どもは)ここにいます』とわかるだけのものでした。つまり、居場所をサーチし続ける責任は、親側にあったんです。

それは忙しい現代の親にとっては『見守りサービス』になっていないと思い、BoTは自動的に位置情報をサーチし、AIが常時、子どもを見守りながら、何かあれば『学校に着きました』『帰宅しました』などとプッシュ通知で知らせてくれるものにしました。見守りそのものをAIが代替してくれるサービスにしたのです。それによって、まるで誰かが付き添ってくれているような安心感が実現でき、これであれば我が子をたくせると思えました。そして、同じような心配を抱える親御さんたちはたくさんいらっしゃると思い、日本中のパパママの安心につながればと、発売することにしました」(八木氏)

●子どもの安否を日々心配するパパへのアドバイス

八木氏は、見守りに関するパパの想いはよく理解していることだろう。子どもの安否を日々心配するパパへアドバイスをもらった。

「親としては、子どもが健やかに元気に過ごしてくれていればそれでよく、本来は、必要以上に心配したり、干渉したりする必要はないと思っています。一方で、こんなご時世にあって、手放しに送り出せる時代でもないですよね。子どものことをふと想うときに、それが不安や心配事ではなく、希望であってほしいと思います。

ですので、例えばBoTがあることで子どもたちは自分たちの世界に没頭し、親もBoTがあることで安心して仕事に集中でき、結果として効率的に仕事を片付けられるので、家族の時間をもっと楽しむことができるといったご活用をいただければ嬉しく思います」(八木氏)

●現代のパパが子育ての際に直面する課題

その他、現代の父親が直面する課題と解決策を八木氏に挙げてもらった。

1.自分たちらしい「家族像」をどうデザインしていくか

「コロナ禍によってますます、親の働き方も、子の置かれた環境も多様化しています。パパは平日は出勤で不在、土日に家族サービスといったステレオタイプはもはや成り立たず、例えば、パパは今日は在宅ワーク、子どももリモート授業、ママは出勤など状況は千差万別だと思います。そのため、画一的な正解はなく、家族が自分たちらしい家族像をどうデザインしていくかが問われていると思います。

これは課題というよりも、とても楽しみなことです。自分たちらしいライフスタイルを自由度高くデザインできるチャンスのある時代ととらえ、家族が本質的な話し合いをして、それぞれの人生を前向きで温かいものにしていくチャンスだと思います」(八木氏)

2.子どもたちの将来をどう考えるか

「もう一つは、子どもたちの将来をどう考えるか、ということ。親自身の将来ももちろんですが、子どもたちもポストコロナ社会において、彼らが次代を担う数十年後、大半の職業が様変わりしているであろう未来において、どのような人間力が必要なのか、何を大切に生きていきたいのかは、家族に問われていると思います。

未来を正確に予測するのは困難ですが、いかなる時代に追いても普遍的に求められる人間性は、そう大きくは変わらないんだろうと思います。ですので、過度に不安がるというよりも『こういう人間になりたい』『なってもらいたい』ということを家族で話し合い、その過程や成長を日々楽しんで過ごしていく、歩んでいけるように、家族のビジョンを日々アップデートしていくことが、大切なのではないかと思います」(八木氏)

育児記録を家族で共有「パパっと育児@赤ちゃん手帳」~ファーストアセント代表・服部氏

「パパっと育児@赤ちゃん手帳」は、パパとママの子育てをサポートする育児記録スマートフォンアプリだ。食事・排泄・健康・寝た時間や起きた時間などをアイコンで手軽に記録できる。登録した育児記録はカレンダー上で色分け表示や、統計表示、グラフ表示など見える化でき、赤ちゃんの健康状態が一目で確認できるのが特徴だ。家族間においてリアルタイムで情報共有もできる。

「パパっと育児@赤ちゃん手帳」イメージ

利用は完全無料で、iOS版とAndroid版の両方が用意されている。

2015年にリリースされて以来、70万人以上に活用されている。集めたデータは国立成育医療研究センターとの共同研究に用いており、論文なども作成しているそうだ。

そのような研究ノウハウをもとに、食事や排泄のタイミングを予測して通知する機能や、赤ちゃんの泣き声をAIが分析して感情を推測する「泣き声診断」が追加されていった。

このアプリを開発したのは、株式会社ファーストアセント代表の服部伴之氏だ。起業前に自身が子育てをしていた際に、エビデンスに基づいた育児情報にたどり着くことが困難な状況を目の当たりにし、愕然とした。妻の育児記録を目にした際に本アプリの構想を思いつき、サービス化を行ったという。その経緯について服部氏に聞いた。

【取材協力】

服部 伴之氏
株式会社ファーストアセント代表
大学院修了後、株式会社東芝で研究者として従事。その後IT業界へ転身。ベンチャー企業CTO、技術責任者などを経て2012年に「テクノロジーで子育てを変える」をミッションに掲げる、ベビーテックベンチャー株式会社ファーストアセントを創業。
「パパっと育児@赤ちゃん手帳」
http://papaikuji.info/

●開発のきっかけ

「私が初めて育児に携わった時代は、SEO対策された『いいかげんなコンテンツ』が検索上位に上がっており、そういった情報が正しいか否かを判断しようとした際に、論文などの情報ソースにたどり着きにくい状態でした。医師による監修と書いてあっても、まともに監修されていないコンテンツも多く、素人からすると、間違って認識してしまいそうなことも多々ありました。

また『子育てはこういうもの』『子どもはこういうもの』と、良かれと思ってアドバイスをされている方の中には、こういった誤った認識のもと吹聴されてしまっている情報や、自分自身の経験だけをもとに、一般とはかけ離れたアドバイスをされる方も多く見受けられました。誤った情報、もしくは正しくなさそうな情報を元に、『自分の子どもは大丈夫なのか?』と悩んでしまう状況に私たち自身が陥ってしまったため、正しい情報をいかに両親にリーチさせて、正しい判断を促すかということの必要性を感じました。

育児記録アプリは子どもの生活のほとんどが登録されるので、親は自分たちで数字によってファクトを判断できるようになりますし、第一子と第二子など、子どもによる違いも判断できます。そして育児記録をしてもらうことで、我々はビッグデータを集めることができるので、これまでの研究のやり方ではできなかったような大量データを用いた研究が可能になります。その結果、子どもの成長、発達の状況などに合わせて、ふさわしい情報を提供できるようになると考えたのが開発のきっかけです」(服部氏)

●育児情報が少ない中で子育て参加するパパへのアドバイス

現在、育児情報が少ない中で、子育て参加をする必要があるパパは、どのように子育てに取り組めばいいだろうか。

「自分の育児の際に、事前の準備が足りていなかったことや、想定外のことに直面したことがあり、それに対して最初は、家族間でコミュニケーションを取るということができずに苦労したという経験があります。この経験から、ぜひ事前の知識や道具の準備をしていただくのをおすすめします。

また今は子育てを支援するテクノロジーがありますので、そういったものを上手く活用していただければと思っています。そういったものを活用することと、愛情の欠如とイコールではありません。上手く活用して、赤ちゃんや家族と、よりよいコミュニケーションを取り、よりよい関係を構築していただければと思います」(服部氏)

●現代のパパが子育ての際に直面する課題

その他、現代の父親が直面する課題と解決策を服部氏に挙げてもらった。

1.事前知識不足

「父親は、事前知識不足とその知識不足を認識せずに育児に対面することが、実際には多いと思っています。わかっているつもりだったけれども、実際にやってみると、大人の感覚で考えてはいけなかったと再認識することが意外と多いんです。また育休を取得したけれど、妻からすると頼りない夫に見えてしまうこともあります。事前準備をしっかりしておくと、妻をより安心させられると思っています。当社では、事前準備のお手伝いをできるようにと、『ベビケアプラスチャンネル』という専門家監修による子育て相談あるあるの動画集をご提供しています」(服部氏)

2.職場の体制

「職場の上司が、育休を取得する人の背中を後押しするような体制が理想ですが、嫌がる上司がまだまだ多いように聞いております。昭和な育児を行ってきた上司の考えが少し変わらないと、育休は取りづらいものです。結果として、選ばれる職場になりづらくなり、長期的に見るとパフォーマンスを発揮できない組織になるのだろうと思っています。そういった職場環境を改善していくために、当社では『ベビケアプラス for Business』という法人向けのサービスを提供しています」

「ベビケアプラス for Business」は、ベビーテックと専門家からのアドバイスで子育てをサポートし、産休中・育休中の社員をはじめ、従業員全員に対する企業側の働きやすい環境づくりへの取り組みをサポートするサービスだという。

今回は、2人のパパ社長に子育てサービスの開発のきっかけと今後の課題について話を聞いた。パパの子育て参加は世間的に進んではいるが、まだまだ理解がされず、知識不足という点もあるようだ。また、多様な家族の形がある中で、いかに子育てを自分たちらしく、楽しく、有意義に行っていけるかがポイントといえる。子育てサービスをうまく活用しながら、積極的に取り組んでいきたい。

取材・文/石原亜香利


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