今年の夏こそはTシャツの似合う男になりたい――冬の寒さが過ぎ去り、暖かい日が続くようになってくると私を含め、多くの男性が毎年のように考えていることだろう。しかし、それも毎年のように挫折をしている。正確には挫折しているのではなく、始められないという表現が正しいだろう。どうすれば痩せるのか、どうすればお腹周りの無駄な贅肉を落とし体を引き締めることができるのか、調べている内に時間が過ぎ、諦めてしまう。
「トレーニングから始めた方がいい」「まずは有酸素運動がいい」「いやいや食事制限で十分だろう」などなど様々な考えがあり、そしてそのすべてが正しいのがボディメイクの難しいところだ。しかし、すべて正しいなら思い切って一つに狙いを定めて踏み出してみるのもいいかもしれない。そこで今回は「食事」にフォーカスを当ててボディメイクに取り組む考え方を紹介したい。
理想は“食べて痩せる”こと
「食事」を変えると聞くと、“鶏のササミとブロッコリー”のような食事を連想する方も多いかもしれない。結論から言えば、こうした食事をする必要は全くない。体脂肪を極限まで落とし筋肉を強調した、いわゆるビルダー体型を目指しているなら別だが、たるんだ体を引き締めたいと考えている多くのビジネスマンにとっては、そこまでする必要はない。それでは、どのような食事にするのがいいのだろうか。
「いつものランチを少しだけ気を付けるだけで十分効果があります」
そう指摘するのはパーソナルトレーナーを長年務め、現在はTANPAC株式会社のマネージャーである谷川俊平さんだ。
「ビジネスマンはまずは平日のランチから意識を向けてみてはどうでしょうか。忙しい朝にコンビニで買ったおにぎりや菓子パンを食べ、夕食は家のご飯に舌鼓を打ち、晩酌をする。そういった食生活の全てをいきなり変えるのはやはり難しい。まずは『平日のランチ』を意識することで、理想の体の一歩を踏み出すことは十分可能です。
すでにみなさんも知っているとは思いますが、やはり基本は「高タンパク」です。トレーニーではない人でも高タンパクにするメリットは二つあります。
一つは、理想の体づくりのために筋肉をそぎ落とさないためです。夏までに理想の体型になることを目指している方は、ただ痩せたいと思っているのではなく、無駄な脂肪を減らして引き締まった体を目指しているはずです。そのためには筋肉は必須です。トレーニングをしていなくても、あるいは週数回のトレーニングでも多少なりとも効果が表れるようにやはりタンパク質はできるだけ摂取しておきたい。
そしてもう一つがタンパク質は「低カロリー」だからです。三大栄養素である、タンパク質、脂質、炭水化物は、1gあたりのエネルギー量がそれぞれ4kcal、9kcal、4kcaになります。つまり同じグラム数を食べても、脂肪分の多い肉より少ない肉(=高タンパクな肉)の方がカロリーが少なくて済みます。つまり、高タンパクな食事を心がけると自ずとカロリーを下げることができる。これは、食事の量を減らすのではなく“食べながら痩せる”という方法なので、ストレスなく続けることができます」
谷川俊平(たにがわ・しゅんぺい)/1983年生まれ。TANPAC株式会社マネージャー。著書『食べる筋トレ。』(かんき出版)他。『筋肉食堂』の店舗、営業時間情報などはこちら
タンパク質は未来の自分への“投資”
問題なのは高タンパクの食事ができる場所が非常に少ないことだ。普段のランチを思い返してみると、蕎麦、定食、カレー、牛丼、ファストフード……いずれも糖質や脂質がメインの料理ばかりだ。谷川さんは「ビジネスマンの体作りを後押しできる食事を提供したい」と考え、2015年に『筋肉食堂』をオープンした。
「『筋肉食堂』は“高タンパク、低カロリー”をコンセプトにアスリートやトレーニーはもちろん、ビジネスマンの食事を応援できればと思っています。多くの方が『痩せたい』と考えた時に『食べない』という選択肢を取ってしまう。食べないと確かに体重は落ちます。しかし同時に筋肉も落ち、基礎代謝力も落ちる。そうなると、今年の夏は痩せることができても、来年の夏はさらに痩せにくい身体になっているでしょう。こうした悪循環が生まれてしまいます。
食べないで痩せるのではなく、“食べて”痩せてほしい。そのためには、まずは一週間でもいいので、ランチを高タンパク・低カロリーメニューにしてみることです。一週間もあれば、少し体が軽くなったなとか、指が細くなったなとか、ちょっとした変化は感じられる人も多い。体型が変わらなくても、意識が変わればいいんです。高タンパク・低カロリーの食事を食べる習慣ができれば、コンビニ弁当でも居酒屋でも、カロリーやPFCバランスが気になってくるはずです。そうすれば、2か月もあれば体は絶対に変わります。タンパク質は未来の自分への投資です」
食事を変えれば体は変わる。当然誰でも知っているロジックだ。しかし“知っている”と“できている”には大きな違いがある。今年こそは、できている男になって夏までに理想の体を手に入れよう!
「鶏モモ肉200g+サーモン」(ランチタイム1700円/ディナータイム1760円)。このボリュームで500キロカロリー。セットのライス・スープを付けても700キロカロリー以下で済む。さらにタンパク質は71.5gも含まれているので、トレーニーにとってもありがたい。
取材・文/峯 亮佑
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