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天職をつかむために奮闘するビジネスパーソンに読んでほしい1冊

2022.05.08

■連載/あるあるビジネス処方箋

前々回前回とこの4月に入社した社員に転職の勧めをテーマに書いた。前回、次の事例を紹介した。社員数が20人ほどの編集プロダクションから、Bグループ(業界ランキングの4位~20位)の出版社に30代半ばで転職し、40代前半で編集長となり、活躍する女性のことだ。

だが、こんなサクセスストーリーを描くことができる人は出版界では極めてごく少数だ。下記のデータをご覧いただきたい。厚生労働省の調査で、企業規模(従業員数)ごとに新卒(大卒)入社の社員の3年以内の離職率を表したものだ。

000845121.pdf (mhlw.go.jp)

規模が小さくなるほどに、離職率が高くなっているのがわかる。特に99人以下は高い。99人以下の会社は賃金をはじめとした労働条件、就労環境、社員の質、役員や管理職のレベル、会社の社会的な地位、ブランド力の点で問題や課題が多い。おそらく、そのことに不満を持ち、辞めるのだろう。このレベルの会社を新卒入社後、数年以内で辞めても、業界ランキングがBグループの会社(4位~21位)には転職は難しい。Cグループ(22位~)にしか、転職はできない場合が圧倒的に多い。

前々回、前回に書いたように、Cグループ(22位~)に入ったところで、キャリア形成において明るい未来があるかというと、はなはだ疑問に思う。だが、Cグループの会社に転職してでも、自分のやりたいことをして生きていくのはある意味で明確な職業意識であり、尊い生き方だと思う。そのような人生を生きていきたいと願う人に、1冊の本を紹介したい。

それは、「27歳の転機―誰もが悩み、そして決断した」(メディアファクトリー、中古などで手に入れることが可能)。30年ほど前の1994年に出版された。当時、20代前半だった私は数えきれないほどに読んだ。その頃、各界で活躍していた30~60代の著名人が20代のターニングポイント、特に27歳の転機について綴るエッセイ集だ。転職情報誌『B-ing』で連載されていた記事の単行本化と言える。

著名人たちの中には作家の戸井十月さんのように他界した人もいるが、20代を苦しみながらも、おもしろおかしく生き、天職とも言える仕事に巡り合うエピソード集となっている。会社という、ビニールハウス(温室)でわずか数年働いただけで「これが転職だ!」と口にする会社員は当時も今もいるが、そんな切ない生き方はここに登場する著名人はしない。

例えば高校や大学を中退、あるいは学生運動で逮捕、その後、まともな会社に就職できない中、なんとか職を得たが、すぐに退職。離婚、生活保護寸前になるなど、大半の会社員とは正反対の人生を歩みながら悪戦苦闘し、職をつかみ、成功していく。

天職は迷いの中、苦しみながらつかむものであり、会社から与えられるものではないことがよくわかるエピソードが並ぶ。当然、ここには編集者の思惑があり、一定の意図のもとで作り込まれた内容だとは思う。当時、こんなサクセスストーリーに影響を受けていた。今、読み直しても当時の思いが沸き起こる。私も16歳で高校を中退し、単身上京したものの、最終学歴「中卒」では就職が難しかった。かろうじて職を得たが、上司との対立で法的な争いをしたり、一時期は生活保護になったりもした。著名人のエピソードにシンパシーを感じる部分がある。

新入社員の人がこんな会社や仕事は嫌だと思い、やりたい仕事で生きていこうとするならば熱烈に応援をしたい。冒頭の女性編集者や「27歳の転機―誰もが悩み、そして決断した」の著名人のような生き方を思い起こしてほしい。そのような歩みをすれば、ともすれば苦しい人生になるだろうが、多くの会社員がつかむことができない生きがいを得るかもしれない。少なくとも、「昔はよかったね」と惰性で生きていくよりは、はるかに意味のある人生になるのではないか。苦難も多いだろうが、どうか、天職をつかんでほしい。できなかったとしても、その生き方そのものがあなたらしい人生なのだと思う。それが、キャリアメイクの王道なのではないだろうか。

文/吉田典史


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