リクルートではこのほど、同社が提供する転職支援サービス「リクルートエージェント」における2021年度下半期(21年10月~22年3月)の中途採用動向調査の結果を公開。その上で、本サービスを利用する11,749社を対象に21年度下半期の中途採用充足状況および22年度通期の中途採用計画の状況、中途入社者の賃金・処遇の計画などについて調査を実施したので、その結果を紹介する。
前年度比で中途採用計画を増やす企業は25.1%、減らす企業は4.0%
回答企業11,749社のうち21年度下半期に中途採用の計画があった企業は90.8%だった。採用計画ありの企業10,669社の中途採用充足状況を見ると、採用充足企業(100%以上)は19.2%という結果に。採用未充足企業(100%未満)は80.8%であり、採用充足率が50%に満たない企業は全体の53.4%となった。
中途採用充足率は2021年度下半期の中途採用計画人数および中途採用実績人数(入社ベース)を基に算出している。
業界別に見ると、中途採用充足率が「100%以上」の割合が高い業界は、サービス・アウトソーシング業界(26.2%)、消費財業界・総合商社(23.9%)、外食・店舗型サービス業界(23.9%)などだった。
一方、中途採用充足率「100%以上」の割合が低い業界は、IT通信業界(13.2%)、公共インフラ・官公庁(15.1%)インターネット業界(17.1%)などとなっている。従業員規模別では、「100%以上」の割合は規模に関わらずおおよそ同水準だが、「50%未満」の割合は従業員規模が大きいほど低くなる傾向が確認された。
前年度比で中途採用計画を増やす企業は25.1%、減らす企業は4.0%
今回の調査では、2022年度通期での中途採用計画について、前年度と比較した状況を確認した。全体の過半数は前年度と同等水準(5%未満の増減)という結果だった。増減の状況に目を向けると、約25%は前年度に比べて5%以上中途採用を増やす計画であることがわかる。一方、中途採用を減らす(減らす+大幅に減らす)と回答した企業の割合は4.0%だった。
中途採用計画を増やす理由について、最も選択率が高かったのは「既存事業を拡大するため(71.1%)」だった。この項目に続いて、「特定層で人材が不足しているため(41.9%)」、「特定の専門スキルを持つ人材を確保するため(41.1%)」が選択されている。
業界別のグラフは、特に採用意欲が高いと考えられる「大幅に増やす」の割合が高い順に結果を掲載している。この割合が高い業界は、インターネット業界(14.0%)、IT通信業界(12.1%)、コンサルティング業界(11.8%)などだった。また従業員規模別では、規模が大きいほど「大幅に増やす」および「増やす」の割合が高い傾向が確認された。
全体の15.0%が賃金・処遇を「増やす」と回答。一方で「減らす」という企業はほぼ皆無
2022年度の中途採用を進めるにあたって、中途入社者の賃金・処遇をどのように計画しているかを確認した。まず、前述2の22年度中途採用計画に比べると、「未定・わからない等」が32.2%と数値が高く出ていることがわかる。その上で、最も選択率が高い項目は「変わらない(52.5%)」だった。賃金・処遇の増減状況においては、「増やす計(1割以上の増加+1割未満の増加)」の割合は全体の15.0%だった。一方で、「1割未満の減少」は0.2%という結果だった。
業界別では「増やす計(1割以上の増加+1割未満の増加)」の割合が高い順にグラフを作成している。IT
通信業界、コンサルティング業界、インターネット業界などが上位にあり、前述の中途採用計画を増やす業界と同じ顔ぶれとなった。
一方で従業員規模別では異なる傾向が確認された。中途採用計画では従業員規模が大きいほど「1割以上の増加」および「1割未満の増加」の割合が高いが、中途入社者の賃金・処遇の計画ではむしろ規模が小さいほうが、「1割以上の増加」および「1割未満の増加」の割合が高い傾向が確認された。
出典元:株式会社リクルート
構成/こじへい