健康診断、ストレスチェック、保健指導の実施など、企業の従業員に対する健康管理の施策は様々だ。こうしたサポート制度について、当の従業員たちは有意義に感じているのだろうか?
ネットエイジアではこのほど、「健康に関する意識調査」を実施。その結果の一部を、以下で紹介する。
勤務先で行われる健康管理に関する意識・実態
「従業員の健康管理をするべき」と80%が回答、「健康管理のために従業員の行動・習慣を制限する必要はない」は66%
企業の従業員に対する健康管理(健康診断、ストレスチェック、保健指導の実施など健康状態の管理や、健康維持・増進のためのサポートなど)について質問した。
有職者(669名)に、勤務先が行う従業員の健康管理についての是非を聞いたところ、【従業員の健康管理】では「非常にやるべきだと思う」が22.7%、「どちらかといえばやるべきだと思う」が57.2%で、合計した『やるべきだと思う(計)』は80.0%、「全くやる必要はないと思う」が2.8%、「どちらかといえばやる必要はないと思う」が17.2%で、合計した『やる必要はないと思う(計)』は20.0%となった。
また、【健康管理のために従業員の行動・習慣を制限すること】では『やるべきだと思う(計)』は34.4%、『やる必要はないと思う(計)』は65.6%となった。健康管理の必要性を大多数の人が認める一方で、健康管理が行動・習慣の制限にまで及ぶことに対しては大半の人が行き過ぎだと感じるようだ。
健康管理の効果に対する意識を聞いたところ、【健康管理をしてくれると、仕事のモチベーションが上がる】では「非常にそう思う」が5.2%、「どちらかといえばそう思う」が40.5%で、合計した『そう思う(計)』は45.7%、【健康管理をしてくれると、勤務先への愛着が深まる】では『そう思う(計)』は45.4%となり、両方とも肯定派は半数を下回った。
「健康管理のために勤務先から行動・習慣を制限されたらストレスを感じる」85%、20代では92%
では、健康管理のために勤務先から行動や習慣を制限されたり強制されたりすることに対し、どのように感じる人が多いのだろうか。
有職者(669名)に、健康管理のために勤務先から行動や習慣を制限されることに対する意識を聞いたところ、【ストレスを感じる】では『そう思う(計)』は84.5%となった。
年代別にみると、『そう思う(計)』と回答した人の割合は20代(91.8%)が突出して高くなった。
【仕事のモチベーションが低下する】では『そう思う(計)』は74.6%となった。健康管理という目的であっても、行動や習慣を制限されると、仕事への意欲が低下すると感じる人が多いのではないだろうか。年代別にみると、『そう思う(計)』と回答した人の割合は20代(78.7%)と40代(77.0%)では約8割となった。
【勤務先への愛着が薄れる】では『そう思う(計)』は61.7%となった。年代別にみると、『そう思う(計)』と回答した人の割合は20代(69.7%)が特に高くなった。
健康管理のために不本意な行動や習慣を強制されることに対する意識を聞いたところ、【転職したいと感じる】では『そう思う(計)』は65.3%となった。健康管理のためとはいえ、勤務先によって本人が望まない行動や習慣を一方的に強いられると、3人に2人が転職を考えるようだ。
男女・年代別にみると、『そう思う(計)』と回答した人の割合は20代女性(85.7%)が突出して高くなった。
勤務先の健康管理に関する経験 「休憩中の行動・習慣を制限された」が9%
続いて、有職者(669名)に、勤務先の健康管理に関する経験について質問した。
健康管理として勤務先から休憩中の行動・習慣を制限されたことがあったか聞いたところ、「あった」は9.3%となった。休憩中に関しては行動の自由は広く認められるべきであるが、行動・習慣の制限が休憩中にまで及んだケースもあるようだ。
また、健康管理が行き過ぎだと感じたことがあったか聞いたところ、「あった」は8.7%となった。
さらに、健康管理として健康のための取り組みを押しつけられたことがあったか聞いたところ、「あった」は11.4%と9人に1人の割合となった。
健康管理として健康のための取り組みを勤務先で押しつけられたことがある人(76名)に、押しつけられたことで自身の行動・習慣を変えざるを得なかったことがあったか聞いたところ、「あった」は57.9%となった。勤務先が健康管理と称し、健康のための取り組みを一律に強制する場合、従業員の行動・習慣を強引に変えてしまっているケースは多いようだ。
テレワークをすることがある有職者(184名)に、健康管理としてテレワーク中の行動・習慣を制限されたことがあったか聞いたところ、「あった」は14.1%と7人に1人の割合となった。
勤務先が行う健康管理に対する要望 「自分に必要だと思う取り組みを選べるようにしてほしい」87%
有職者(669名)に、勤務先が行う従業員の健康管理について、2つの施策例を提示し、どのくらい望ましいと思うか聞いた。
【従業員が自分に必要だと思う取り組みを選べるようにする】では「非常に望ましいと思う」が27.1%、「どちらかといえば望ましいと思う」が59.9%で、合計した『望ましいと思う(計)』は87.0%となった。健康のためにどのような取り組みを選ぶかということについて、大多数の人が個人の自由意思を尊重してほしいと望むようだ。
年代別にみると、『望ましいと思う(計)』と回答した人の割合は50代(94.5%)と60代(95.1%)が突出して高くなった。
また、【健康度が上がった従業員にはインセンティブを付与する】では『望ましいと思う(計)』は72.0%となった。年代別にみると、『望ましいと思う(計)』と回答した人の割合は20代(77.9%)が最も高くなった。若年層では、健康増進に取り組むモチベーションを高める仕組みとなる成果報酬制度を望む声が多いようだ。
出典元:ネットエイジア株式会社
構成/こじへい