法律問題に悩むユーザーがその分野の事件・相談対応を得意とする弁護士・法律事務所を検索できるポータルサイト「弁護士ナビシリーズ」を運営するアシロから、「自転車事故でも警察を呼ぶ必要はあるのか」というテーマのレポートが公開された。
交通事故の43.6%に自転車が関与
新生活が始まって約1か月。このタイミングで、通勤・通学時に新たに自転車を利用する人が増えているといわれている。コロナ禍の現在では、密を避けることができ、運動不足も解消できる点が、その主な理由だ。
しかし、自転車利用者の増加に伴い自転車事故も増加している。警視庁が公表している「都内自転車の交通事故発生状況」を見ると、都内において、交通事故全体に占める自転車事故の割合を示す自転車関与率は、2021年に43.6%と過去5年間で最も高い数字となっている。
自転車事故はいつどこで起きているのか
増加している自転車事故だが、いつどこで起きているのだろうか。警視庁が公表している「都内自転車の交通事故発生状況」によると、自転車事故が起きる時間帯として最も多いのは「8~10時(16.7%)」、場所としては「交差点(47.3%)」が最も多くなっている。
事故の種類としては、「出会い頭(35.5%)」が最も多く、次いで「車両単独(19.3%)」となっている。このデータから、通勤や通学の時間帯で多くの人が先を急いでおり、注意が不十分になっていることが考えられる。
そんな時に、突然の事故によるパニックと、先を急ぐ焦る気持ちから、冷静な判断が困難となり、車両単独の事故も多いことから、自分一人の判断で警察を呼ばずに済ませる人も多いのではないだろうか。しかし、自転車事故で警察を呼ばなかった場合には、多くのリスクがある。それは一体どのようなリスクなのだろうか。
以下、アシロの社内弁護士による解説を紹介する。
自転車事故で警察を呼ばなかった場合のリスクは?
(1)実況見分調書が作成されない
「実況見分調書とは、人身事故の場合に作成される事故状況をまとめた書面のことで、事故態様や過失割合を判断する際の重要な資料となります。これがないと賠償金の算定で揉めたり、適切な金額を受け取れなかったりする恐れがあります」
(2)交通事故証明書が発行されない
「交通事故証明書とは、交通事故が起きたことを証明する書面のことです。保険会社から保険金を受け取る際に必要なため、これがないと保険金を受け取れない恐れがあります」
(3)刑事罰が科される恐れがある
「自転車の運転者が警察への報告を怠った場合、報告義務違反として『3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金』が科される恐れがあります(道路交通法第119条1項10号、同法第72条1項後段)。その他、救護措置を怠った場合は、救護義務違反として処罰されることもあるでしょう」
自転車事故で警察を呼ばずにその場で示談した場合のリスクは?
「場合によっては、相手方から『警察は呼ばないで欲しい』などと懇願されることもあるかもしれません。しかし、一度成立した示談のやり直しは原則できませんので、決して安易に応じてはいけません。万が一、警察を呼ばずにその場で示談した場合に引き起こされるリスクは以下のようなものが考えられます」
(1)相手の連絡先が分からない
「警察を呼ばずに当事者のみで示談した場合、相手の連絡先を確認せずに別れてしまうケースもあるでしょう。しかし、相手の連絡先が分からないと、その後事態が悪化した場合等に損害賠償請求の手がかりを失い、泣き寝入りを強いられる可能性が高くなってしまいます」
(2)後日、怪我が発覚しても損害賠償請求できない可能性がある
「示談交渉の注意点として、示談成立後に示談金を追加請求することは原則できません。事故直後に自覚症状がなく『どこも痛くないから大丈夫』とその場で示談を済ませてしまうと、その後に病院を利用した際の治療費や慰謝料などを支払ってもらえない恐れがあります」
(3)約束した金額を支払ってくれない可能性がある
「自転車事故の場合、相手が一切保険に入っていないというケースも珍しくありません。自転車事故の相手が無保険の場合、加害者本人に請求するしかありませんが、『あとで必ず〇〇万円払うから警察は呼ばないでほしい』などと示談金の支払いを後回しにされ、結果的に1円も支払われずに逃げられることもあるかもしれません」
自転車事故で警察を呼ばなかった場合は弁護士に相談
また、アシロの社内弁護士は次のように語る。
「自転車事故で警察を呼ばなかった場合でも、交通事故問題に注力する弁護士に相談すれば、今後の対応について、どのように進めればよいかアドバイスがもらえます。
また、事故の相手方との示談交渉は、お互いが条件に納得できるまでかなり時間と手間ががかかります。仕事の合間や休日に時間を割いて何度も交渉をするのは、かなり重い負担となるでしょう。弁護士に依頼することでその手間が一切なくなるというのは大きなメリットといえます。
加えて、相手方の保険会社と交渉する場合、最初に保険会社から提示される金額は、弁護士が介入した場合の金額より低く設定されているケースがあります。弁護士に依頼して、過失割合を争ったり『弁護士基準』に基づいて交渉してもらったりすることで、当初提示された金額から大幅に増額した金額を獲得できる可能性が高まるでしょう」
以上のことから、弁護士に相談することで多くのメリットがあると言える。
出典元:株式会社アシロ
構成/こじへい
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