QOL(Quality of Life、生活の質)を著しく下げる「肩こり」「腰痛」。季節の変わり目は寒暖差が激しく、自律神経の乱れから痛みが悪化したり慢性化したりするリスクも。
そこで第一三共ヘルスケアは、「肩こり」「首こり」「腰痛」「関節痛」のいずれかを1年以内に経験した20~50代男女824名に対して意識調査を実施。
今回の調査結果を踏まえ、寒暖差による体の不調や痛み、その対策について、気象病外来・天気痛外来を日本で初めて開設した医師・佐藤純先生による解説と簡単なセルフチェック項目も合わせて紹介していこう。
その肩や腰の痛み、もしかしたら「寒暖差痛」かも!?
TOPIC 1:女性は「肩こり」、男性は「腰痛」に、季節問わず慢性的に悩んでいる
女性は「肩こり」、男性は「腰痛」、季節問わず慢性的に痛みに悩まされている。直近1年に経験した症状を聞いたところ、女性は「肩こり」79.4%、「首こり」67.7%、「腰痛」64.6%。
男性は「腰痛」68.7%、「肩こり」61.7%、「目の疲れ」58.0%と各症状が挙げられていた。性別による多少の違いは見られるが、男女ともには「肩こり」「腰痛」であることが調査結果から分かる《図1》。
20~30代女性の約4割は、毎日「肩こりによる痛み」がつらいと感じている
症状の頻度について、全体で最も多かった「肩こり」では、3割以上もの人が「毎日」痛みを感じていた《図2》。
また、毎日「肩こりによる痛み」を感じている人について性年代別で見たところ、女性で多く、中でも20~30代の女性が約4割(39.8%)と、最も多いことが浮き彫りに《図3》。
6割以上の人が、季節問わずいつでも痛みに悩まされている
「肩こりによる痛み」「腰痛」の症状がある人に、痛みがつらいと感じる季節について聞くと、両症状ともに「いつでも(季節問わず)」が6割以上と圧倒的に多い結果となった。
次いで「冬・冬から春」が、他の季節と比べるとつらいと感じる人が多くなっている。体の痛みは寒い季節につらくなると思われがちだが、多くの人は季節問わず慢性的に悩んでいるようだ《図4》。
「肩こりによる痛み」「腰痛」の症状がある人に、痛みの原因を聞いたところ、「姿勢の悪さ」、「長時間の同じ姿勢(座りっぱなし・立ちっぱなし)」の割合が多い結果となった。
また、次いで「体の冷え・血流の悪さ」「疲労」などが回答として挙げられ、日々の体の不調が慢性的な痛みにつながっていることがうかがえる《図5,6》。
TOPIC 2:多くの人が季節問わず痛みに悩んでいる一方、冬以外の季節のケアは意識が低下
「肩こりによる痛み」「腰痛」の対策は、1位「体を温める」、2位「ストレッチ・ヨガをする」、3位「外用薬の使用」。
季節ごとに痛みに対して具体的にどのような対策をしているか聞くと、「お風呂などで体を温める」「ストレッチ・ヨガ」「湿布・テープ剤など外用薬を使う」 が上位に入った《図7》。
しかし、季節ごとに対策の割合を見ると、冬以外の季節は痛みに対するケアは低い傾向にあることが判明《図8》。
痛みの対策をしている人の割合は、冬に比べ他の季節は低い
痛みに対して、特に対策している季節を聞くと、各症状とも「いつでも(季節問わず)」と「冬」の割合が多くなった《図8》。
前ページ《図4》において、痛みを季節問わずいつでも感じている人が6割以上いることに対して、対策をいつでもしている人の割合は半数以下と低く、暖かい季節は対策の意識が薄れていることがうかがえる。
外用薬を使用するタイミングにおいて、特に20~30代女性は「痛みを感じたらすぐに使う」割合が少ない
「肩こりによる痛み」「腰痛」の対策として外用薬を使用している人を対象に、使用するタイミングを性年代別で比較したところ、特に20~30代女性は「痛みを感じたらすぐに使用する」割合が少なく、「まずはストレッチなどの対策をして改善がなかった場合に使う」「我慢できないくらいつらくなった場合に使う」割合が多い傾向にあるようだ《図9,10》。
調査概要
実施時期:2022年3月1日(火)~2日(水)
調査方法:インターネット調査
調査対象: 「肩こり」「首こり」「腰痛」「関節痛」のいずれかを1年以内に経験した20~50代男女824名(各年代均等割付)
※調査データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が必ずしも100%にならない場合がある。
暖かくなってきた時期も油断せずに、自分に合ったケアを
愛知医科大学医学部学際的痛みセンター客員教授、中部大学教授 佐藤 純 先生
気温や気圧の変化が激しいこの時期は、自律神経の乱れによる痛みの悪化・慢性化に要注意!正しい姿勢、適度な運動、つらいときは外用薬も併用して痛みの対策を
4月は温暖で過ごしやすい季節です。しかし、日中は汗ばむほどの陽気でも朝晩は冷え込むなど寒暖差が激しいのもこの季節の特徴で、肩こりや腰痛、頭痛、生理痛などさまざまな痛みに悩まされる患者さんがたくさんいらっしゃいます。
最近ではリモートワークなどで首まわりの痛みも増えてきているようです。こういった痛みは冬の寒い時期に多いイメージもありますが、実際には年中痛みを抱えていたり、暖かくなってきたこの季節に痛みが悪化したという人も実は少なくありません。
天候や気温、気圧が変わりやすいこの時期の痛みや不調を「気象病」と呼んでいますが、この時期の痛みの悪化は「寒暖差痛」と言ってもいいでしょう。もともと人間の体は、外部環境のストレスに対して自律神経がバランスをとる働きをしています。
しかし、寒暖差に対応するため自律神経にストレスがかかり続けると、自律神経が乱れ、交感神経が優位になり興奮状態になります。その結果、自身の一番弱いところが影響を受けやすいので、肩こり・腰痛など、もともと持っていた痛みが悪化したり、慢性化したりすることがあるのです。
徐々に暖かくなる季節の変わり目には、防寒対策のストレスから解放されファッションを楽しむ方も多いでしょう。
首まわりは脳の神経にもつながっている大事な部分です。首を冷やすことで血管が収縮して筋肉が硬くなり、首だけでなく、肩こりや腰痛を引き起こすことにもなります。
女性は男性と比べると筋量が少なく首も細いので、そういった症状が出やすく、今回の調査で、特に若い女性に「肩こり」が多かったのは、首まわりが冷えやすいファッションなどが原因の一つとも考えられます。
女性だけでなく男性ももちろん、暖かくなってきたこの時期も油断せずに、きちんと体の痛みと向き合い、自分に合った対策・ケアを行うことが重要です。ケアを怠り、痛みが蓄積されると体を動かさなくなり、痛みの慢性化にもつながります。
姿勢を正すだけでも筋肉はある程度緩むので楽になることがあります。そのほか、お風呂に入って温めたり、適度な運動(ヨガ・ストレッチなど)も効果的です。
しかし、痛みが悪化してしまうと体を動かすこともできなくなるので、我慢せずに、湿布やテープ剤などの外用薬を活用することもいいでしょう。
但し、貼りっぱなしや使いすぎによって皮膚に掻痒が起こることもあるので、医師や薬剤師の指導のもと正しく使用することが重要です。
佐藤 純(さとう じゅん)先生
(プロフィール)
愛知医科大学医学部学際的痛みセンター客員教授。中部大学教授。
1958年、福岡県久留米市生まれ。東海大学医学部卒業後、名古屋大学大学院医学系研究科で疼痛研究と環境医学研究を開始する。同大学教授を経て、現職。2005年より、愛知医科大学病院痛みセンターにて、日本初の気象病外来・天気痛外来を開設。
関連情報:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/
構成/Ara
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