2021年11月、ニューヨークにオープンしたファスト・カジュアル・レストラン「SCEN」。
スウェーデン語で「ステージ」を意味する「SCEN」には、「人間と自然、双方にバランスのとれたグローバルステージを構築したい」というファウンダーの想いが掲げられている。
SCENを立ち上げた、23歳の起業家であるMaximilian Koenigは、次のように語っている。
「利便性のために、地球と私たち自身の健康を危険にさらす生活にうんざりしている。栄養学に基づいた、循環型の食品サプライチェーンを構築することで、地球にも人間にも優しい料理を提供していきたい。」
このレストランの注目ポイントは、世界唯一の「ゼロウェイスト・レストラン」であるということ。
持続可能性や健康の認証機関であるグローバル機関「Green Business Certification Inc.(GBCI)」から世界で唯一「ゼロウェイストレストラン」に認定された。
SCENのどこがゼロウェイストなのか?
1つ目は地球環境に優しい「ヴィーガン料理」を提供していること。
SCENで提供している料理は、植物由来の食材のみで作られた、環境に良い「ヴィーガン料理」である。
日本の「精進料理」と、地元の季節の食材を使用した「新北欧料理」を組み合わせて作られた料理で、23歳の起業家であるMaximilian Koenigは、植物由来の食事を使用するのみならず、資源の保護と持続可能性を重視した日本の仏教に感銘を受け、SCENを立ち上げたという。
精進料理にインスパイヤされた、「モザイクロール(ビーツ、キュウリ、大根、アボカド、にんじん、生姜)」、「マンゴーロール(マンゴー、キュウリ、アボカド、チリ、ウルシ)」など、植物性食材のみで作られた「ヴィーガン巻き寿司」も用意されている。
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地球に優しいヴィーガン食材のみ取り扱うことで、廃棄物の発生や資源の浪費をゼロに近づけている。
2つ目は地元の食材を丸ごと使っていること
SCENのカウンターにズラリと並べられた野菜たち。
これらは全て地元で取れた、非遺伝子組み換えのオーガニック食材で、野菜を丸ごと(ホールフーズ)使っている。
この中から、ベース1種+プロテイン(たんぱく質)1種+トッピング4種を選び、自分好みのボウル「カスタマイズボウル」を作る。
私が作ったボウルはこちら。
茎まで利用したブロッコリー、大きなスクオッシュ(かぼちゃの一種)、枝豆…フレッシュな野菜を丸ごと摂取することができる、身体にも地球にも優しい料理である。
3つ目はサステナブルな容器を使用していること
SCENで使用している容器は、全て植物の廃棄物から作られ、藻類のインクで着色され、風力エネルギーで生産されたもので、完全に堆肥化することができる。
カトラリーやスプーンもプラスチックではなく再生紙で作られている。
ゴミ箱も「compost(堆肥できるもの)」とそうでないものの2種類が用意されている。
料理だけでなく、備品も「ゼロウェイスト」で統一されている。
「地球に優しい」が評価されるニューヨーク
実際にSCENの料理を食べた正直な感想は「極めて普通の味」
新鮮なオーガニック野菜を使っていて野菜の旨味は感じられるものの、単にオリーブオイルでグリルしただけなので、シンプルで決して感動する味ではない。
しかしながらGoogle mapでのこの店の評価は満点の5.0(2022年4月時点)、オシャレでヘルシーでいかにも感度の高い女性しか足を運ばなさそうな店でありながら、私が訪れた時は店内にいたのは全て男性客、という日本ではイメージできない状況であった。
味だけでなく、SCENのコンセプトに魅かれた消費者が、性別に関係なく集まっているのだろうと感じた。
パンデミックをきっかけに、消費者の環境意識が高まったと言われるニューヨークの現在のトレンドは「サステナブル」。
食だけでなく、ファッション、ビューティー…あらゆる市場で注目されているキーワードが「サステナブル」である。
食品ブランドもパッケージを再生紙にしたり、アップサイクルフードを使用した商品を開発したり、「サステナブル」な取組みに注力しているし、消費者もそのようなブランドを選択するようになっている。
レストランを選ぶ際、味だけでなく「地球に優しいか否か」が選択肢になる。
日本でもそのようなトレンドが起こるのか、注目である。
文/小松佐保(Foody Style代表)
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