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2023年卒学生の就活はDX推進企業への志望者が増加、人材囲い込みのためにいま企業がすべきことは?

2022.04.22

コロナ禍で就職活動にも変化が及んだ中、2023年卒の学生らの志向はどう変化したのか。人気が集まった就職ブランドの傾向や学生たちの動向から、企業が有益な人材獲得をするために気にすべきこと、今後の方針などを探った。

2023年入社希望者に人気の企業とは?

文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所が、2023年卒業予定の学生を対象とした「2023年入社希望者対象 就職活動[前半] 」の結果を発表した。

そのうち、就職ブランドランキングの総合順位TOP10は次の結果となった。

1位の伊藤忠商事は、前回の21卒前半調査、前々回の22卒前半調査に続き、3年連続で総合TOPとなった。

●男性は商社・金融、女性はIP・旅行に人気が集まる

男女差を見てみると、男性は主に商社・金融業界が人気となった。金融業界は生損保・証券の大手が上位を占める結果となった。

女性は、IP(知的財産)ビジネス関連の企業のランクインが目立った。またコロナ禍で人気が落ちた旅行系については、かつて女性人気の高かったところに徐々に復活の兆しが見えた。

●withコロナ就職で早期化が加速

2023卒は、withコロナの就活が始まって2年目となる。2021年夏頃から、企業とのオンライン接触を前提とした就活が進んだ結果、早期接触量が志望に大きな影響力を持つようになったと分析されている。

志望企業の絞り込みなどの早期化・厳選化も進んだ。

2022年3月上旬時点の平均エントリー数は14.6社(昨対比-1.6社)となっており、幅広く業界・企業を見るというよりは、早期で接触した業界・企業の選考を進めていくという傾向が強い結果となった。

相対的に、早期露出・接触の多い金融業界や企業は全体的に堅調となり、人気メーカーなどは一部順位を下げる結果となった。

コロナ前と比較して「航空・旅行・鉄道」の人気が大幅ダウン

新型コロナウイルス感染症の感染拡大前と比較して、就職の人気ブランドにはどのような変化が出ているのだろうか。

株式会社文化放送キャリアパートナーズ ブンナビ編集長 間宮康之氏に解説してもらった。

「コロナ前の調査として2020年卒向け調査(19年4月発表)を使用し、今回のコロナ後の2023年卒向け調査(22年4月発表)と比較した結果、航空・旅行・鉄道等が大幅に人気を落としました」

航空:
全日本空輸 1位→122位
日本航空 3位→127位

旅行:
JTBグループ 8位→132位
エイチ・アイ・エス 47位→276位

鉄道:
東日本旅客鉄道 19位→32位
東海旅客鉄道 28位→53位
西日本旅客鉄道 154位→309位

「本来は、東京五輪関連の需要増で、注目・業績共に有利に働くはずでしたが、コロナ禍により一転しました」

●商社・IT系企業は好転

「一方で、徐々に就活生の注目を集めていた商社・IT系については、コロナ禍となり一気に好転しました。商社は、様々な事業領域・収益源を持ち、変化の激しい時代でも強さ・安定感があることが注目されました。あわせて、働き方改革などにも積極的なイメージもあり、ここ数年の人気は堅調です。

IT系はかねてから、IoT・クラウド・AI・5Gといったキーワードとともに注目が集まっていましたが、加速したリモートワークの支援となるITシステムの需要増や、セキュリティ強化の必要性といった観点からも、コロナ禍を追い風として注目が集まったという印象があります」

●航空・旅行・鉄道はいち早く回復傾向

「コロナ前後の変化、という意味でもう一つ面白い傾向があります。女子版ランキングを見ると、下がった航空・旅行・鉄道業界・企業にいち早く回復傾向が見られたことです。withコロナの生活様式定着・経済活動活性化や、一部採用停止企業の復活など、日本国内の変化に伴い、復調の兆しが見えたことで、女子学生の反応が先行したと考えられます」

DX支援・推進企業にも注目が高まる

ここ数年注目が高まっているIT業界だが、就職人気も上がっている。特に「AI・IoT・クラウド・5G」といった関連ワードに加え、2023卒では「DX」についても企業PRの場で触れられることが増えてきたという。DXに取り組む企業とともに、DX支援側としてのIT・コンサルにも注目が集まっているという。

間宮氏は、各企業のDXに関する採用PRの事例を次のように挙げる。

●NTTデータ

「DX関連市場の大きさを採用ホームページなどで訴えながら、自社の成り立ちとともに、その優位性・存在意義をアピールしています。特設ページのWebマガジンでは、2020年頃からDX関連の情報発信を続けています」

●富士フイルムグループ

「DXがバズワード化する前から全社横断的にICT推進に取り組み、新卒採用領域でも20年時点ですでにICT・AI領域の情報系セミナーを開催しています」

●三井物産

「時代に合わせて『DXビジョン』を策定するなど、ITと縁遠い印象のある総合商社、三井物産も、一足早く22年卒の段階からAI関連企業とコラボしてDX関連のインターンシップを新設しました。いわゆるIT系以外でも、業界を問わず企業のDX人材獲得競争が始まっています」

●凸版印刷

「DX人材獲得競争は印刷業界でも進んでいます。凸版印刷では、DXを中期経営計画に盛り込み、『DXデザイン事業部』を新設、社内の推進だけでなく社外へ支援にも力を入れています。採用ホームページ上でも真っ先に『DX』を打ち出し、各担当者の対談などを掲載しています。同社はDX銘柄2021に選出されたこともあり、積極的に採用上でのプロモーションでも取り入れているようです」

●りそなグループ

「銀行業界においてDX分野で先行しているのが、りそなグループ(りそな銀行)です。前述のDX銘柄に銀行で唯一、2年連続で選出されており、店舗業務のDX・バンキングアプリの提供など、業界をけん引しています。新卒採用領域でも、インターンシップ募集段階からDX専門コースを設け、さらに募集職種内にも、『デジタルトランスフォーメーション(DX)コース』があり、学生からの注目度も高まっています」

「学生側の意識調査でも『DX推進企業への志望度が上がる』というものがあり、『企業の成長には、DXが不可欠だと思う』という認識があります。『自らのスキルとして身に着けたい』『これからを生き抜くためには(DXに関係する)ポータブルスキルが重要』という声も挙がっています」

今後、新人材を囲い込むために企業がやるべきことは?

近年の就活生の動向や志向性から、今後、企業が新人材を囲い込んでいくためには、どのような取り組みが必要となるだろうか。

「多様な観点で従業員へと寄り添うこと、そして企業の存在意義の発信が重要になると思われます。

今後、DXのような高度人材の獲得競争や18歳人口の減少だけでなく、介護等による労働力人口の減少も考えられます。単に給与面の待遇だけでなく、副業・兼業の解禁、リモートワーク対応、柔軟な勤務体系、評価、ジョブ型雇用形態など、あらゆる側面で、従業員ファーストの取り組み・施策が重要になると考えられます。

あわせて、既存従業員の体験向上・良化、つまりエンプロイーエクスペリエンスの“プレ版”という概念をもって、新規採用者に対しても“潜在”従業員という意識を持った取り組み・発信が重要になると考えます」

●「正しい期待」をいかに持たせるかが根幹

「このような環境整備は前提の一つであり、その環境でどのような経験ができるのかという期待値こそが、人材獲得と囲い込みの根幹といえると考えます。そのためには、組織の存在意義・パーパスの整理・提示・発信が重要なファクターであると思われます。

あらゆる意味で、企業・組織に対して『(過不足ない)正しい期待』を持つことができるかどうか、そして組織として、その期待値に応えられるかどうかが、人材の獲得と囲い込みに影響するものと思われます」

コロナ禍のマイナス影響からも、そろそろ復活のきざしが見え始めている。DXというキーワードを踏まえながら、今一度、組織の存在意義から魅力を掘り起こし、発信していくことが重要になりそうだ。

【調査出典】
株式会社文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所「2023年入社希望者対象 就職活動[前半] 」

取材・文/石原亜香利

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