■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
日を追うごとに気温が高まり、キャンプ場でずいぶん過ごしやすくなった。とはいえ雨の日は冷える。とくに雨の中、素手で設営・撤収作業をしようものなら指先の感覚が麻痺しそうになる。
そんなときのためにグローブがマストアイテムとなっているのだが、軍手では結局濡れるし、ゴム手袋は蒸れる。かといってウエットスーツと同じ素材のネオプレーン製グローブや透湿防水グローブはあたたかいけれど、指先がもたついて細かな作業をしづらいものが多い。
代々木公園で開催された都市型アウトドアイベント「OUTDOOR DAY JAPAN」(2022年4月2日〜3日)に出展していたショーワグローブに相談したところ、TEMRES「advance」シリーズを紹介してくれた。
TEMRESブランドには3つのシリーズが用意されている。
winter=裏起毛の防寒・防水透湿シェルグローブ、craftsman=強靱な繊維を採用した耐切創グローブ、そしてadvance=防水透湿シェルグローブという位置づけとなっていて、厳冬期以外の雨キャンプで用いるなら「advance」シリーズがベストだという。
「advance」シリーズにはカフありの「03advance」とカフなし「04advance」があり、シンプルなもののほうが着脱しやすいと考え「04advance」を手にキャンプに出かけてみた。
雨の中の設営は写真を撮るどころではなかったので、晴れた日に改めて撮影
防水性と透湿性を併せ持つ特殊ポリウレタンは素手に近い感覚
これまでモトクロスグローブやレザーグローブを使って作業していたが、指先がぶかぶかだったり厚かったりして、まとめていた張り綱をほどくといった細かな作業ではいちいちグローブを外す必要があった。
ところが「04advance」は指にピタッと密着して、指の動きに無理なく追従する。素材も薄く、まずまず素手に近い感覚で細かな作業ができるのだ。
ぱっと見はキッチン用のゴム手袋に似ているが、それよりも断然着用感がいい。
グローブ用防水カバーのようなゴワゴワ感というかシャカシャカという音もなくしなやか。くるっと小さく丸めてポーチやパックのポケットに押し込める。
防水性と透湿性を併せ持つ特殊ポリウレタンを全面コーティングしているそうで、使い捨てゴム手袋だと30分ほど着用するだけで不快に感じるが、30分くらいなら手袋の中はドライなまま。
さすがに2時間ほど着けっぱなしで作業しているとうっすら汗ばんだように感じたが、生地が張り付くことはなく「今すぐはずしたい」と思う嫌な思いはしなかった。
手首より先は滑り止め加工が施されており、雨の中でも金属をしっかりつかめる。テントのフレームやテーブルを組み立てる際に確実にグリップできるので作業がサクサク進むのは感動だ。洗い物でも、ホーローの皿が手から滑り落ちて割ってしまう不安が大幅に減る。
また、表面の滑り止め加工のおかげで力をいれやすく、重いギアボックスを運ぶのにも重宝した。
一双約1400円というコスパの良さ
ただし、「04advance」ではスマホの操作はできない。また、火や熱に弱く焚き火には注意が必要だし、レザーや耐刃グローブほどの強度はない。
決して万能ではないが、手先の濡れによる冷えを防ぐには十分だし、着用しっぱなしでいても苦にならない。何よりも一双1400円ほどというコスパの良さも感激だ。
スキーや冬の登山シーンではTEMRESの「winter」シリーズが浸透しつつあるが、「advance」シリーズも使い勝手のよさでは引けを取らない。目立たないけれど、ポケットに忍ばせておくと非常に頼りになるアイテムだ。
取材・文/大森弘恵