4月から新年度がスタートし、そろそろ初めての給料を手にした人も多いことでしょう。
初めての給料にウキウキする気持ちも分かりますが、社会人たるものお金の管理についてもしっかりした認識を持ちたいものです。
もちろん新入社員でなくても、お金に自信がない人は、まず給与明細の確認から。給与明細のポイントを解説していきます。
額面と手取り額の差を確認
給与明細のうち、まず確認したいのは、手取りの金額です。「額面」の給与から社会保険料や税金などが差し引かれた額が会社から振り込まれます。
とくに新入社員の人は勘違いしやすいのですが、4月の手取り額がそのまま1年間同じとは限りません。残業が多い月は手取り額が増えることもありますし、住民税や社会保険の支払い額が変わると、額面の給与に変更がなくても、手取り額が変わることもあります。
「あれ?給料が変わっていないのに手取り額がいつもと違う」と感じた時は、住民税や社会保険の支払い額や、交通費などの欄を確認しましょう。
少しの差でも敏感に「違う」ということを感じることが、社会人としてのマネーセンスを磨くことにもつながります。
収入を増やせる可能性を確認
給与明細の支給の項目には、基本給だけなく、残業手当、通勤手当などの「手当」欄も並んでいます。
これら手当の欄は、「基本給以外の収入を増やす方法」を知る良い機会です。
もちろん通勤手当などは収入の増加にはつながりませんが、資格手当がつく企業であれば、どのような資格を取得すると手当の対象となるのか確認しておきましょう。
また、家族手当などがある企業であれば、結婚や出産などライフスタイルが変わった時に強い味方になります。
これらの手当は、自分で申告しなければ対象にならない場合も多いため、福利厚生制度などとあわせてよく確認しましょう。
貯蓄に回せる額を確認
あわせて手取り額から、毎月貯蓄に回せる額を確認しましょう。
どれくらいの額を貯蓄に回せばいいか分からない人は、独身またはDINKSなら手取りの30%、子どもがいるなら手取りの10%をひとまずの貯蓄額として始めましょう。
余裕があると感じるなら貯蓄額の割合を増やし、余裕がないなら少し減らすようにして調整すると簡単です。
ただし、10%の貯蓄も難しいと感じるようなら、要注意です。収入に対してすでに支払いが多すぎる状況になりつつあるようです。
一般的には、社会人になりたての頃の支出が一番少なく、年齢を重ねるごとに支出は増えていきます。年齢と同様に収入も順調に上がっていけばよいのですが、なかなかそうは上手くいかないのが現実です。
収入以上の支出にならないような工夫は、新社会人になった時からしておきましょう。
毎月定額を積立貯金にする、財形貯蓄制度があれば利用するなど、強制的に貯蓄ができる仕組みを整えると簡単です。
ただし、いくら強制的に貯蓄ができるからといっても、貯蓄性の保険に加入することは安易に決めないでください。
上述の通り、年齢を重ねるごとに支出は増えていくのが一般的ですから、収入と支出のバランスを見誤ると、せっかくの貯蓄性の保険を途中解約することになりかねません。
資金計画は給与明細から
国税庁の「令和2年分 民間給与実態調査統計」によれば、日本の平均給与は433万円です。
平均給与は、男性532万円、女性293万円となっています。
さらに、新社会人が該当する20歳から24歳の平均給与は、同調査によれば260万円です。
日本の平均年収は、平成22年(2010年)からほとんど変わっていないと指摘されているとおり、インフレで物価は高くなっているのに給料が上がらないことで、生活レベルは上昇どころかむしろ下がっている人も多いのです。最近では、新型コロナウイルスや世界情勢の影響もあり、今後の日本の経済成長に不安を感じている人も多いでしょう。
新社会人の未来が、給与の面では、お世辞にも前途洋々とはいいがたいのが現状です。
だからこそ、最初が肝心ともいえるでしょう。
貯蓄はまさに「習慣」です。若いうちに貯める習慣が身につけば、おのずとその後も習慣を継続することができるはずです。
若いうちから貯蓄の習慣を身につけ、仕事だけでなくお金の面でも自信を持てる社会人を目指すことが、先行き不透明な未来の生活設計の基礎になるはずです。
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文/家計簿・家計管理アドバイザー あき
著書に「1日1行書くだけでお金が貯まる! 「ズボラ家計簿」練習帖(講談社の実用BOOK)」「スマホでできる あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他