光が強ければ強いほど、そのぶん影は濃くなる。
スポットライトを浴びて華やかに活躍していた大女優は、いったいどんな苦しみを抱えていたのか。
2022年2月25日よりNetflixで独占配信中の『フェイム・ゲーム: ある女優の秘密』は、インドで製作されたミステリー・ドラマ。
監督・脚本・製作総指揮はスリ・ラオ。
あらすじ
周りからは「完璧な人生を歩んでいる」と羨望の的だった、インドの国民的女優アナミカ(マードゥリー・ディークシト)。
仕事で大成功しながら、結婚して温かい家庭にも恵まれていたアナミカだったが、ある日スマートフォンも財布も自宅に置いたまま失踪してしまう。
警察が捜索する過程で、次第にアナミカの苦悩に満ちた私生活が明らかになる。
見どころ
厳しい芸能の世界に身を置きながらも、素朴で家庭的な優しさや母性的な愛情も失わず、誰に対しても分け隔てなく優しいアナミカは、まさに非の打ち所がない女性。
失踪する半年前からの回想シーンでは、アナミカが仕事や私生活でたくさんのトラブルを抱えながらも懸命に対処しようとしていたことが伺える。
大女優としての名声をほしいままにしていたアナミカだったが、かといって多忙を理由に家庭を後回しにするということもなく、繊細な性格の子どもたちの悩みにも真摯に向き合っていたのだ。
ちなみにアナミカは実質的に一家の大黒柱であり、夫は彼女に収入を依存しているにもかかわらず高圧的で支配的な態度を取っていた。
そんな夫との関係には不穏な兆候があるにしても、子どもたちへの愛情ある接し方を見るかぎり、突然失踪するのは不自然だと思わざるを得ない箇所も多い。
ストーカー化した熱狂的なファンの存在も描かれており、誘拐も示唆される。
さまざまな可能性が考えられる中、エピソードを観進めるごとに少しずつ真実が明らかになっていくのだが、ストーリーがよく練られているので簡単には展開を予想できず、見応えがあった。
きらびやかな伝統衣装を着て集団で歌って踊る、お馴染みのボリウッド・ダンスも見どころ。
Netflixシリーズ『フェイム・ゲーム: ある女優の秘密』
独占配信中
文/吉野潤子