
ブリヒラ
この冬、あるネタが寿司職人たちをザワつかせている。それはブリとヒラマサの交雑種「ブリヒラ」だ。開発したのはクロマグロの完全養殖でも知られる近畿大学。有路昌彦教授に話を聞いた。
「ブリは脂が豊富で味もいいが、身が柔らかく、時間がたつと変色する。コラーゲンの多いヒラマサは、肉質はいいが脂があまりのらない。ブリの脂とヒラマサの肉質、両方のいいとこ取りをしたのがブリヒラなんです」
宅配寿司など多少時間がたった状態でも身はピンク色でプリプリ、しかも脂がしっかりのって旨い!
「実は20年くらい前にデビューしたのですが、遺伝子組み換え食品と勘違いされて広まらなかった。交雑は自然界でも起こる安全なもの、その説明が足りなくて……」
18年度に大手スーパーの「ベイシア」が取り扱いを始めて3年、旬の時期には「ブリヒラはまだか」と心待ちにする人もいるほど人気食材に成長。スタッフが消費者に丁寧に説明することで、魅力ある寿司ネタとして受け入れられたのだ。ベイシアの成功を機に生産体制を拡大した21年度、全国展開の寿司チェーンなどが注目の旬ネタとして続々とメニュー入り。見かけたらぜひ試したい話題の味だ。
長く鮮度をキープできるから寿司関係者の評価がとにかく高い。銘柄豚や鶏など畜産ではメジャーな交雑が魚類でも盛んになれば廃棄率の低減や海の資源の確保につながりそう。
自然界でも起こる交雑だが非常に数は少ない。近畿大学では50年前から開発を始め、ブリ族の中でも一番いい交雑にたどり着いた。
外食、流通業界でブーム到来
和食さと
『ぶりひら二色丼御膳』など、ブリヒラを使った季節限定メニューが新登場(~3月上旬)。
チムニー
「はなの舞」「さかなや道場」が、居酒屋チェーンとして初提供。写真は『胡麻ぶりひら丼』。
ベイシア
18年度に1000尾から取り扱いを開始、21年度は5万5000尾に拡大。寿司の人気ネタに昇格。
取材・文/嶺月香里
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