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衣食住のサステナビリティ・トランスフォーメーションを目指すアパレル企業クレサヴァの取り組み

2022.04.22

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

大手ファッション企業で経験した課題解決のため、新会社を設立

国連貿易開発会議(UNCTAD)によるレポートで「世界2位の環境汚染産業」とされ、環境問題や人権問題がクローズアップされているアパレル業界。こうした現状を打破しようと業界では様々な取り組みが行われている。

昨年11月に初の実店舗がオープンした「aloof home」は、アパレル業界では初となる「循環型の衣食住モデル」を展開しているブランド。和紙などの天然素材から作られた衣服を販売し、不要となった服を回収、自社で運営する農園にて土の中で生分解(微生物による分解)させ、その栄養豊かな土壌で生産した野菜や果物を消費者に還元する、廃棄物を出さずに衣・食・住をつなぐ循環型モデルを提案している。

ブランドを運営している「クレサヴァ」の代表・園部皓志氏は、LONDON COLLEGE OF FASHION大学でデザインを学び、2013年 E.V.I inc入社、アメリカのワークウェアブランドDickiesの企画を担当。

2015年にユニクロを展開するファーストリテイリングに入社し、商品本部R&D TOKYO メンズチームのグローバルファッションデザイナーを経験。デザインのほか、生地開発、マーチャンダイズ、コラボレーション企画等に携わる。製品開発を担当したスーパーノンアイロンシャツはヒット商品に。ユニクロで得た経験、知識が下地を作った一方で、大量生産、環境問題といったファッション業界の課題にも直面したことから、環境を意識したビジネスモデルを作りたいと2018年にクレサヴァを創業。ファッション、インテリア、デジタル事業、コンサルティングと幅広く事業活動を展開する園部氏に話を聞いた。

――クレサヴァを起業した経緯について

「マス向け大手ファッション企業出身の私は、ファッション業界の表と裏を自らの目で見てきました。服は作る段階から一つの服で300以上のサンプルが必要になるなど、服を作る想いとは裏腹に、サンプルや在庫の廃棄、化学製品を多用した製造など、ファッション業界が環境に与える負荷が大きいという現実がありました。大量生産するメーカーと大量消費をし続ける消費者。作る側だけではなく、全てにおいて変革が必要であると考え、ファッション業界に革新を起こすため、創業しました。

衣食住すべてでサステナブル・イノベーションを起こすためには、多様なカテゴリーで見なくてはいけないと感じました。服に限らないあらゆる角度でアプローチ、開発をしていくことが必要であると考え、さまざまな分野の出身者のクリエイティブチームを結成しました。現在では、服以外にも、インテリア、設計、映像制作、ブランディング、デジタル開発のプロフェッショナルが集い、ファッションを軸に、日々開発に取り組んでいます」

――和紙を使った繊維に着目した理由は

「サステナビリティの観点で服を作る際に、捨てる行動をなくすことが一番大切なモデルだと考えていました。リサイクルではなくゼロベースからどうやってごみが出ないものを作るかを模索していたときに、注目したのが土の中にいる微生物が分解する生分解性のある繊維です。

さまざまな効能を持つ天然素材のなかでも、和紙が最も生分解性があり、天然の効能がある素材でした。着心地やライフスタイルに馴染む生地開発を行い、特殊製法で開発された糸や生地は生分解性が高く、独特な肌触りや風合いがあります。和紙には調温や抗菌、消臭、軽量、紫外線カットといった効果があり、機能面でも非常に優れている素材といえます」

――自社農園に京都の美山を選んだ理由は

「京都の美山は肥沃な土地ですが過疎化が進んでいて、畑を守る人が減少している状況です。衣食住の循環モデルを目指している我々としては、最終的に人を迎え入れる場所を作らないと“住”を事業としているとは言えません。美山のある南丹市と協力して、若い世代との連携を強め、提携農家を増やしています。

古くなったり、着なくなったりして回収した服は美山の農園で肥料として使います。回収した服はシート状にして土に戻していますが、完全に土に還るには3か月ほどかかるため、今後はさらに早く土に還すことが可能になるペレットに転換していく予定です。

クレサヴァが管理している『京都美山ファーム』は、五反の農園の周りに、6棟の茅葺きの家が完成しています。今後は、弊社のプロジェクトとして『美山リゾート&ファーム』を展開し、茅葺きの家、農園、グランピング施設、サウナなどを設備した施設の開発を計画中です。循環型モデルが五感で感じられる場所として、サステナブルビレッジを創造していきたいと考えています」

クレサヴァの取り組みを体感できる店舗「aloof home」

自社ブランド「aloof home」は和紙からできたワンマイルウエアを開発しており、ウィメンズ、メンズで展開している。下記画像はいずれもメンズの「和紙デニム ジャケット&パンツ」、「和紙モスリン テーラードジャケット&パンツ」。

園部代表がイギリスでデザインを学んでいた当時から、欧州ではサステナブルは当たり前という感覚だったが、日本ではサステナブルという言葉さえ一般的ではなかった。現在は日本でもサステナブルの意識が高まっているが、コストの問題もあり、サステナブルな商品は価格が高くなってしまう傾向にある。

そこでaloof homeが導入したのが「期間型購入」。定価でも販売しているが、期間限定の購入も選ぶことができ、180日の期間限定だと定価の50%オフで購入できる。長く着たいと思ったら更新も可能で、サブスクとレンタルのいいところ取りといった感覚だ。

購入と更新ごとにポイントバックもあり、ポイントは店舗内カフェ、オンラインストアで利用できる。

回収された服を肥料として育った、美山の農園で収穫した野菜はaloof homeで「京野菜マルシェ」(不定期開催)として販売したり、店舗内のカフェでは美山産野菜を使ったメニューを提供している。

カフェメニューでは美山で収穫された黒豆豆乳や九条ねぎを使ったスムージーも。取材の際に、黒豆豆乳を試飲させていただいたが、香りと甘みが楽しめる濃厚な味わい。店舗に立ち寄った際はスムージーをぜひお試しあれ。

【AJの読み】SXを体現するクレサヴァの取り組み

クレサヴァの衣食住の循環型モデルはSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を体現した取り組みといえる。同社が推進する循環型モデルは、社会情勢に対応したビジネスモデルを持続的に推進することで環境負荷削減に貢献し、企業価値を高める。

aloof homeで現在開発を進めているのが和紙のダウンジャケット。ダウンは1着作るのに水鳥の胸毛を約30羽必要とするため、動物愛護の観点からも、中綿は東南アジアで収穫される「カポック」と呼ばれる木の実から取れるコットンを採用した。

ファスナーは強度が必要なため多くはアルミなど金属素材が使われているが、生分解性のあるファスナーを同社で開発中とのこと。外布の部分は和紙の繊維、中綿、ファスナーもすべて生分解性のある素材を使ったダウンジャケットは今冬の発売を目指す。

ホテル業界で廃棄が多いタオル・シーツ類についてもクレサヴァでは廃棄を無くす取り組みを進めている。ホテルのタオルは十分使える状態でも肌触りが悪くなると使用できなくなるため、洗濯の回数で廃棄を決めているという。クレサヴァでは、和紙で作ったタオルやシーツなどリネン類、従業員のユニフォームを納入し、廃棄の際はファームに戻して肥料とする循環システムを提案している。

文/阿部純子

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