「ふるさと納税をすると、住民税の控除が受けられる」という情報を耳にしたものの、どのような仕組みになっているのか分からない人もいるのではないでしょうか?ふるさと納税の仕組みと控除を受ける方法、利用する際の注意点を詳しく解説します。
ふるさと納税の仕組み
なぜ、ふるさと納税をすると税金から控除されるのでしょうか?まずは、ふるさと納税の内容と仕組みを確認していきましょう。
好きな自治体へ寄付をして返礼品がもらえる
『ふるさと納税』は、自分の好きな自治体へ寄付をして地方創生に貢献する制度です。地方創生は、少子高齢化と人口の減少をくいとめるために考えられた対策です。
地方の自治体が行う医療や教育などのサービスを受けて育った人の多くは、進学や就職をきっかけに都会での生活をスタートさせます。その結果、東京や大阪などの都会に人が集まり、地方では人口が減少していきます。
当然、人口が多い都会の自治体には税収が入りますが、ふるさとである地方には税収が入りません。
そのような背景から、都会に住んでいたとしても、自分を育ててくれた『ふるさと』や応援したい自治体に寄付ができる制度として、ふるさと納税が誕生したのです。
参考:総務省|ふるさと納税ポータルサイト|よくわかる!ふるさと納税
寄付した金額から2000円を引いた額を控除
ふるさと納税で好きな自治体に寄付をして手続きを行うと、寄付金額から2000円を引いた額が所得税と住民税から控除されます。
ふるさと納税の利用には自己負担金の2000円は必須ですが、控除上限内であれば2000円を超える寄付金額が全額控除されるのがメリットです。
所得税の控除額は、寄付した金額の合計から2000円を引いたものに、所得額に応じた所得税率と復興特別所得税率2.1%をかけた金額です。
一方、住民税の控除額には『基本分』と『特例分』の二つがあります。基本分は寄付した金額の合計から2000円を引いた額に10%をかけた金額です。基本分に特例分を合わせた金額が、翌年の住民税から控除されます。
参考:総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
住民税から控除を受ける方法は二つ

(出典) photo-ac.com
ふるさと納税をして、住民税から控除を受ける方法には二つあります。それぞれの特徴をチェックしましょう。
ワンストップ特例制度
ふるさと納税には、確定申告が不要で、簡単な申請のみで控除を受けられる『ワンストップ特例制度』があります。
1年間に寄付した自治体が五つまでであれば、ワンストップ特例制度の利用が可能です。寄付の回数ではなく自治体の数でカウントされるため、例えば7回寄付を行ったとしても、自治体が五つを超えていなければワンストップ特例制度が利用できます。
ワンストップ特例制度を利用する場合は『控除額の全額が翌年の住民税に適用』されます。
所得税控除の上限に達していなければ、基本的にワンストップ特例制度と確定申告で控除額の合計に差はありません。なお、ワンストップ特例制度の申込期限を過ぎた場合には、確定申告が必要です。
確定申告なら所得税の控除も受けられる
ふるさと納税で自治体に寄付をした翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をすると、所得税と住民税の控除額が決められます。
住民税は翌年度の住民税から減額されますが、所得税分はその年の所得税から控除されます。そのため、還付金が戻ってくる場合があるのです。
個人事業主や住民税が給与から天引きされていない人は、基本的に確定申告が必要なので、ふるさと納税の控除申請も一緒にできるでしょう。会社から給与をもらっている人は、確定申告ではなくワンストップ特例制度を使うのも一つの方法です。
ふるさと納税を利用する際の注意点

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メリットばかりのように感じるふるさと納税にも、注意点があります。利用する前に押さえておきたい注意点を二つ紹介します。
控除額の上限は年収や家族構成で異なる
ふるさと納税をすることで控除される金額には上限があり、年収や家族構成によって違います。寄付金の全額が控除されるように利用しないと、思った以上に出費がかさむ場合もあるため注意が必要です。
ほとんどのふるさと納税サイトでは、年収や家族構成を当てはめるだけで自動的に控除額の上限を計算してくれるシミュレーターが用意されています。
控除額の上限を知りたいときには、便利なシミュレーションを使うとよいでしょう。
住宅ローン控除を利用している場合
『住宅ローン控除』と『ふるさと納税』は併用できますが、確定申告をする場合、所得額や条件によっては控除上限額いっぱいの控除が受けられなくなるケースもあります。
ふるさと納税の控除を確定申告で行った場合、所得税も控除されるため、本来住宅ローン控除で引けるはずだった所得税が控除しきれないことがあるのです。
そのため、住宅ローン控除を利用している場合には、ワンストップ特例制度を使うようにしましょう。ワンストップ特例制度を使うと、ふるさと納税分はすべて住民税のみから控除されるため、住宅ローン控除への影響は少なく済みます。
ただし、住宅ローン控除の初年度は確定申告をする必要があり、ワンストップ特例制度との併用ができません。2年目からは年末調整で適用されます。
住民税の控除はいつから適用される?確認方法も

(出典) photo-ac.com
ふるさと納税で受けられる住民税の控除は、いつから適用されるのでしょうか?住民税の控除が適用されているかを確認する方法についても解説します。
寄付をした翌年の住民税から控除
ふるさと納税は1~12月の期間であれば、いつでも好きなタイミングで寄付ができます。
ただし、住民税の控除が適用されるのは翌年6月から1年間なので、自己負担金を増やさないためには、ある程度の年収が分かる12月に寄付をするのがベターです。
しかし、12月には人気の返礼品が品切れになっている可能性もあります。年収の目安が分かっている場合には、早い時期に寄付をするとよいでしょう。
住民税決定通知書の税額控除額をチェック
ふるさと納税の控除が適用されているかは、5~6月に職場や自宅に届く『住民税決定通知書』で確認することができます。
ワンストップ特例制度の場合は住民税からの控除のみなので、住民税決定通知書の『税額控除額』の欄を確認しましょう。『市町村』『道府県』のそれぞれに記載があるはずです。
一方、確定申告の場合には、住民税と所得税の両方から控除されます。住民税の控除は『住民税決定通知書』で、所得税の控除は『確定申告書の控え』の課税所得金額をもとに、以下の計算式で控除額を求めましょう。
- (寄付金額―2000円)×課税所得金額に応じた所得税率×1.021(復興特別所得税率)
構成/編集部
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