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災害に強い山づくりに参加できる!観葉植物の新しい育て方「戻り苗」のすすめ

2022.04.23

連載/利他ビジネスの深層

環境や社会に貢献する体験そのものを価値として提供する「利他ビジネス」。今回は、2020年3月にビジネスコンテストで受賞(WOOD CHANGE AWARD)、2021年にクラウドファンディングを達成するなど、注目を集めるソマノベースの「戻り苗」を紹介する。観葉植物を通して木材の循環を活発にするユニークなビジネスモデルの考え方を、デザイナーで企画担当者の西来路亮太氏に聞いた。

2年で山に返す観葉植物! 「戻り苗」の利他ビジネスとは?

ソマノベースは2019年にプロジェクトを開始し、2021年に和歌山県で創業したベンチャー企業。「山づくりで土砂災害の人的被害をゼロにする」をビジョンに掲げ、山林活用を通じた持続的な山づくりの支援に取り組む。

「戻り苗」は、2021年5月にリリースされた新しいスタイルの観葉植物だ。購入者に届くのはドングリと土、ヒノキの鉢など樹木の育苗キット。苗を育てて、2年後に同社に送り返す。苗は和歌山の山に戻され、植林の一部となっていく。購入者限定で、同じ地域で採れた木材製品を購入することもできる。

観葉植物を楽しみながら、「山づくりに参加できる」のがサービスの価値。問題は、2年で返さなければならないというデメリットとのトレードオフだ。今後の拡大は未知数だが、2021年度は約300個が売り切れ、後述のとおり企業からの引き合いもある。「自分の育てた苗が、未来の山づくりする」という利他の体験が、少なくとも一部では価値として認められている。

健全な山づくりができる環境を整え、防災に貢献

日本の森林面積のうち4割は人工林。定期的な下刈りや間伐などで、よく管理された森は、土砂災害のリスクを下げる。根は山の表面の土をつかんで土砂の流出を防ぎ、幹は水分を溜め込んで、川に大量の水が流れ込むことを防ぐのだ。

しかし、人員不足などの様々な要因から放置される山が増えることで、土砂災害のリスクは高まっている。いちど人の手が入った森は、管理をやめてしまうとバランスを崩してしまう。

健全な山が、災害の少ない地域をつくるため、林業は重要な役割を果たしてきた。しかし、安い輸入木材などの影響で、国産の木材が売れない、値下がりするなど、林業界の厳しい状況は続いている。「山づくりにお金や人手を回す余裕がなくなると、伐採した後に植林されず放置される山が増えてしまう(西来路さん)」。

林業家とともに災害リスクの低い山づくりができる環境を整えるため、同社は林業事業体や山主、研究者へのヒアリングと試行錯誤を続けている。

着目した課題のひとつが、植林するための苗木不足だ。現在、苗木は業者が生産しているが、需要に追いついていない。「戻り苗」ならば、どこにいても、誰でも、楽しみながら苗木の生産者となり、林業の課題解決を手助けできる。

ただし、規模の拡大はまだまだ未知数。現在、同社ではBtoBの取り組みを進めている。きっかけは、個人向けに販売した今回のリリースで、百個単位で購入したいという引き合いが、複数の企業からあったことだ。

CSRやESG経営の一環として森林保全に取り組むなら、植林活動を支援するなど、もっと効率のよい方法がありそうだ。しかし、「社会、環境に対する経営者の意識は高まっているが、現場にまで浸透していない。従業員に自分ゴトとして森林保全をとらえさせたい、との企業の課題がある」と西来路さんは言う。こうしたニーズに応えるため、同社は現在、1台で24本を育てられる企業版の「戻り苗」の制作を考えている。

利他は利己につながる

現在のところ、購入者は「未来に健全な山を残していこう」「国産木材を消費しよう」という2点に共感していると西来路さん。同社と購入者は限定LINEでつながり、継続的にコミュニケーションをとっていく。購入者は育苗の困りごとなどを相談できるし、同社はメッセージをより深く、継続的に伝える接点を持つことができる。

日本の林業と一般社会をつなげるのが同社のミッションだ。一人ひとりの理解があれば林業の持続性が高まり、健全な山が増えるメリットは一人ひとりに返ってくる。身近に植物がある生活を提供するとともに、他者への貢献が結局は「利己」につながるという気づきをどれだけ与えられるか、が「戻り苗」の成否を分ける。利他ビジネスによって、ひとつの社会課題が好循環に向かうことを期待したい。

取材・文/ソルバ!

人や企業の課題解決ストーリーを図解、インフォグラフィックで、わかりやすく伝えるプロジェクト。ビジネスの大小に関わらず、仕事脳を刺激するビジネスアイデアをお届けします。
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