自撮り写真は顔貌にゆがみを生じさせる
スマホの登場により、今や何百万人もの人々が日々、自撮り写真をソーシャルメディアに投稿して「いいね」を求めている。
そんな中、自撮り写真は顔の特徴をゆがめ、見栄えを悪くしていることが、「Plastic and Reconstructive Surgery」2022年4月号に掲載の研究で明らかにされた。
本研究を実施した米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのBardia Amirlak氏らは、そのような正確さに欠ける自撮り写真が、人々の美容外科に対する要求を高めている可能性があると示唆している。
Amirlak氏らは本研究で、30人のボランティア(24〜62歳、女性23人、男性7人)を対象に、自撮り写真で見た顔のパーツのサイズや感じ方が標準的な臨床写真に比べてどう変わるのかを定量化することを試みた。
臨床写真とは、医療従事者により撮影された、患者の身体所見をはじめとする各種画像のこと。
写真は、スマホのフロントカメラを用いて12インチ(約30cm)、および18インチ(約46cm)の距離で撮影した自撮り写真と、5フィート(約1.5m)離れた場所から一眼レフカメラで撮影した臨床写真の3種類を用いた。サイズを測定する顔のパーツは、鼻、唇、顎、顔の幅とした。
その結果、臨床写真の鼻の長さは、12インチの自撮り写真に比べると平均6.4%、18インチの自撮り写真に比べると平均4.3%、それぞれ短くなることが明らかになった。
また、臨床写真での顎の長さは、12インチの自撮り写真に比べると12%長くなり、これにより臨床写真での鼻と顎の長さの比率は12インチの自撮り写真の17%分減少した。
小鼻の付け根部分(鼻翼基部)の幅は自撮り写真と臨床写真の間に有意差は認められなかったが、臨床写真における顔に対する鼻の大きさの比率(顔幅に対する鼻翼基部の大きさ)は、12インチの自撮り写真での長さの10.8%分、18インチ自撮り写真での長さの7.8%分、それぞれ小さくなっていた。
試験参加者に撮影後の写真を見せて評価してもらったところ、12インチの自撮り写真と比べて臨床写真での評価スコアは、鼻については9.1%、全体的な顔の印象についても5.7%上昇していた。
ただし、後者については統計的に有意ではなかった。
Amirlak氏は、「この結果は、顔の美容外科手術を求める人々の自分の顔に対する自信が、スマホによりどれほど損なわれているかを浮き彫りにするものだ」と話す。
同氏によると、自撮り写真に生じる顔のゆがみは、個人の自尊心に悪影響を与えることが示されているという。
また、「男女を問わず、特に若い患者の間では、自撮り写真の増加と鼻の美容外科手術に対する要求の増加は明らかに相関している」との見方も示している。
その上でAmirlak氏は、スマホユーザーは、自撮り写真では顔にゆがみが生じるものだと認識する必要があると主張。
一方、美容外科医に対しては、患者は主に自撮り写真を使って美容外科の検討や施術後の評価を行うため、そうした写真にはゆがみが生じていることを説明すべきだと助言する。
Amirlak氏らは、「今回の結果を用いれば、美容外科医と患者の間でより正確な会話が可能になる。さらに研究を重ねることで、写真撮影の状況による違いが、美容外科でのゆがみや感じ方にどのように影響するのかを明らかにできるだろう」と述べている。
今回の研究では、1種類のブランドのスマホで撮影した自撮り写真を使ったため、同氏らは、「今後は、別のブランドのスマホでも同じようなゆがみが認められるのかを比較検討したい」としている。(HealthDay News 2022年4月8日)
Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock
(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.lww.com/plasreconsurg/Fulltext/2022/04000/Size_and_Perception_of_Facial_Features_with_Selfie.15.aspx?utm_source=press&utm_medium=press&utm_campaign=prs_selfie_pr_033022
Press Release
https://www.utsouthwestern.edu/newsroom/articles/year-2022/selfies-may-drive-plastic-surgery.html
構成/DIME編集部