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鹿島アントラーズで10冠を経験した元Jリーガー・青木剛さんが歩む第2の人生

2022.04.21

出店3年を迎える「アシスタート」の前で笑顔を見せる青木(筆者撮影)

常勝軍団在籍15年半。2007~2009年のJ3連覇の原動力に

レネ・ヴァイラー監督率いる新体制で、2022年Jリーグ開幕から好調をキープするのが鹿島アントラーズだ。2018年アジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇以降、タイトルから遠ざかっているものの、今季は常勝軍団復活の予感が色濃く感じられる。

そんな鹿島の本拠地・茨城県鹿嶋市でインソールショップ「アシスタート」を経営するのが、2001~2016年夏まで15年半、同クラブでプレーした大型ボランチ・青木剛だ。

群馬県高崎市生まれの彼は高校サッカーの名門・前橋育英高校出身。2000年正月の選手権でベスト4を経験し、2001年に鹿島入りした頃は「日本代表として活躍していた稲本潤一(南葛SC)を超える逸材」との呼び声も高かった。98年フランスワールドカップ(W杯)で日本代表コーチを務めた小野剛・日本サッカー協会技術委員会副委員長も「ポテンシャルは計り知れない」と絶賛していたほどだ。

「入団当初の鹿島には小笠原満男さん(アカデミー・テクニカルアドバイザー)や中田浩二さん(鹿島CRO)といった偉大な先輩がいて、最初は思うように試合に出られませんでした。若い頃の自分は物凄い人見知りで、社交性も足りなかった。それも災いし、2004年アテネ五輪も行けなかったし、24~25歳くらいまでは周りの期待にも応えきれなかった。タイトルにも貢献できず、歯がゆい思いをしましたね」と本人も複雑な表情を浮かべた。

若かりし日の苦しみはあったが、2007~2009年のJリーグ3連覇時は主力として活躍。ようやくプロ選手としての確固たる自信と手ごたえを得ることができた。その後、2011年からはセンターバックにシフト。最終ラインで読みや戦術眼に磨きをかけるなど、新境地を開拓した。

鹿島時代の青木(本人提供)

鳥栖移籍で選手として人として新境地を開拓

こうして長年、コンスタントに試合に出ていたが、30代半ばに差し掛かった2014年以降は徐々に出番が減っていく。2016年前半戦はわずか1試合しかピッチに立てず、引退するか否かを真剣に悩んだという。

「鹿島で選手をやめるかどうかを真剣に考えました。そんな時、有難いことにサガン鳥栖からオファーをいただいた。ずっと鹿島にいた自分にとっては海外に行くくらいの思い切った決断でしたが、チャレンジしようと決意。単身で赴きました。

そこで同じ30代の豊田陽平(金沢)、谷口博之(現鳥栖スカウト)らとも意気投合し、新たな人間関係を築けた。選手寿命も延びたし、人としても大きくなれたかなと思います。

もともと人と接するのが苦手だったんですけど、鳥栖で初めて話をすることが楽しいと思えた。自らアクションを起こす大切さも学びました。あの移籍が人生の転機になったのはなったのは間違いないです」と青木は笑顔を見せる。

この経験が2018年のロアッソ熊本、2019年の南葛SC移籍につながる。とりわけ南葛は東京都1部という過去に経験のない下部リーグだったが、鹿島の先輩・岩政大樹(現ヘッドコーチ)から「現役を退いてセカンドキャリアへ移行するまでの『のりしろ期間』が選手には必要だ」という言葉が琴線に触れ、南葛で次の人生に備えようと思い立ったのだ。

「そこで考えたのが、インソールの専門店の出店でした。僕は若い頃から負傷が多く、ずいぶん悩んだんですが、地元・群馬のみなかみ町に本社のあるBMZという会社の製品を使い始めてから、ケガがパッタリとなくなりました。『これは本当にいい製品だ』と痛感し、ぜひ自分が売りたいと本気で思いました。

店内にはインソールのほか、洋服や地元色のある商品も並ぶ(筆者撮影)

2019年には選手との二足の草鞋を履きながら、鹿嶋市に出店

自分から会社にコンタクトを取って意思を伝え、了承を得ることができました。月に数回の研修に通って調整方法を学び、展示会などにも足を運びました。同時に鹿島市内に店舗を確保。会社はすでに持っていたため、そこにインソール事業を追加。200~300万円程度を投資して内装や看板、HP制作などの準備を進め、2019年5月に開店にこぎつけました」

彼がつけた屋号は「アシスタート」。「足のスタート+足のアシスト+足に困っている人を助ける」といった複数の意味を込めて命名したものだった。

「当初の営業は平日の11~16時頃までが基本。店を閉めた後、南葛の練習のために東京都葛飾区まで車で通っていました。当時は東京都1部だったので練習回数も少なく、何とか行き来できました。2021年に関東2部に上がってからは活動回数が増えたので大変でしたが、3年間は二足の草鞋を履かせてもらえました。

幸いにして固定客もつき、鹿島の選手数人も来てくれるようになりました。僕は全て自分で接客し、足の状態を確認して、最良のインソールを使ってもらいたいという信念を持っているので、顧客増よりも懇切丁寧な対応が最優先。鹿嶋という土地柄もあって、店舗賃料などコストが安く、経営も何とか成り立っています。これからも自分の思いを多くの人に伝えられるように頑張っていきたいと思っています」

さまざまなインソールを揃える。オーダーメードも可能(筆者撮影)

昨年限りでプロサッカー選手に終止符。今年からはフットゴルフに転身

こうしてインソール専門店は間もなく丸3年を迎える。青木は昨年末にサッカー選手を引退し、本格的なセカンドキャリアに向かっているが、その中で新たな目標も生まれた。それはフットゴルフで日本代表になり、ワールドカップに出場すること。鹿島時代には2008年と2009年に2度、日本代表選手出場したことがあるが、人見知りで遠慮がちな性格もあって、代表定着もワールドカップ出場も叶わなかったが、第2の人生では高い領域に到達したいと意欲満々だ。

「フットゴルフと出会ったのは今年1月。ゴルフコースをボールを蹴りながら回るスポーツで、月1回ペースでジャパンツアーがあるのですが、そこに参戦し始めました。各大会の上位者が日本代表入りし、日米対抗戦やワールドカップに参戦できる。それを本気で目指したいと考え、昨年までサッカー選手として契約してもらっていた南葛に相談したところ、プロフットゴルフ選手として新たな契約を結んでいただけました。

それもあって、アシスタートの方は変則的な営業になり、今は完全予約制にしていますが、どちらもできる限りの力を注いで取り組みたいというのが今の気持ちです」

新たな世界で日本代表、ワールドカップ出場を目指す青木(本人提供)

農業にも興味。近い将来には自給自足も!

それ以外にも、同じアテネ五輪世代の石川直宏(FC東京クラブコミュニケーター)らが取り組んでいる農業にも興味を持っており、自然豊かな鹿嶋市で着手したいという意向を持っている。食べ物というのはアスリートのみならず、人間の基本。それを自給自足できれば、より健康的で豊かな生活を送れる。長年、プロサッカー選手として食事にこだわってきた青木はそれを実践したいと考えているのだ。

「そうやってサッカーやスポーツに携わる人たちの役に立てれば本当に嬉しいですし、僕ができる恩返しになると考えています。若い頃の自分は何事にも消極的で受け身でしたけど、40歳を目前にして人間的に変われたかなと感じます。昔の知り合いからも『別人みたいに喋るようになったね』とよく言われます(苦笑)。気づくのが遅かったかもしれないけど、ここからが新たなスタート。いろんな角度からチャレンジしていきたいと思っています」

こう語り、爽やかな笑顔をのぞかせた青木。アグレッシブな人間に変貌を遂げた男がインソール専門店経営・フットゴルフ・農業という異なるジャンルでどのような足跡を残していくのか。期待しながら見守りたい。(本文中敬称略)

取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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