最初の緊急事態宣言の発令から2年あまりが経過した。この期間に私たちのワークスタイルは大きく変わり、最初は違和感と戸惑いの中で普及が始まった在宅勤務・テレワークも、今やすっかり日常の一部と化している。
そんな中、花王は、在宅勤務を行っている首都圏在住25~64歳の既婚男女を対象にした「在宅勤務者の暮らしに関する調査」の結果を発表した。
約6割がテレワークに満足、若者ほど高い満足度に
2021年7月時点で、男女ともに約6割がテレワークに「かなり満足」「やや満足」と回答している。年代別でみると20代が最も高く、男性67%、女性71%、ついで30代の男性62%、女性68%と、若い人ほど満足度が高い結果に。男女で比較すると、60~64歳以外の全ての年代で女性の満足度の方が高いことがわかる。
時間の使い方の変化がメリットにもデメリットにも
テレワークの最大のメリットは、男女ともに通勤時間の削減(男性73%、女性79%)だった。通勤に使っていた時間を自分のペースで家事や仕事に使ったり、家族との時間を増やしたり、自由に有効活用しているようだ。特に女性は、身だしなみにかける時間やコスト、人間関係のわずらわしさが減ることをメリットと受け止めるところもあるようだ。
一方で、デメリットはその裏返しとなる内容で、最も回答の多かったデメリットは、家の中に仕事を持ち込むことでのオンオフの切り替えの難しさ(男性47%、女性46%)だった。ついで通勤などの移動がなくなったことによる運動不足。通信費の負担や、ワークスペースなど家の環境が整備されていないこともデメリットに挙げられていた。また、身だしなみや服装に気を使わなくなったことも、必ずしもよいとは考えられていないようだ。
家で快適に過ごしたい、テレワークで変わる生活意識
テレワーカーは家で過ごす時間が増えた分、快適に過ごしたいという気持ちが高まっており、出勤をしている人と比較して、こまめな掃除や家事を家族で分担する意識も高くなっている。
テレワーカーは家事をする時間帯に大きな変化。気分転換にも
フルタイム勤務の出勤者とテレワーカーで平日の家事をする時間帯を比較すると、通勤や日中の仕事の時間帯(8時~18時台)の中で、テレワーカーは洗濯物を干したり、掃除や買い物をしたりなど、家にいられるメリットを活かして、家事をすることが増えていた。
出勤して働いていると早朝と夜遅くに詰め込まざるを得なかった家事がテレワークという新しい働き方によって分散していることがわかる。
また、仕事の合間に家事ができることで気持ちの余裕が生まれたり、家事が気分転換になっていたり、時間の使い方の変化により上手にリフレッシュすることで仕事の効率も上げながら、テレワークによって家事がより軽やかなスタイルへと変化しているように感じられる。
体への影響を実感、特に男性で健康意識が増加
出勤者と比較すると、テレワーカーは気になる症状を挙げる人が多く、特に男性に顕著にみられた。女性はテレワーカー・出勤者いずれも症状のスコアが男性に比べて高く、働き方にかかわらず普段から不調を感じているようだ。
女性テレワーカーで出勤者との差が大きいのは、肩こりと体重増加。男性は、肩こり・目の疲れ・腰痛・疲労感のスコアが特に高くなっており、働く環境の変化による運動不足などが及ぼす体への影響をより強く感じていることがわかる。
テレワーカーのウォーキング実施率は約4割
男性テレワーカーは出勤者と比較して、ウォーキング・ジョギング・筋トレなどの運動を意欲的に行っている。他にも睡眠や栄養バランスのとれた食事など、生活を整えようと意識しているようだ。女性テレワーカーもウォーキングを行う人は多いが、サプリメントの利用以外は、出勤者と比べてそれほど差が見られない。男性の方がテレワークによる体調の変化を実感し、前向きに取り組んでいるようだ。
テレワークが一時的なものではなく、働き方の一つとして定着する中で、仕事と家庭生活のありようも変化している。オンオフの切り替えの難しさを感じながらも、時間の自由度が増すことで、仕事と家事をフレキシブルに行うようになっている。
家事で気分転換したり、家族でシェアしやすくなったりすることで、家事に追われるのではなく気持ちに余裕が生まれる様子が伺えた。一方で、在宅が増えたことにより積極的に運動しようという意識も生まれている。
テレワークの広まりは、在宅・出勤といったワークスタイルが、暮らしや仕事に与えるメリット・デメリットを意識する機会となったようだ。働き方によって暮らし方も変える、そんな柔軟で軽やかな暮らしのスタイルがこれからの暮らしの満足度をあげる重要なポイントになるのかもしれない。
<調査概要>
2021年7月/インターネット調査/首都圏在住25~64歳既婚男女/在宅勤務者(最近1か月間に在宅勤務の経験有り)、出勤者(最近1か月間に在宅勤務の経験無し)男性各240人、女性各320人
出典元:花王株式会社
構成/こじへい