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「1日1つだけモノを増やす」ミニマルな生活を100日間続けてみて気づいたこと

2022.04.14

敷布団ひとつからスタートした100日間

無人島に1つだけモノを持っていけるとしたら?

文筆家・ラジオパーソナリティとして活躍する藤岡みなみさんが持っていったのは、「敷布団」だった。

正確には、そこは無人島ではない。藤岡さんが、自宅とは別に新しく借りた家だ。

がらんどうの部屋で、「自宅から1日1つだけモノを取り出せる」というルールのもとで100日間。敷布団に始まり、歯ブラシ、スニーカー、バスタオル……と、ほんの少しずつ物品を増やという生活を始めた。

きっかけは、『100日間のシンプルライフ』という映画を知ったことだという。

その映画では、2人の男が素っ裸からスタートし、1日1品だけ所持品を取り戻せるルールで我慢比べする。これは実話に基づいた内容だそうだ。

「わりとやってみたがりな性格」と自認する藤岡さんは、コロナ禍で遠出できない状況も手伝い、今回の取り組みにチャレンジした。

そのもようを1冊の本に綴ったのが、『ふやすミニマリスト 1日1つだけモノを増やす生活を100日間してわかった100のこと』(かんき出版)

100品のモノそれぞれへの所感と「100日間を通して発見したこと100個」の2部構成からなる本書は、含蓄に富み、奥が深い。

今は通常の生活に戻っている藤岡さんに、当時を振り返ってのお話をうかがった。

■9日目に1冊の本を選んだわけ

ーー「1日1品」以外のルールとして、最初に身につけている衣類など最低限の装備、電気・ガス・水道、そして食材の購入はOKというのがありますね。その条件で、初日が敷布団というのは同感です。自分も、猫が粗相して布団なし生活を送り、床にそのまま寝る「苦行」を体験済みなので。でも、序盤を見ていって、2日目の歯ブラシ、7日目の爪切り、9日目の本『読書の日記』は、けっこう意外性ありますね。

「最初は足りないものが多すぎて、なんでも欲しくて混乱しました。一旦落ち着いて考えてみて、体の奥にある真の欲求に耳をすますと本当に欲しいものがわかってきて。その選択を間違うこともあるんですけど(笑)。

2日目に目を覚ますと歯を磨きたくて仕方なかったし、歯が磨けない自分が許せなくて。もしこれが実際に試しながらじゃなく頭で考えたリストだと、歯ブラシは2日目じゃなかったかもしれないです。爪を切りたくなるスパンもいままで無意識だったんですが初めてわかりました。

でもそうやって便利なもの、必要なものを一つ一つ取り出していっても、つまらないんです。効率的に生きるために生きてるわけじゃなくて、楽しく生きるために生きているからだと思います。

他にも足りていないものはたくさんあったけれど、思い切って9日目に本を取り出したらかなり充実しました。便利さが充実を生むとは限らないんですよね」

■スマホがないと「ひたすら心が静か」になる

ーー24日目についにスマホを取り戻しますね。そして、27日目にスマホの充電ケーブルが加勢しました。大半の現代人は、「スマホなしの生活は考えられない」というなか、3週間以上のスマホ絶ちはいかがでしたか?

「ひたすら心が静かでした。本当はスマホはすぐに欲しくなったけれど、すぐに取り戻したらこの生活の意味がないんじゃないか、と思ってしばらく我慢したんです。

『落ち着いたら考えよう……』とずっと心の片隅にあったモヤモヤたちが、2日くらいで全て片付きました。必要なのは効率よりも空白だったのかもしれません。

書く仕事をしているのですが、インプットとアウトプットの間の、頭の中でアイデアを漂わせる時間がとれるようになって作業が捗りました。これからも週末1日だけスマホと距離を置いたり、やれる範囲でデジタルデトックスをしていきたいです」

■お腹が満たされればいいというわけではない

2020年9月中旬に開始し、クリスマスの日に終わった「ふやすミニマリスト」生活。100品のなかで、手に入れて便利だったものベスト5は、洗濯機、全身シャンプー、リバーシブルの服、冷蔵庫、電気調理鍋だったそうだ。逆に、たった100品の中にも「なくてもよかったもの」もあり、電子レンジや財布などが挙がっている。

ーー食生活で一番重宝しそうな、電子レンジや炊飯器をほとんど使わなかったのは意外でした。ほかにも、想定外だったことは多々あって、大事な気づきや発見につながった、と。

「電子レンジや炊飯器は鍋で代用できるので、必ずしも100個の中に入れなくても大丈夫でしたね。

今回、自分にとって食べることとはどういうことなのか初めてじっくり考えました。ただお腹が満たされればいいというわけではなくて、調理するというところに暮らしの喜びがあるし、お気に入りのお皿で食べるのがうれしい。

水も、ずっとペットボトルで飲んでいたらじわじわ自己肯定感が下がっていくのを感じました。グラスを手に入れて、そうか、私は私のことを大切にしているからグラスに水を注ぐんだ、と気づいたんです。実は、当たり前の道具や習慣化した行動の中に愛が含まれていました」

■時間の流れ方の変化に気づく

ーー著書には、暮らしの面だけでなく、仕事や人生観にまで影響したことが書かれていますね。その中でも、特に影響が大きかったものは何でしたか?

「何よりも大きかったのは、道具との関係性を見直したら時間の流れ方が変わったことです。スマホがあると体感時間が早くなって、本や土偶、花瓶があるとゆっくりになりました。

暮らしの相対性理論が存在するのではないかと考えています。知らぬ間にどんどん流れていくような時間ではなくて、一瞬一瞬の中にとどまるような充実した時間を過ごしたい。100日間の挑戦で、どう生きていきたいのかが見えた気がします」

藤岡さんの稀有な体験では、思いのほか得るものは大きかったようだ。なかなか真似できることではないが、本書を読んで「追体験」してみることをすすめたい。これからの人生が、ちょっとだけ変わるかもしれないから。

藤岡みなみさん プロフィール
1988年生まれ。上智大学総合人間科学部卒。文筆家、ラジオパーソナリティ。2015年『ラジオ番組表』(三才ブックス)で好きなDJランキングAM部門第1位。時間SFと縄文時代が好き。「読書や遺跡巡りって現実にある時間旅行では?」と思い、2019年にタイムトラベル専門書店「utouto」を開始。学生時代から映像制作を始め、ドキュメンタリー映画『タリナイ』(2018)、『keememej』(2021)のプロデューサーを務める。著書に『シャプラニール流 人生を変える働き方』(エスプレ)、『藤岡みなみの穴場ハンターが行く!in北海道』(北海道新聞社)がある。
Twitter:https://twitter.com/fujiokaminami

取材・文/鈴木拓也(フリーライター)

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