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つんく♂がこれからのエンタメに望むこと

2022.04.16

つんく♂が語るwithコロナのエンタメライフと、これから。 

コロナで激変したのは、エンタメ界も同じ。一世を風靡したロックバンド「シャ乱Q」のフロントマンとして、また音楽を通じた新人育成の名プロデューサーとして、ポップミュージックのクリエイターとして、35年間にわたり日本のエンタメ界を見つめ続けて来たつんく♂氏に、日本のエンタメ界が迎えた変化、進むべき道について2回に渡り、大いに語っていただいた。1回目のテーマは、「withコロナのエンタメライフと、これからのエンタメ界」。

コロナ禍で失われたと感じているのは、「映像作品を集中して観続ける根気」

――今回は、コロナ禍でのエンタメ界の変化についてつんく♂さんが個人的にどう感じていらっしゃるかを教えてください。コロナによって、映画館やコンサートに行くハードルが高くなり、その一方では人と接触しにくい環境からエンタメに対する依存度が高くなっています。Netflixにどっぷり浸る人も増えていて、実は私もそのひとりなんですが…。

つんく♂氏(以下「つんく♂」)いいか悪いか別として、(コロナ禍によって)確実に“自分の時間”は増えていますよね。リアルなエンタメに触れる機会が減り、その代わりにNetflixにどっぷり浸っても、それはそれで本人が幸せならアリな世界観なんでしょう。確かに、誰かと待ち合わせたり、どんな映画を観るか相談したり、映画が始まるちょっと前にポップコーンを買ったりとか、そういう楽しみは無くなったかもしれません。でも家で観るなら気になったところを止めて観直すこともできるし、休憩もできる。ほかのことをしながら、チラ観もできる。自分のペースで楽しめますから。

ただ、映画だけのことで言うと、こういう状況が長く続いていることで、1本の映画をしっかり観るのが難しくなってる気もします。集中力に欠けるというかね。なんとなく冒頭の10分くらいを観て、前置きが長かったり、なんだか入り込めないと、無意識にスマホをいじり出したり、ニュース記事とか斜め読みしちゃってると、「あれ?この人誰だったっけ?」「あ、観逃した」ってなって途中で観るのをやめちゃうみたいな。映画館なら何がなんでも2時間くらい座らされて、集中して観ざるを得ないので、「(最初ダルかったけど)やっぱり観ておいてよかった」という映画に出会うことも多々あったと思います。映画館に行かなくなったことによって、いい映画を観逃してることがあるかもしれませんね。

昨夜も、映画を観ようと思って2本、チョイスしました。1本は出版社を舞台にした映画「騙し絵の牙」(編集部注:2021年3月公開、監督は吉田大八、主演は大泉洋)。これはトリックがたくさんあったので、最後まで観ることができた。日本語なので少々目を離しても内容は頭に入ってくるしね。でもその後に観た「ザ・ハッスル」(編集部注:2019年公開、アン・ハサウェイとレベル・ウィルソンが、騙し合う女詐欺師を演じた映画)は途中で離脱してしまったんです。内容的にも難しいわけでもなく非常に面白いんですが、ちょっと「ながら」で仕事のLINEに返信してると結局字幕についていけなくなっちゃう。「あとで観よ」って思いながらそのまんまで止まってます(笑)。こういう映画は仲間や家族と馬鹿馬鹿しいな~なんて思いながら一緒に観て時間を共有した方が楽しめるものなのかもしれません。一人で観るのに向いてないように思いました。

だから、韓流ドラマも妻といっしょに観たりもするんですけれど、最初は同時に観始めても、途中で僕がテレビ会議で抜けちゃったり、仕事の作業するので、ちょっとストップ!ってなったりしちゃう。最初は妻も待っててくれていてもそのうち「もう先に観てるよ~」ってなる。「いいよ」ってなって仕事終わって戻ってくると、2~3話先に進んでる。そうなると、肝心なところが全然わかんなくなってて。結局離脱するしかない感じになりますね。そういう意味で僕は、コロナ以降、長時間の映像を観続ける集中力が減ってきていると実感しています。だから耳から入る情報、例えばラジオや落語、YouTubeでも音に特化したものとか、聴くことを好むようになってきていますね。

とはいえ、映画が好きな人たちは、クリックひとつでNetflix やAmazonプライムの映画が観放題な世界は、幸せなんだろうなぁって思う。同じように先輩や友達とのリアルなつきあいも、コロナ禍でストップしてた現実に対して「今の方が楽ちん」ってのもあると思います。女性もメイクしたり着替えたりもしなくっていいしね。自分ひとりなら、好きなペースで飲んで食べて出来るしね。後輩に奢らなくっていいし、気を使う割り勘もなしだし。

エンタメは「パーソナル化」と「王道」に二極化していく

つんく♂ ひとりでエンタメを視聴する時間が増えることで、自分のマニアックな嗜好が顕著になる面と、その逆に、よりイージーなエンタメも必要になってくると思うんです。

このあいだ、ロスのディズニーランドに行って来たんですよ、子どもを連れて。結論をいうと53歳の僕もやっぱり楽しいんですよ。妻もめいっぱい楽しんでました。「こだわりがないよね」「ミーハーだよね~」って言われちゃうかもしれないけど、「こだわりなくてもいいやん、めっちゃ楽しかったで」って思います。ロスのディズニーアドベンチャーにはスパイダーマンもいるんです。「お!やっぱスパイダーマンもいる!」ってテンションあがりました(笑)。日本なんかでは「鬼滅の刃」が日本国中を網羅したような感覚。誰もが知ってるからトークの議題にもなる。そういうみんなが知ってるエンタメはさらにどんどん発展するし、一方で他の誰も知らない自分だけのこだわりのエンタメと、そのどちらもそれぞれに発展していくと思います。

個々のエンタメでどうせ自分だけで楽しむなら、(ヘッドセットを装着して視聴する)VRのような世界も発展するとは思う。ただ、「ながら観」している人は、そっちに浸るのも大変なんでね。誰も彼もって時代になるにはちょっと時間がかかるかもですね。つけるだけで時間かかるし、実際には設定やらなにやらあって、「スタート」ってなるまで、すごく疲れるんですよ(笑)。身近になるには相当な進化が必要です。

――つんく♂さんは2016年からご家族といっしょにハワイにお住まいですが、そのことでエンタメに対する感じ方で変ったことはありますか?

つんく♂ 日本ではようやくと言った感じで、コロナ禍以降になって、これまで使っていなかった人たちもパソコンやiPadでミーティングをやるようになったと思うんですよ。そこは、完全にアメリカと日本では文化の差がありましたね。アメリカに限らず、中国など面積が広く簡単に行き来できない国では、電話会議があたりまえだったようです。それが当時の日本ではなぜか、「電話会議なんてけしからん」という風潮があった。それがコロナでしょうがなくやるようになった。アメリカでは、そのずっと前から中学生や小学生でもパソコンやiPadで授業をやっている時代でしたから。

――そういう、デジタル環境の違いというのは、やっぱりエンタメの受け止め方にも関係していると思いますか?

つんく♂ エンタメの受け止め方というより、これからのエンタメの作り方に違いが出ると思います。

これからのエンタメに望むこと①…アプリの購入手数料に革命を!

――これからのエンタメ界に望むことは何ですか?

つんく♂ 今のエンタメって、アプリを使って課金すればGoogleかappleのどっちかに一定数の手数料が行く仕組みになっているじゃないですか。クリエイターが何かを作って、それを視聴した人から1000円もらっても、数百円はどっちかに行っちゃう。飲食店が、3%とか5%の利益を出すのに必死になっている、この時代に。。。その選択の余地がないのが辛いですね。誰かがそれをぶち破ってくれないかなぁってマジ思います。「うちは10%でやる」「いやいやうちは8%だ!」みたいになってくると面白い。そうやっていろんな企業が参入して、最終的には値下げ合戦になる。その分クリエイター達は作品作りに集中しやすくなりますよね。そんな火付け役になる新企業がバーーン!と出て来てくれんかなぁ!と、切に願ったり・・・。

――何年後かには出てくる可能性ありますよね。

つんく♂ 出てくれなきゃ困る!(笑)

――その時代になったら、つんく♂さんがやってみたいことはありますか?

つんく♂ アプリをつくったりして商売する人もたくさん出るとは思うけど、僕はそっちで欲張らず、音楽を作るか映画を作るか、エンターティナーを育てることに特化しようと思います。現場でキューを出しているかもしれないし。

これからのエンタメに望むこと②…エンタメを潰すようなSNSをやめて

――逆に「こうなって欲しくない」ということはありますか。

つんく♂ 我々の世界は「エンタメ」だから、言葉は悪いけど、そこにはトリックや仕掛けはあるんです。それを「(操り人形の)糸が見えているやん」って言われたら、元も子もないわけです。どんなにSNSで盛り上がるとしても、「映画の世界では、これはタブーだよ」とか、「マジシャンの世界では、それは言っちゃ駄目だよ」とかは、絶対にあります。バズるからと言ってなんでもかんでもSNSで秘密の部分を曝け出してしまうのはなんか違うかなぁって思うんです。例えば「今からこのトリック(マジック)の種明かしをします」とかやったら、世界中のマジシャン全員が「何やってくれてんの!」って激怒しますよね。「何があってもやってはいけない」常識感みたいなものは大事にしないと、エンタメ界に何も残らなくなってしまう気がするんです。

――確かに個々がよりマニアックになることにより、自分を半玄人のように錯覚して、一線を越えてしまう人が増えるかも…。一人ひとりの自覚が必要ですね。

次回は、昨年からつんく♂氏が開催している「TOKYO青春映画祭」についてうかがいつつ、つんく♂氏の「青春映画」と「青春映画のヒロイン」についての熱い想いを紹介する。お楽しみに。

PROFILE

つんく♂ 音楽家、総合エンターテインメントプロデューサー、作詞家、作曲家、総合エンターテインメント株式会社<TNX株式会社>代表取締役社長

1968年10月29日生まれ、大阪府出身。1988年シャ乱Qを結成。1992年にメジャーデビューし4曲のミリオンセラーを記録。その後、日本を代表するヴォーカルユニット「モーニング娘。」をプロデュースし代表曲「LOVEマシーン」(1999年)は176万枚以上のセールスを記録。以後数多くの楽曲提供、サウンドプロデュースを手掛け現在ジャスラック登録楽曲数は1950曲を超え、プロデュースした任天堂のゲームソフト「リズム天国」シリーズは全世界累計販売本数500万本以上のヒット。

オンラインサロン「みんなでエンタメ王国」(https://community.camp-fire.jp/projects/view/198719)オーナー。2020年10月メディアプラットフォームnoteにてコラム(https://note.tsunku.net/)をスタートさせる。

現在国民的エンターテインメントプロデューサーとして幅広く活躍中。

TOKYO青春映画祭

https://tyff.tnx.cc/

Photo:Shin Ishikawa(Sketch)
Stylist:山田ひとみ
Hair&Make:坂野井秀明(Alpha Knot)

取材・文/桑原恵美子

編集/inox. 

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