小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

相続税の申告が必要となるケースと納税額の算出方法

2022.05.08

相続税の申告は、ほとんどの人にとって慣れない作業です。必ず必要になる場合とそうでない場合があるので、相続を経験していても、やり方が分からない人は多いでしょう。申告が必要になる条件や、税額の計算方法などを紹介します。

知っておきたい「相続税」の知識

相続税は国税の一種で、人によってはほとんど準備ができないまま、ある日突然背負うことになります。いざというときに備え、相続税の基礎知識をチェックしておきましょう。

相続等により財産を取得した際に課される税

相続税は、個人が『亡くなった人から財産を引き継いだとき』に発生します。相続する財産は現金だけでなく株式や不動産など、金銭的な価値があるもの全てです。

引き継いだ財産の額に応じて相続人に支払いの義務が生じ、取得財産が多いほど高い税率がかけられます。

これには、所得による格差を抑える目的があります。徴収した相続税は社会保障制度や公共事業に利用され、所得が低い世帯も充実した生活を送れるようにサポートする仕組みになっているのです。

参考:4 「相続税」と「贈与税」を知ろう—もっと知りたい税のこと 令和元年10月 : 財務省

相続人それぞれが手続きする

相続税の手続きは、財産を引き継いだ後にそれぞれの相続人が行うルールになっています。相続をしたら申告の期限までに、各人が責任を持って支払わなければなりません。

相続人は亡くなった人の『配偶者』や『子』などで、家庭によっては相続人が複数いることがあります。配偶者や子がいない場合は、父母や兄弟姉妹に相続する決まりです。

被相続人が亡くなった時点で配偶者や子がいなければ、父母や兄弟姉妹が相続人として引き継いだ財産から相続税を支払うことになります。

子が亡くなっている場合は孫、兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥や姪というように、直系の子が相続人になります。

参考:相 続 税 の あ ら ま し – 国税庁

相続税の申告が不要になる条件

家によっては、それほど多くの財産が残されていない場合もあり、どんなときでも相続税の申告が必要なわけではありません。

所得が低い家に大きな負担がかかることを防ぎ、公平感を保つために『基礎控除額』が設けられているのです。

残された財産から基礎控除額を引いた分に課税されるルールとなっているので、『財産の総額が基礎控除額を下回る場合』は申告や納税の必要はありません。基礎控除額の計算については後述します。

参考:No.4152 相続税の計算|国税庁
参考:No.4205 相続税の申告と納税|国税庁

相続税申告の流れ

(出典) photo-ac.com

家族が亡くなった後は悲しみが癒える間もなく、さまざまな手続きをしなければなりません。

相続人が多いと、協議して遺産分割をしなければならないこともあります。スムーズに動けるように、相続税の申告の流れをチェックしましょう。

相続発生から申告までの流れ

被相続人の死亡届を出したら、『遺言書の有無』を確認しましょう。遺言書は公証役場で作成するほかにも、本人が自筆で書いた『自筆証書遺言』や、内容を誰にも知らせず作成する『秘密証書遺言』があります。

公証役場以外で作成・保管していた遺言書がある場合は、偽造によるトラブルを防ぐために、封をしたままの状態で家庭裁判所による『検認』を受けなければなりません。

遺言書がない場合、戸籍調査や預貯金などを調べ相続人と財産両方の調査を行います。『相続開始から3カ月以内』に相続か放棄かを決定しなければならないので、スピード感が求められます。(民法 第915条)

複数の相続人がいる場合、遺産分割が必要です。どのように相続財産を分けるかを決める話し合いを行い、『遺産分割協議書』を作成しましょう。この書類をもとに、相続の申告や相続登記を行います。

参考:遺言書の検認 | 裁判所
参考:民法 | e-Gov法令検索

申告期限は相続の発生から10カ月以内

相続税は、『相続開始の翌日から10カ月以内に申告する』決まりです。提出期限の日が土日祝日にあたる場合、その翌日が期限となります。

相続開始とは、亡くなったことを知った時点のことです。もし、申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして加算税が課せられる場合があります。

相続税を少なくしようとして、実際の財産の額よりも少なく申告した場合も、ペナルティが発生するので注意しましょう。また、期限通りに申告をしても、納税できなかった場合は延滞税がかかります。

参考:[手続名]相続税の申告手続|国税庁

確定申告は原則不要

相続で財産を得た場合の確定申告は、原則として必要ありません。

相続税は財産をもらうことに対する税金で、所得税は給与や年金などの所得にかかる税金です。種類が違うので、相続したものに所得税はかからないのです。

しかし、相続した不動産を売却した場合は、利益に対する所得税が発生します。収益を得られる物件を引き継いだ場合も『家賃収入』の確定申告が必要です。

相続した時点からの家賃収入が対象になり、年の途中で引き継いだ場合は被相続人の収入として、死亡から4カ月以内に『準確定申告』を行います。例えば、5月1日に相続したのであれば、1月1日~4月30日までの準確定申告が必要です。

参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁

相続税の申告に関する注意点

(出典) photo-ac.com

相続税は家族が亡くなってから、期日までに申告しなければなりません。少しでも負担を減らせるように、相続税の申告に関する注意点を知っておきましょう。

相続放棄の申告期限は3カ月以内

相続する・しないは、相続人本人が決められます。財産よりも借金が多いような場合、相続放棄をすることが一般的です。

放棄したい場合は原則として相続開始から3カ月以内に、家庭裁判所で『相続放棄の申述』をしなければなりません。

さまざまな家庭があるので、家族が亡くなったときに自分が相続人だったと気付かない場合もあります。ほかの相続人が相続放棄したために、自分に順番が回ってきたというケースもあるでしょう。

この場合『ほかの相続人の相続放棄を知った瞬間』を、相続放棄の期限の起算点にしてよい決まりになっています。

親族との交流がなく、被相続人が亡くなったことを教えてもらえなかったなどの特別な事情がある際は、不利にならないように考慮される可能性が高いでしょう。

参考:相続の放棄の申述 | 裁判所

期限内に申告できない場合

期限内に申告できないと、本来は使えるはずだった軽減措置を使えない上に、加算税も発生します。相続人の間で意見がまとまらず分割協議が終わらない場合であっても、申告期限を過ぎればペナルティの対象となるのです。

申告期限内に間に合わない場合は、引き継ぐであろう財産の概算で相続税を多めに支払っておく方法があります。期限内であれば、多めに払っておいてもルール上の問題は生じません。

全ての財産評価が済んで税額が正式に決定したら、『更正の請求』を行い、還付してもらいましょう。

分割協議がまとまらず期限に間に合いそうにない場合は、一旦、未分割のまま相続税を申告します。申告書に『申告期限後3年以内の分割見込書』を添付し、提出しましょう。

後日、分割協議がまとまって税額が増える場合は修正申告し、減る場合は更正の請求を行えば払いすぎた分を取り戻せるというわけです。

参考:No.4208 相続財産が分割されていないときの申告|国税庁
参考:[手続名]相続税及び贈与税の更正の請求手続|国税庁

相続税額はいくら?

(出典) photo-ac.com

事前にある程度の相続税額を計算しておくと、慌てずに済みます。ポイントさえ押さえれば初めてでも計算は難しくないので、計算方法をチェックして相続税額を導き出してみましょう。

課税遺産総額に対して課税される

相続税の基本の計算式は『課税遺産総額×法定相続人の法定相続分×税率-控除額』です。課税遺産総額とは、相続財産から『非課税財産』や『基礎控除額』を引いた額です。

法定相続人の相続分とは相続割合を指し、配偶者と子で1/2ずつになります。

例えば、子どもが2人いる夫婦の夫が亡くなった場合、妻が1/2、長子が1/4、次子が1/4です。ただし、これは法定相続の割合であって、遺産分割協議をする場合は自由に決められます。

以下は、課税遺産総額が1億5200万円の計算例です。税率や控除額は、取得金額によって異なります。

配偶者:1億5200万円×1/2×30%-700万円=1580万円
子ども:1億5200万円×1/4×20%-200万円=560万円

さらに全員の税額を合計して相続割合で按分(あんぶん)すると、実際の税額が分かります。

配偶者:2700万円×1/2=1350万円 ※配偶者控除により0円
子ども:2700万円×1/4=675万円

配偶者は、法定相続分以下の財産取得の場合は『配偶者控除』の対象となり、相続税がかかりません。

参考:財産を相続したとき|国税庁

相続税が課税・非課税となる財産

一口に財産といってもさまざまなものがあり、どれが相続税の対象になるのか把握しておかないと少なく申告してしまう恐れがあります。

相続税の対象となる財産は、現金・預金・土地・家屋・株券・宝石などのほか、特許権や著作権などの『経済的な価値があるもの全て』です。

被相続人が保険料を支払っていた『生命保険の死亡保険金』や、亡くなった後3年以内に支給が確定した『退職金』や『功労金』なども対象ですが、これらには『非課税枠』が設けられています。

例えば、受取人が配偶者や子どもの場合『500万円×法定相続人の人数』が、生命保険金・死亡退職金の非課税財産です。法定相続人が配偶者と子ども1人なら、500万円×2人で1000万円までが非課税となります。

また、被相続人や生計をともにする家族が、居住や事業を目的に所有する宅地は『小規模宅地等の特例』を受けられる場合があることも押さえておきましょう。

小規模宅地等の特例は土地の種類や上限面積に応じて、評価額を減額できる措置のことで、最大で80%もの減額がされます。適用された結果、遺産の総額が基礎控除額を下回れば相続税がかかりません。

参考:No.4105 相続税がかかる財産|国税庁
参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

基礎控除額の計算方法

『課税遺産総額』を決定するための基礎控除額は『3000万円+600万円×法定相続人の数』の計算式で求められます。

夫婦に3人の子どもがいると仮定した場合、夫が死亡したケースでは『3000万円+600万円×4』で、5400万円が控除額です。

現金や家屋などを総合した遺産の総額が7000万円と仮定すると、7000万円-5400万円となり、1600万円に対して相続税がかかります。

養子も子どもの数に含まれますが、実子がいる場合は養子1人まで、いない場合は2人まで含めて計算できる決まりです。相続放棄した人がいる場合も、数に含めて計算しましょう。

参考:No.4152 相続税の計算|国税庁

生前贈与にかかる相続税に注意

(出典) photo-ac.com

生前贈与すれば、相続税が全くかからなくなるわけではありません。制度をうまく利用するために、生前贈与で得する方法や注意点を見ていきましょう。

生前贈与は相続税節税効果がある

『生前贈与』は、亡くなる前に財産を譲る方法のことです。相続税の課税対象となる財産の総額を減らせるかわりに、『贈与税』がかかります。

贈与を受け取る側はどのように贈与税を払うか決めることができ、『暦年課税』と『相続時精算課税』のどちらか選べる仕組みです。

相続時精算課税の申請をしなかった場合は自動的に『暦年課税』となり、『1年間で受け取った財産の合計が110万を超えた分』に、贈与税が発生します。

『相続時精算課税』の場合は、『60歳以上の親や祖父母が子や孫へ贈与する際』に選択でき、総額が2500万円を超えない限り贈与税がかかりません。

ただし、相続時に取得した分については相続税を払う義務があります。また、相続時精算課税の場合、年間110万円以下の贈与であっても申告手続きをしなければならない点や、小規模宅地等の特例が使えないなどのデメリットがあります。

参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁
参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

死亡日前3年以内の暦年贈与は相続税の対象

相続税を減らすため暦年課税を利用して贈与したとしても、『贈与を受けた日から3年以内に贈与者が亡くなった場合』には、生前贈与がなかったものとみなされ、相続財産に加算されます。

例えば、2022年4月1日に贈与者が亡くなった場合、2019年4月1日以降の贈与は『相続税の課税対象』となるのです。

死亡直前になって、相続税逃れのためだけに贈与することを防止するために、こうしたルールが設けられています。

参考:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁

相続税に加算されない贈与もある

被相続人の死亡日から3年以内の贈与の全てに、相続税が加算されるわけではありません。

結婚して20年以上の夫婦間で『居住を目的とした不動産購入における資金贈与』の場合で2000万円、直系尊属から住宅取得等における資金援助では、1000万円まで非課税になる制度が設けられています。

また、30歳未満の子や孫が父母や祖父母から銀行などを通じて教育資金を贈与される場合も、非課税になるケースがある点を押さえておきましょう。

2023年3月31日までの時限措置として、『教育資金の一括贈与による非課税制度』を利用すると、実際に教育資金として支払われた資金を対象に、1500万円まで非課税となります。

ほかにも、子や孫の子育て資金や結婚資金などを一括贈与する際に、1000万円まで非課税となる制度があります。受け取る人の年齢が『18歳以上50歳未満、前年分の合計所得金額が1000万円を超えない場合』などの制限が設けられている点に注意しましょう。

参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁
参考:No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁
参考:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

相続税が払えない場合の対処法

(出典) photo-ac.com

すぐに現金化できない財産を相続で取得した場合で、税額が大きいときは相続税の支払いが困難です。期限内に納税できない場合の対処法を見ていきましょう。

延納の申請を行い分割で支払う

不動産を相続した場合、現金の持ち合わせがないと相続税の支払いが間に合わないことがあります。そんなときは、延納の制度を利用して分割払いをしましょう。

現金や預貯金以外の財産を相続した場合で、10万円を超える相続税が発生した際は、分割払いを認める制度が設けられています。

利用するには、申告期限内に『延納申請書』と『担保提供関係書類』を提出し、担保を提供することが必要です。

延納が認められたら、相続税を延納期間で割った額を年に1回納めましょう。最大で20年までの分割払いが可能ですが、期間に応じた利子が発生します。

参考:No.4211 相続税の延納|国税庁

不動産や株式などを物納する

相続税を現金化できない場合、物納といって『物で相続税を納める方法』があります。手元に現金がなく延納でも納税できないケースで、事情が認められた場合に利用できる方法です。

不動産・船舶・国債証券・株式など、『国が処分できる財産』であれば物納が認められます。ただし、すでに担保に取られている不動産や、権利関係で争っている不動産などは対象外です。

利用にあたって、事前に所轄の税務署に申請することや、物納したいものが日本国内にあることなどの条件が設けられています。

参考:No.4214 相続税の物納|国税庁

構成/編集部


@DIME公式通販人気ランキング


興味のあるジャンルを登録して@DIMEをもっと便利に!Amazonギフト券が当たるキャンペーン実施中

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2023年3月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「5インチ電子メモパッド付き計算機」、特集は「ミニマルライフ&ギア」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。