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ロンドンLGBTQIA+映画祭で話題に!「Invisible:Gay Women in Southern Music」が暴いたカントリーミュージック界の闇

2022.04.16

■連載/Londonトレンド通信

 権力が男性に偏った男優位の社会では、セクハラが起きやすい。ハリウッドの大物プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタインの事件など、その典型だ。自身の権力を背景に女優らを性的に加害していたワインスタインの事件を発端に、女性たちが次々と声をあげ、#MeToo運動になったのは記憶に新しい。

 残念ながら日本の映画界も例外ではなかった。榊英雄監督と俳優の木下ほうかによる女優に対する性加害に続き、園子温監督とその周辺にも同様の話が出てきた。これから、さらに続くだろうか。

 この3月に開催された第36回ロンドンLGBTQIA+映画祭で上映された『Invisible: Gay Women in Southern Music』は、そんな男社会を暴くドキュメンタリーだ。この映画が暴くのは、アメリカのナシュビルを中心とするカントリーミュージック界だ。

 映画にはカントリーヒット曲の数々も登場する。伝説的なジョニー・キャッシュなどの映像も楽しめる。

 だが、この映画の主人公は、スポットライトを浴びることなく、ステージから降ろされていったレズビアンのカントリーミュージシャンたちだ。才能がありながら、その存在を消されてきた。彼女たちの証言からは、カントリーミュージック界のセクハラ体質も匂ってくる。

 カントリーミュージック界のセクハラと言えば、最近ではテイラー・スウィフトがそれに対して裁判を起こしている。今ではポップス界のスーパースターとして知られるスウィフトだが、デビュー時はカントリーシンガーだった。

 スウィフトが訴えたのは、有名なカントリーミュージックラジオ局のDJだったデヴィッド・ミューラーだ。2013年のコンサート時、バックステージでスカートの中に手を入れ、お尻をつかんだことに対してだ。反論していたミューラーだが、結果はスウィフトの勝訴、ミューラーは1ドルの賠償金支払いを命じられた。

 1ドルという少額の請求からもわかるように、スウィフトの目的は社会へのアピールだった。泣き寝入りすることなくセクハラ被害者として声をあげ、勝ってみせた。二次被害を受けがちなセクハラ・性的暴行の被害者に、非があるのは自分と思わされてはいけない、自責してはいけない、非があるのはもちろん加害者だと身をもって示した。#MeToo運動が起こる前のことだ。

 今回の映画に登場するチェリー・ライトも、被害を受けてきた1人だ。『Shut Up and Drive』などのヒット曲があるシンガーのライトは、目の前でマスターベーションされたこともあると話す。

 そのライトがレズビアンであることをカミングアウトすると、今度はあからさまな嘲りや避難を受けることになる。映画には、カミングアウトに対して「『Shut Up and Drive』ではなく『Shut Up and Sing』(黙って歌え)だよ」と言うラジオ番組DJの声もある。

 当初からレズビアンであることを隠さなかったミュージシャンたちは、日の目を見ることもなく表舞台から退けられていった。

 中には、ダイアン・ダヴィッドソンのように、ブレイク寸前だったシンガーソングライターもいる。ダヴィッドソンは、70年代当時、世界的なスターになりつつあったリンダ・ロンシュタットとツアーするほど才能を認められていた。

 だが、ダヴィッドソンがガールフレンドを歌った曲を発表した途端、レコード会社との契約もギグも無くなってしまう。

 映画には、パーキンソン病で引退したロンシュタットを、ダヴィッドソンが訪ねるシーンもある。

ギターをつま弾きながら歌うダヴィッドソンに合わせ、ロンシュタットは小さくハミングする。病で歌えなくなったロンシュタットと、自身のセクシュアリティから歌う場を奪われたダヴィッドソンのデュエットは、たまらない気持ちにさせる。

 例外となったのはk.d.ラングだ。圧倒的な歌声と短髪に男装という姿で、まず自国カナダで成功し、その後ナシュビルに進出、だが長くはとどまらなかった。次第に曲の幅を広げ、スターになっていった。カミングアウトした際も、最初からそう思われていたせいか、たいした逆風もなかった。

 それでも、カントリーミュージック界は根本のところでは昔も今も変わっていないという。

 その存在を表舞台から消されたダヴィッドソンのような女性たちの多くは、ほかのシンガーに曲を提供する裏方に回っていった。結果、カントリーミュージックのヒット曲メーカーには、多くのレズビアンがいる。

 表舞台からは降ろされた彼女たちだが、50代、60代となった今も歌い続けている。

文/山口ゆかり

ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。
http://eigauk.com

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