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宇宙で使用されている口腔ケア技術を活かした、世界初の「宇宙化粧品」って何?

2022.04.11

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

ISSの生活用品に採用された口腔ケア「オーラルピース」とは?

世界初となる、乳酸菌ペプチド研究を応用したケミカルフリー(化学物質無配合)、プラントベース(植物成分100%)、自然環境や体内ですべて分解できる生分解性100%を実現した、宇宙技術を地球の課題解決につなげるイノベーションコスメ「宇宙化粧品 フェイスピース」が今年3月に新発売された。

フェイス用スキンケアクリーム「フェイスピース」は、2013 年に発売された口腔ケア「オーラルピース」の革新的技術を応用して作られた新製品となっている。

ISSの生活用品に採用された口腔ケア「オーラルピース」は乳酸菌ペプチド研究の世界第一人者である九州大学の園元謙二名誉教授らとトライフが共同で開発した、ケミカルフリー、プラントベース、飲みこんでも安全な成分のオーラルケア製品だ。口の中の菌を殺菌する力があるが飲みこんでも吸収されてしまうため、うがいや吐き出しが困難な要介護高齢者をはじめ、赤ちゃん、妊婦、授乳中の母親、アウトドアや災害用、さらに犬猫などペットの歯磨き・口腔ケアに活用されている。

同製品は日本最大のビジネスコンテストである「横浜ビジネスグランプリ 2014」にて最優秀賞・オーディエンス賞、日本のベンチャー企業の頂点を決める「JAPAN Venture Awards 2015」の最優秀賞、SDGs に寄与する社会的な製品として「Social Products Award 2015」生活者審査員賞など、数々の賞を受賞。現在15カ国で販売し、世界的にも高い評価を得ている。

そして「オーラルピース」は、国際宇宙ステーション(ISS)の搭載品として2021年 11月に正式選定され、2022年に予定にされているISS長期滞在ミッションにて、オーラルピースが宇宙で使われるとされる。

オーラルピース、そして今回のフェイスピースを生み出したスペースプロジェクトは、革新的研究技術を弱者支援に活用するバイオ×ソーシャルベンチャーとして、事業を通じて全国の障害者の支援活動に取り組んできた。プロジェクトを先導してきた、トライフスペースプロジェクト代表 手島大輔さんに話をお聞きした。

――「フェイスピース」の元になった「オーラルピース」はどのようにして生まれたのでしょう?

「オーラルピースは、日本乳酸菌学会会長も歴任された九州大学の園元名誉教授の研究を元に実用化したものです。日本の大学には多くの素晴らしい研究がありますが、それを実用化するのは難しく、成功したのはごく一部とされています。園元先生の30年に渡る“菌で菌を制す”乳酸菌研究から発明された乳酸菌ペプチド特許製剤「ネオナイシン-e」に用いられる抗菌ペプチドも、実用化したいと大企業に打診したもののすべて断られたそうです。

2011年に、ベンチャーでオーガニック化粧品ブランドを多くプロデュースしていた僕のところに九州大学から連絡がきました。僕の子どもは障害児だったことから、当時、同じ悩みや志を持つ各分野のプロフェッショナルの仲間たちとボランティア団体を立ち上げ、障害者支援活動を行っていましたが、研究チームは僕のブログを見てこの会社に研究を託したいと連絡をくれたそうです。

当初はオーガニック化粧品として開発する予定でしたが、2012年2月に父が末期がんになり、抗がん剤治療の影響で口腔カンジダや口内炎に悩んでいたことから、抗菌ペプチドを口腔ケア製品に使ったらいいのではないかと思いつきました。

国は健康長寿の実現のために口腔ケアに力を入れていますが、要介護の高齢者は合成殺菌剤配合のうがい薬でケアしても吐き出せずにお腹を壊してしまうことも多く、水でゆすぐだけでは殺菌できず誤嚥性肺炎も予防できないため、飲み込んでも安全な殺菌剤入りの歯磨き・口腔ケア製品は画期的でした。

父の趣味が登山だったので、介護用途だけでなく登山でも使える、体や環境にやさしい製品を父のような人々のために作ろうと、九州大学等と共にプロジェクトチームを発足しました」

※下記画像の右から3番目が手島代表、同5番目が園元名誉教授。

――本製品を通して全国の障害者の仕事創出にも取り組んでいるそうですね。

「ボランティアプロジェクトでバングラデシュに行ったとき、貧困の削減や社会課題の解決といったソリューションを提供する「BOP(ベース オブ ピラミッド)」ビジネスの実例を見て、日本で応用してみようと思ったのです。革新的な特許技術を社会的弱者の支援に活用したいと、オーラルピースを全国の障害者施設で販売し、1本の販売で350円〜420円を障害者自身が得られるビジネスモデルを作りました。

オーラルピース、フェイスピースのプロジェクトは九州大学の園元名誉教授、善藤威史准教授、トライフ 優しい研究所の永利浩平研究開発総責任者を中心に、国内外の医学博士、工学博士、農学博士、臨床医、看護師、介護士、言語聴覚士、社会起業家、クリエイターなど多彩なメンバーで構成された産学官プロジェクトとして実施しています。

お金のためではなく、それぞれの家族や未来への思いから集まった100名を超えるプロジェクトメンバーはじめ、全国で共に働くメンバーなど多くの方々に助けられて、オーラルピースが宇宙に飛び立つ素晴らしい機会をいただきました」

オーラルピースに続き“宇宙で使える”を目指したスペースコスメが誕生

「オーラルピース」と同様に「フェイスピース」は、ケミカルフリー、プラントベース、すべての人に使えるジェンダー・エイジフリーの製品。

「フェイスピース」は、福岡県産の「おから」由来の独自の乳酸菌特許エキスである「ネオナイシン- e」、有機米胚芽オイル、大豆レシチン、ダマスクローズ精油等の植物成分から作られており、黄色ブドウ球菌、アクネ菌などの皮膚トラブル原因菌に超低濃度で瞬時にアプローチしながら、アミノ酸として速やかに分解されるので安心安全。皮膚を乾燥や紫外線などから守り、潤いに満ちた透明感のある肌に導く。また、抗菌ペプチドの働きによる微生物制御、腐敗を防ぐ革新的な技術から、化粧品としては世界初となる乳酸菌ペプチドを応用した、エタノールや合成保存料等の防腐剤フリー、ケミカルフリーを実現した。

ダマスクローズ精油は、心や肌に働きかけるゲラニオール、ネロル、フェニルなど様々な美容・芳香成分が含まれている。中でもゲラニオールは、抗菌、防虫、収れん、リラックス作用や、皮膚を柔らかくする効果、皮膚の弾力を回復する効果が期待できる。

ゲラニオールは体内に吸収されると汗腺から汗とともに放出されるため、毎日摂り続けることで、体の内側からほのかに香り、体臭エチケットの観点でも注目されている。

――口腔ケアに続いてスキンケアを作った理由は?

「オーラルピースが宇宙に行くことが決まり、これからは人類宇宙進出の時代であり、新商品も最先端のテクノロジーで“宇宙用品”を作ると面白いのではと考えていました。

宇宙生活では乾燥などから肌トラブルもあると聞きました。しかし、可燃性、機械を傷める恐れ等から、搭載禁止成分入りのスキンケア商品は持ち込めないこともあるそうです。

もともと研究メンバーはオーガニック化粧品のブランドも多数開発していたこともあり、オーガニック化粧品開発に関してはプロ。オーラルピースは口腔ケアですが、本来は顔まわりやボディケアは得意なジャンルです。オーラルピースの技術を使ってスキンケア製品が作れないかと2年ほどかけて開発したのが宇宙コスメのフェイスピースです。九州大学等と共に基礎研究から始めて、世界で初めて乳酸菌ペプチドを応用したケミカルフリーのクリームを作りました。

オーガニック製品といえども、ケミカル成分の入っていないクリームというのは今までほとんど作られたことがありません。合成界面活性体剤、保存料、エタノール、アルコールを入れないと腐りやすくなり、油と水が混ざらないのでクリームとして成立しないからです。

オーラルピースで使われている天然の殺菌力を応用して保存料代わりにするなど、宇宙向けに開発されたオーラルピースの技術を一部引き継いでいるため、本商品は正式なISS搭載品認定は受けていませんが、宇宙コスメと名付けました。環境にもやさしく、化粧品のグリーン産業革命といえる製品だと自負しています。

宇宙生活では入浴できないため体臭も考えられます。ダマスクローズは香りづけだけでなく、ダマスクローズ精油に含まれるゲラニオールによって嫌なニオイをいいニオイに変えることができます。もし宇宙で使用されることがあれば、体を拭くだけの宇宙での日々で、エチケットとして使ってもらえるかも知れません。

オーラルピースは口内炎対策としても使われていますが、フェイスピースも褥瘡(床ずれ)の対策としても使えるのではないかと考えています。アルコールなどは殺菌できても治りかけの傷を破壊してしまうことがありますが、ネオナイシンは殺菌してもヒト細胞は破壊しないので、褥瘡に塗ると殺菌しても皮膚の回復を促す効果が期待できます。将来的には医療の分野にも応用していくかもしれません」

【AJの読み】グリーンテクノロジーとソーシャルビジネスの融合

「フェイスピース」についてトライフが期待するスキンケア効果として、植物由来のエモリエント成分(油性潤い成分)と保湿成分(水性潤い成分)が紫外線や乾燥から保護してケアする、1本で全身のスキンケアが可能、濃縮タイプでごく少量でケアが可能、搭載品の重量やゴミを低減、 ケミカル成分不使用を実現し機体損傷リスクを低減、探し物で傷ついた手指を健やかに保つ、皮膚剥がれ等も保湿し浮遊を防止、室内を衛生的にするという点を挙げている。

宇宙に限らず地球でのスキンケアでも同様。100mlという大容量で、1日1回、米粒大の量でOKなので1本で約1年間使える。顔用のクリームだが全身に使えるので気になるところにも。年齢、性別を問わず、体や環境にやさしい成分で、スキンケア目的はもちろん、アトピーなど肌が弱い人、化学成分過敏症の人、体臭が気になる人、健康志向の人、環境問題への意識が高い人などさまざまな層に向けて訴求できる製品だ。

デザインは世界で注目されるアートディレクターで、プロジェクトメンバーの一員でもある峯崎ノリテルさん。光線の強い宇宙では黒文字は紫外線を通し内容物を劣化させてしまう可能性があり、光を反射するシルバー地に白い文字のみの宇宙対応仕様になっている。

実際に試してみると、ほんのりとダマスクローズの香りがあり、さらっとしたテクスチャーでべたつき感はなし。少量使用のせいか、若干伸ばしにくさは感じたが肌なじみは良い。ケミカルフリーとは思えないほどしっかりと乳化した色合い。

「将来、化粧品もプラントベースのサステナブルな原材料になってくると思います。フェイスピースは先駆けとなる製品で、宇宙での活用を目指しており、カーボンオフセットで環境にもやさしく、ジェンダーフリー、エイジフリーで赤ちゃんからお年寄りまで使える、地球の課題解決につなげる世界初の乳酸菌ペプチドを応用したケミカルフリーの化粧品です。

社員3人しかいない資本金50万円の小さな会社ですが、オーラルピースの障害者への利益分配は3千万円を超えました。テクノロジーをお金儲けではなく、障害者支援や環境問題への取り組みに使おうというプロジェクトメンバーが集まった強力なバックアップもあります。お金や仕事で結びついたのではなく、共感と人間的なつながりで革新的なテクノロジーを用いて生まれた製品というのは世界でも画期的だと思います。

我々の目標は利益の追求や株式上場ではありません。みんなで素晴らしい取り組みを世界に広げノーベル平和賞を取ることです。授賞式の際は、飛行機代ぐらいは用意できればと思っていますけれど(笑)」

国内だけでも年間10兆円超と増え続ける介護費と、医療従事者や介護者の人的負担低減、障害者の仕事創出、災害被災地や感染クラスター発生地への無償提供など、グリーンテクノロジーとソーシャルビジネスが融合した同社の事業は、今後の展開も目が離せない。

「宇宙化粧品 フェイスピース」は1万8000 円。「オーラルピース」「フェイスピース」は公式サイトで発売。

文/阿部純子

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