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なりすまし、通信障害、リスクの回避策は?バーチャル株主総会を成功させるポイント

2022.04.06

令和3年6月16日から、株主総会のバーチャルでの開催が法的に認められた。すでにバーチャルオンリーやハイブリッド型など様々な形態で企業が実施している。一方で、課題も多い。バーチャル株主総会が抱える課題について、そして実際にバーチャル株主総会をあらゆる工夫をして課題解決をしながら成功させた企業事例を紹介する。

バーチャル株主総会のよくある課題

ソニーPCLが「バーチャル株主総会に関する実態調査」を実施したところ、205人に対する事前調査ではバーチャル株主総会の導入について約56.6%が検討中、約24.9%が実施済となり、合わせて約81.5%が取り組んでいる結果となった。

一方、株主総会のオンライン開催を検討したことのある上場企業の株主総会担当者100人を対象とした調査では、95.0%が「何かしらの課題を実感したことがある」と回答し、約3人に1人が「周りに相談できる人がいない」と、導入に向けてのハードルを感じている現状が明らかになった。

経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」によると、バーチャル株主総会のよくある課題として、主に下記の内容がある。

●開催形式の決め方

バーチャル株主総会には「ハイブリッド型バーチャル株主総会」と「バーチャルオンリー型株主総会」の2種類がある。ハイブリッド型は、リアル参加とオンライン参加のハイブリッド形式で実施するもので、バーチャルオンリー型はオンラインのみで実施するものだ。

さらに、ハイブリッド型には、審議等を確認・傍聴することができる「参加型」と、議決権行使や質問等ができる「出席型」に分かれる。

これらの開催形式を参加者の状況に応じて選ぶ必要がある。

●ハイブリッド型の「議決権行使」の対応

ハイブリッド型の場合、オンライン参加の株主は基本的に、当日の決議に参加することはできない。そのため、「議決権行使」に関してどのように実施すべきか取り決めておく必要がある。

●通信障害のリスク

インターネット等の手段を活用することから、サイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合のリスクがある。

●なりすましのリスク

リアル参加と比べて、オンライン参加はビデオ参加であっても目視がしづらいため、本人ではない者が参加するなりすましのリスクがある。

バーチャル株主総会の課題解決のヒント

ソニーPCLは、バーチャル株主総会ソリューション「HALL+」を提供しており、先日はバーチャル株主総会の導入の検討から実現までを、図解入りでわかりやすくサポートする「バーチャル株主総会のきょうかしょ」を作成して2022年2月16日(水)から無料公開している。

そこで、バーチャル株主総会の課題解決のヒントを同社のクリエイティブ部門 ビジネスプロモーション部 営業2課 長谷川 賢氏に回答してもらった。

●開催形式の決め方

「まずハイブリッド型バーチャル株主総会を採用するためのポイントとして、株主に対する企業姿勢が挙げられます。これまではリアル会場での開催がメインであり、遠方の株主は参加しづらい状況にありました。ハイブリッド型の場合は場所を選ばないので、その点では株主の方の利便性が高いと言えます。

さらにハイブリッド型は出席型にして決議に参加できるとなれば、株主平等の観点はより強化されると考えます。一方で、オンラインでの決議に不安を抱える企業があるのも事実です。要因は企業の課題によって様々ですが、その場合は参加型から始めて、ご出席いただける株主の方々の反応を把握するのも良いのではないかと思います」

●ハイブリッド型の「議決権行使」の対応

「株式発行会社としては、株主総会開催における定数を満たすためなるべく議決権の行使をしていただきたいという思いがあり、参加型にすることで議決権行使の数が減ることを懸念されるのだと思います。その場合は、事前に議決権行使をしていただくか、あるいは行使しないかのどちらかである点は、リアルで開催する株主総会と同様です。そのため参加型を採用したからといって、事前行使の数が減るという直接的な要因にはならないと考えられます」

●通信障害のリスク

「通信障害におけるリスクは主に、会場のネットワークインフラの問題、会場外ネットワークの不具合、災害発生等による通信障害、株主側のネットワークの問題などが挙げられます。リスクを最小限に抑えるためには、それぞれのリスクに応じた対策が存在しているかを確認し、セキュリティ対策や回線の事前チェック、バックアップ回線の用意など、できる対策を講じておくことが必要です。

一方で、配信側から株主に届くまでには様々なネットワークを中継しているため、リスクを完全にゼロにすることは大変困難です。どこまで対策すれば良いかを悩んだ場合は、配信担当業者から適切なアドバイスを受けるのが良いでしょう」

●なりすましの対策

「企業の最高意思決定機関である株主総会のセキュリティ対策はしっかりとしておきたいところです。それは、株主の正当な権利を守ることにもつながります。しかしながら悪意をもって行われるなりすまし行為は人為的に行う以外にも、機械的に実行されるものも存在するため、様々ななりすまし対策をプラットフォーム上で講じています」

バーチャル株主総会を実施した2つの企業の体験談

ここで、バーチャル株主総会を実施した2つの企業の事例を紹介する。

1.株式会社アドウェイズ

インターネット広告事業を行うアドウェイズは、2021年3月期の定時株主総会を、ハイブリッド型バーチャル株主総会の出席型として2021年6月24日に開催した。リアル出席者は4名、オンライン出席者は約40名だった。

経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(別冊)実施事例集」では、肖像権等への配慮についての同社の事例が紹介されている。

【事例】肖像権等への配慮

審議等の状況が外部に向けて配信された場合、映像等で配信される株主の肖像権等に関して課題が生じる。これに対してアドウェイズは「バーチャル株主総会参加用URLを第三者に共有すること、バーチャル株主総会の模様を録音、録画、公開等することは、お断りさせていただく」旨を招集通知に記載して対応した。

その他、バーチャル株主総会で工夫した点や、うまくいった点・課題を感じた点を、同社コーポレートリレーショングループの副本部長 境英樹氏に聞いた。

●工夫ポイント

「当社は、出席型の株主総会を開催しており、さらに株主様からの質問をテキストではなく口頭でお受けしているため、スムーズにご質問・回答ができるよう手順を策定し、入念にリハーサルを行っております。また、Zoom等のツールの取扱いに慣れていらっしゃる株主様ばかりではないと予想されるため、総会中の口頭の説明やスライド等の表示によって、操作のご案内を行っております」

●うまくいった点、課題を感じた点

「2020年にも出席型のバーチャル株主総会を開催していたことに加え、外部のバーチャル株主総会用ツール(Sharely)を導入したことにより、出席者管理が容易になり、比較的スムーズに実施することができました。

来場される株主様につきましては、事前申込制としましたが、事前の申込みがないまま来場される株主様も一部いらっしゃったため、臨時の対応が必要となりました。次回以降の総会では、この点への対応も織り込んだ準備が必要と感じました」

2.富士ソフト株式会社

ソフトウェア開発販売、システムインテグレーション事業などを行う富士ソフトも、ハイブリッド型バーチャル株主総会の出席型を開催した。2022年3月11日開催の第52回定時株主総会では、リアル出席者は69名、オンライン出席者は6名だった。

経済産業省の事例集では、富士ソフトは質問の受付・回答方法や動議の取扱い、議決権行使への対応についての事例が取り上げられている。

【事例】質問の受付・回答方法

質問の受付・回答については、「株主総会の運営を妨げる発言や不適切な質問や不規則発言が繰り返されるなど、バーチャル出席株主の発言により議事の運営に支障をきたすと議長が判断した場合には、会社からバーチャル出席株主との通信を強制的に遮断する場合がある」旨を招集通知等に記載した。

また、当日は固定電話、携帯電話から会場のオペレーターに電話し、議長の許可を得て、質問を受け付ける形式を採った。

【事例】動議の取扱い

動議(会議中に出席者から予定議案以外の議題を出すこと)については、提出をリアル出席株主に限定して対応した。

具体的には、「バーチャル出席株主の動議は、取り上げることが困難なため受け付けない」旨、また、「当日、リアル出席株主から動議が提出された場合など、招集通知に記載のない件について採決が必要になった場合には、バーチャル出席株主は賛否の表明ができず、棄権又は欠席として取り扱う」旨を招集通知等に記載した。

【事例】議決権行使について

議決権行使の課題に関しては、富士ソフトは次のように対応した。

バーチャル出席株主について、質疑応答の手段として電話受付としただけではなく、不測の事態における連絡先として事前に電話番号を伺い、何らか不具合で議決権行使ができないことがないように、コールセンターを設置して備えた。実際に議決権行使が確認できなかった株主には、コールセンターから確認を実施した。

●工夫ポイント

質疑応答の手段として電話受付を行ったというが、なぜ電話受付という方法を選ぶのか。同社の株主総会運営を担当する総務部長の中根は次のように回答する。

「当社は、インターネット出席の株主様も会場で出席される株主様とできるだけ同じ環境を用意し、コミュニケーションを大事にとりたいと考えているため、電話を使った質疑応答を行っています。

テキスト形式での質問受付は、議長が指名する前に質問内容をチェックできることにより、経営陣に対して都合の悪い質問を取り上げない等の恣意的な議事運営と捉えられる可能性も指摘されています。当社では、インターネット出席された株主様がより気軽に発言していただけるよう、回答を必要としないご意見に関してはテキストでの送信も受け付けています」

その他、様々な工夫を行っているという。

「従来のリアル開催のときから自社開発のシステムを利用し、議決権行使結果を票数までその場で開示していました。それは現在のハイブリッド型でも継続しており、一貫してICTを活用したオープンな株主総会運営を特徴としています。

自社製品の資料共有システム『moreNOTE Hello!』を活用したバーチャル株主総会システムを開発し、マルチデバイスかつワンストップで株主様にインターネットから快適に決議に参加していただけるように準備しています。Webアプリケーションを通して『資料表示(同期閲覧)』『議決権行使』『ライブ映像表示』『テキストによるコメント送信』を1画面で簡単に利用できます。

インターネット出席の株主様にシステムを安定的にご利用いただくため、ご出席の際に使用するPCやスマホの事前チェックを行うホームページを開設しました。OS・ブラウザ種別およびバージョン・通信速度・通信プロトコルをもとに、システムが安定動作するか判定し、〇/×で画面表示するものです。

リアルの会場でも株主様に安心してご出席いただけるよう、受付に自社製品のコミュニケーションロボット『PALRO(パルロ)』と無人受付システム『moreReception(モアレセプション)』を設置し、座席は十分な間隔の確保とパーテーションの設置、映像音声を同時中継する複数の会議室をご用意するなどの対策を実施しました」

●うまくいった点、課題を感じた点

「2022年3月11日開催の株主総会は、出席型ハイブリッドバーチャル株主総会を導入して、3回目の開催となりました。システムはより便利にお使いいただけるよう毎年アップデートし、運営上も円滑に進行できています。

一般的な課題としては、質疑応答の受付方法やバーチャルオンリーの開催が議論のポイントだと考えますが、当社としては、株主様とのリアルなコミュニケーションを重視するため、現状の電話による質疑応答とハイブリッド型という開催方法を選択しています。株主様との株主総会上でのインタラクティブなコミュニケーションについては引き続き改善していきたいと考えています」

バーチャル株主総会は、遠隔からの参加が可能という利便性もあり、今後、スタンダードになっていくものと思われる。課題をいかに最先端の技術や工夫、人的配慮で対策するかが重要になりそうだ。

【参考】
経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」
経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(別冊)実施事例集」
ソニーPCL「バーチャル株主総会に関する実態調査」
ソニーPCLの「バーチャル株主総会のきょうかしょ」無料配布中

取材・文/石原亜香利

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